目次
エンジンはVQ35改3.8L+TD05シンメトリカルツインターボ!
こんなエンジンルームは見たことがない・・・
このレモンイエローカラーでオールペンされたZ33は、かつてJUNオートメカニックが海外からの要望で製作したスーパーチューンドだ。
エンジンルーム内に鎮座するのは、JUNが開発した3.8Lストローカーキットにより排気量を3772ccまで拡大させたVQ35DEベースの3.8Lツインターボユニット。そこに、左右バンクで完全に独立した吸気経路を持つTD05ツインターボシステムをドッキング。最高出力は800psに達している。
低中速域でのトルク追従性能およびハイレスポンスを目的とした吸気レイアウトはまさに芸術の一言。それぞれのタービンで過給されたエアは一度も交わりあうことなく、インタークーラーからバルブ径90φのワイヤー式スロットルを経て、それぞれのサージタンクへと導かれる仕組みだ。
そんな吸気側に負けじと排気レイアウトもかなり独創的。タービンアウトレット兼フロントパイプはリヤに向かうのではなく、タービンの向きに逆らうことなく両サイドへと伸び、そのままストラットタワー後方から外へと貫通。そして、フロントフェンダー下部から顔を出した排気管はサイドステップ先端に配置された小型サイレンサーへと繋がる。
また、現実的に考えて、2WD車ベースのマシンで800psの出力を100%引き出すことは極めて難しい。そこでこのZ33は、パワートレインにビックリ仰天のメイキングを敢行。それが4WD化、しかも高性能なトルクスプリット型4WDシステム『アテーサE-TS』の完全移植である。
メイキング内容を簡単に説明すると、オイルパンおよびフロントデフケースはM35ステージア4WD用のVQ25を使用。それに合わせて、フロントメンバーはV35の4WD用を流用し、軸となるトランスファーにはBNR32用を組み合わせる。
4WD化にあたって使用したユニットはBNR32のアテーサ。制御用のECUもBNR32用だ。F-CON Vプロで実際のアクセル開度と回転数から擬似的なスロットル信号を作り出し、このアテーサECUに送ることで、思い通りのトルク配分制御をしている。
ミッションはホリンジャー製6速シーケンシャルを使い、プロペラシャフトはフロント側がBNR32とM35用、リヤ側がZ33用をドッキング。そして、フロントデフは市販品がないためクスコに特注したスペシャルLSDを用意。
マネージメントはF-CON Vプロが担当。Vプロが担うのは、主にエンジンの燃調と点火時期、アイドリングコントロールバルブの制御、燃料ポンプの2段階制御、電動ファンの制御といったところ。Vプロ本体の周辺に確認できる配線は、ワイパーやヘッドライトなどのリレーだ。
さらに、4WD化による効能を倍増させるべく前後サスアームをPY50用へと変更し、Z33純正に比べて約40mmほどロングスパン化。メカニカルグリップを可能なかぎり引き上げる策も講じている。
驚きはまだ続く。それが車両重量だ。ツインターボ化や4WDシステムの導入による重量増を消すために、限界まで軽量化を敢行し、なんと1300kgジャストまで車重を押さえ込むことに成功したのだ。Z33ベースのチューニングカーとしては、もはや『究極形態』と言えるだろう。
●取材協力:JUNオートメカニック TEL:04-2934-5335
【関連リンク】
JUNオートメカニック
https://www.junauto.co.jp/