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エスプリ謹製のオリジナルパーツでミッション強化も実現
圧倒的コスパを誇る稀代のチューニングベース!
創刊間もない頃からのOPTION読者なら覚えているであろう、三重の老舗チューニングショップ“エスプリ”の名を全国区レベルに押し上げた一台を。それは、純正色にはない青で全塗装され、キャブターボチューンで谷田部のバンクを駆け抜けたDR30スカイラインだった。

それだけに“エスプリ”前川代表のスカイラインに対する思い入れは深い。現行モデル400Rをデモカーとして迎え入れ、チューニングを推し進めるのも当然のことだろう。もう一つ言えば、同じエンジンを搭載するRZ34の登場を確信して、VR30DDTTの素性を知っておきたいという思惑もあった。


デモカーはHKSスーパーターボマフラーで排気効率を高め、オリジナル純正ECUセッティングによって最大ブースト圧を1.4キロとした仕様。パワーはノーマル比50psアップとなる実測470psに達し、最高速アタックに向けて第二触媒を外した状態では、さらに10psを上乗せする。これまでに記録した最高速は、フェイルセーフが介入しながらの283.53km/h。実力的には290km/hオーバー確実だ。

「どうせ走らないだろう…という先入観もあって、正直ノーマルには期待していなかったんですよ。ところが、乗ったら想像以上に速くて、R35と同じくらいの衝撃を受けました。なので、ブーストアップでも十分な速さだと思いますよ」とメカニックの北村さんは言う。

そんなパワーアップに伴って対策しておきたいのがミッション。しかし、シフトショックが大きくなる強化ATは、GTカーでもある400Rの性格を考えると避けたいところ。そこでエスプリでは、ミッションケースとオイルパンの間に挟み込むスペーサーを開発した。ATF容量を増やすことでミッションへの負担を軽減させるわけだ。
また、サーキットテストを通じて基本的にシャシー性能は高いと判断。それを踏まえて、足回りにはオリジナルセッティングを施したHKSハイパーマックスⅣGTが組まれる。ベース車に対してすでに容量アップが図られているブレーキは、キャリパーもローターも純正のまま。パッドとフルードをエンドレス製に交換するだけでサーキット走行に対応させている。

エンジンは2000rpmも回っていればトルク感は十分。そこからアクセルひと踏みで鋭く加速し、4000rpmから大きくパワーを伸ばしていく。速さには文句のつけようがなく、北村さんの言葉にも納得する。もちろん、セダンとしての快適性もキープ。全方位バランスの取れた仕上がりは、さすが老舗エスプリと言うしかない。
●取材協力:エスプリ 三重県鈴鹿市住吉3-19-1 TEL:0593-70-8080
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