「タイムアタックの未来を担う若者たちのリアル」Attack筑波のU29クラスに大注目!

29歳以下が参加条件でNA、ターボとマシン仕様はさまざま

クラスのトップタイムは総合17位に食い込む56秒台をマーク!

タイムアタックシーンのビッグイベント「Attack筑波」ではマシンの仕様や装着タイヤ、タイムに応じて多くのクラス分けがされているが、今回注目したのは“U29チャレンジSL”というクラス。参加のための絶対条件はイベント当日に29歳以下であること。NAが1分6秒499、過給機が1分4秒499とやや緩めのタイム設定も含め、次世代を担うタイムアタッカーの登竜門として設定されているクラスだ。ここではそんなU29クラスの中から注目マシンをピックアップ!

フレンズS14シルビア 猪瀬太一 BEST TIME:56秒798

25歳の猪瀬太一さんは、栃木県のチューニングショップ“フレンズ”を経営する猪瀬代表の長男で、フレンズのスタッフとして各種作業や接客を担当。父親同様に、走ってイジれるチューナーを目指し、3年前の入社に合わせて製作開始したのがS14前期ベースのこのチューンド。ワークスカーとして位置づけられるS15に対し、太一さんドライブのS14はユーザーも実現可能な範囲で仕上げられているのがポイントだ。

パワー系はオリジナルキットで2.2LとしたSR20DETにHKS GT5565タービンの組み合わせ。MoTecフルコン制御により、最大ブースト1.6kg/cm2設定で550psを獲得。バンパーレスのリヤセンター出しのマフラーはワンオフ品。車内も徹底的な軽量化が図られ、車重はわずか1050kgとなっている。今回のAttack筑波に合わせてフロントアンダーパネルの拡大が図られた。

足回りはアラゴスタ製のスペシャル車高調で、スプリングレートは前後とも36kg/mmの設定。装着タイヤはアドバンA050 GS(前後295/30R18)。55秒台を目標タイムとしたが、「マシンはバッチリでしたが、フレッシュタイヤ装着の1本目でダンロップコーナーのライン取りに失敗したのが残念です…」とのこと。

J&K GTR35 ないとぅー BEST TIME:58秒649

26歳の“ないとぅー”さんは、約4年前にストリートからサーキットタイムアタックに転向。千葉県の老舗ショップ“J&K”の2代目の神保翔さんとは再従兄弟の関係で、マシンのメンテナンスやチューニングは全てお任せ状態で仕上げられたのがこのR35GT-R(2011年モデル)だ。

元々は完全ノーマル状態からチューニングを開始し、2年前からタイムアタック専用車として大幅に仕様を変更。限られた予算でタイムアップを目指し、徹底的な軽量化によりノーマルから約200kg減の1536kgという車重を実現している。

パワー系はHKSパーツによる3.8L強化仕様にGTIII-800タービンの組み合わせ。FD3S用インタークーラー流用のオリジナルVマウントによるショートパイピング化で、コーナー立ち上がりで有利なハイレスポンスを生み出しているのがポイントだ。

足回りはHKSハイパーマックスMAX-IVベースのオリジナル筑波スペシャル車高調で、スプリングレートはフロント18kg/mm、リヤ14kg/mmの設定。タイヤはシバタイヤR31(FR285/35R20)を選択。「シバタイヤは今回が初でしたがベストを更新することができました。デフやアテーサ制御など駆動系は手つかずなので、まだ伸びしろはあります」とのこと。

STAR FIELD M3 星野 雅空 BEST TIME:59秒212

15歳からドリフトを始め、その後グリップ走行の楽しさを知ってタイムアタックにハマったというのが19歳の星野さん。2022〜2023年シーズンはポルシェGT3で、2023〜2024年シーズンはBMW M4でAttack筑波に参戦しており、今シーズンはマシンをE92型M3にチェンジしての登場だ。

ノーマルでも420psを発揮する排気量4.0Lの自然吸気V8エンジンには、ボルトオンスーパーチャージャーの追加により600psオーバーの最高出力を獲得。さらに、ミッションもシーケンシャルドグに変更するなど、メイキングは非常に本格的だ。

アラゴスタのサブタンク付き車高調やAP製ブレーキシステム等で、足回りもきっちりと強化が図られている。「今回は58秒台を狙ってましたがロールを抑えるバネのセッティングがなかなか決まりませんでした。就職するのでAttackはこれが最後となりますが、また余裕ができたら走りたいと思います!」とのこと。

Mita Project FD2 よーすけ BEST TIME:1分00秒125

59秒568というNA仕様のFD2では筑波最速タイムを保持しているのが“よーすけ”さんのマシン。ベースは5年前に人生初の愛車として購入したもので、U29クラスへの参加は今回が2回目。2023年はエンジンノーマルのライトチューンだったが、昨年1年かけてエンジンからボディまで全てをタイムアタック仕様としてリメイク。大幅なポテンシャルアップを果たしたのである。

搭載されるエンジンは、オデッセイのK24腰下を流用したK20改2.4Lフルチューン仕様でMAXパワーは約300ps。製作を担当したのはミタプロジェクトだ。

ボディはドアとルーフのカーボン化の他、ダッシュボードも撤去して約200kgの軽量化を推し進め、2200発のスポット追加で剛性アップが図られている。足回りはテインのN1レース仕様車高調を装着。「エンジンと塗装以外のほとんどをDIYで行いました。マシンポテンシャルとしては59秒切りが目標ですが、それよりも支えてくれた皆さんに『よくやった』と認めてもらえるように今後も頑張りたいと思います」と熱く語ってくれた。

涙目GDB すてぃぐ BEST TIME:1分00秒206

「涙目」の通称で呼ばれるGDBアプライドEを5年前に人生初の愛車として購入し、完全DIYでカスタマイズしているのが“すてぃぐ”さん。大きな声では言えないが、某自動車メーカーでエンジン開発を担当している生粋のエンジニアで「購入当時はフルノーマルでしたが、走る楽しさにハマってついにこんな風になってしまいました」とのこと。今年で29歳ということで、Attack筑波のU29クラスへ初参加することにした。

もはや取り外せるものは無いほどの徹底的な軽量化により、車重はノーマルから約100kg減となる1330kgを実現。EJ20エンジン本体はノーマルで、タービンはGRBスペックC純正を流用。インタークーラーはHKSのVAB用トップマウントタイプを装着。ECUのセッティングはゼロマックスに依頼している。足回りは、テイン車高調にブレンボブレーキで、タイヤはアドバンA050 GS(前後265/35R18)という構成。59秒740のベストタイム更新を目指したが、今回はわずかに届かなかった。

●取材イベント:アタック筑波2025

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