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31年間で駆け抜けた総距離は28万km!
定期的なリフレッシュにより強烈な4G63ターボパワーは健在
1992年製の最終型E39A型ギャランVR-4は、青木家の三男坊的なかけがえのない存在。まずはこのクルマを家族の一員として迎えることになった経緯を、お父さんの順さんに伺ってみることにした。
「それまではA73ランサーに長く乗っていたのですが、後付けクーラーの効きが悪くてカミさんから、“もっと涼しいクルマにしてほしい”と熱望されたのがきっかけでした。当時は三菱のディーラーに勤めていたので、デリカと悩んで最終的にVR-4を選びました。購入後はルーフボックスを載せて夏はキャンプ、冬はスキーへと家族みんなで出掛けたものです」と当時を振り返ってくれた。
一方、このギャランの将来的な継承者として名乗りを上げているのが長男の健吾さん。
「1992年生まれなので、このVR-4と同い歳なんです。子供の頃で覚えているのは、長距離移動の際にスペースクッションで後席をフラットにして、弟とゴロゴロしていたことですかね。母からは、夜泣きをした時にVR-4に乗せるとピタリと泣き止んだとも聞きました。そのせいなのか、今でもVR-4に乗ると不思議と安心感があるんですよね」というから、健吾さんにとってこのVR-4は走るゆりかごでもあるらしい……。
「20万kmでミッションのベアリング交換、24万kmの時にはタイミングベルトが切れてバルブを打ってしまったのでオーバーホールを行ない、ついでにタービンも新品に交換しました。すでに純正パーツの供給は壊滅状態。ディーラーでの修理はできませんので、基本は自分で。重整備は整備工場をやっている友人の力を借りています」と順さんは教えてくれた。
というわけで、青木さんのVR-4には社外パーツも装着されているが、それらはパフォーマンスというより補修と快適性の向上が主たる目的。耐久性を落とさぬよう、パワー系はあえてノーマルなのが拘りだ。
リヤシート後方のトレーには、当時の定番だった据え置き型のスピーカーが鎮座。イルミネーションは今もしっかり点灯する。パワー系の変更点は、フジツボのレガリスRマフラーのみとなっている。
純正オプションの電動サンルーフは、装着率低めのレア装備。ルーフの塗装劣化は今後補修を予定。同様の理由でボンネットとトランクは中古部品に交換したためブラックとなっているのだ。
インテリアもオーナーの愛情を反映するグッドコンディションを維持。ブースト計を追加する他、ステアリングとシフトノブを変更。前席は快適性向上のためにレカロのリクライニングシートに変更している。
実は取材の担当もかつてVR-4オーナーということで、我慢できずに少し乗らせてもらったが、4G63ターボのパワー感は今乗ってもワクワクするもの。エナペタル製のノーマル形状サスのしなやかさも絶品で、「重厚感のあるボディでこの加速感はVR-4でしか味わえない魅力なんです」という順さんの言葉に激しく納得した次第。
「受け継いで動かなくなるまで乗りたい」という健吾さん、今のご時世、確かにお父さんが提示している『永久整備付き300万円』という条件は、お値打ちものかもしれませんよ!
REPORT:川崎英俊