「キミは3ピース鋳造ホイールを勘違いしていないか?」SSRプロフェッサーが競技ドリフトでも通用する戦闘力だった件について!

FDJで3ピース愛好家の深田選手がシリーズランク6位を獲得!

レースに端を発するSSRプロフェッサーの拘りに迫る

競技ドリフトの最高峰「フォーミュラDジャパン(FDJ)」において、連続出場記録を更新しつづける深田真弘(ふかだただひろ)選手。今シーズンは2度の表彰台を獲得し、シリーズランキング6位という好成績を収めたベテランだ。

PHOTO:金子信敏

そんな男の愛機は、750psを発揮するHKS3.4L仕様のフルチューン2JZ-GTEを心臓部に収めたJZX100マークII。全方位に渡ってトップドリフトカテゴリーで戦える戦闘力を求めたメイキングが施されているが、ホイールはなぜか鍛造の1ピースではなく鋳造の3ピースなのである。

SSRプロフェッサーSPX

SSRプロフェッサーSPX。ドレスアップシーンでは絶大な人気を誇るモデルだが、競技ドリフトの世界でこのホイールを履いているクルマなど、世界中探しても深田選手のマークIIくらいだろう。

この不思議なホイールチョイス、実はSSRの3ピースに対する強い想いが隠されていたりする。SSRの3ピースホイールはモータースポーツに端を発する。レースに魅せられた一人の青年が、自分で楽しむために工作機器を駆使して生み出した、3ピース構造の「MK-I」。これこそ、SSRがホイールの機能美探求へと歩み出した原点だ。

SSRスピードスターMK-I

現代においては“スポーツホイール=1ピース”という式が出来上がっているが、MK-Iの誕生した1971年はアルミホイール黎明期。

1ピースのアルミホイールは存在していたものの、まだまだ荒削りな仕上がりで、革新的と呼べるスピニング製法によって軽量かつ強靱に仕上げられた3ピースのMK-Iは、バネ下重量軽減での運動性能向上へ意欲的だったモータースポーツで高く評価されていく。

そんな経緯から、SSRはブランド立ち上げから現在に至るまでモータースポーツと密接に関わりながら、クルマ好きの若者が求める機能美ホイールの探求を進めてきたのである。

今でこそモータースポーツで培ったノウハウを反映させた『GT』シリーズに1ピースを投入しているが、プロフェッサーSP5のように下手な1ピースでは太刀打ちできない史上最軽量を誇る3ピースなど、ブランドの原点となる組み付けホイールに対する拘りは非常に強い。

ちなみに深田選手の履くプロフェッサーSPXは、フロント18×9.5J(+18)のリヤ18×10.5J(+5)なのだが、重量は10.3kg&11.0kg。同サイズの鋳造1ピースモデルが9.6kgということを考えると、かなりの軽さだ。なお、最軽量のSP5に至っては18×9.5Jで9.5kgを実現しているというから恐れ入る。

もちろん、強度への追求も徹底的だ。市販アルミホイールには、クオリティ確保のためにJWLとVIAという2つの規格が存在する。

JWLは突起物にヒットした際の衝撃を再現してホイール強度を確認する『13度衝撃テスト』や、コーナリング時にホイールが受ける曲げモーメントへの耐久性を確認する『回転曲げ疲労テスト』、走行中にホイールへと加わる上下方向の加重に対する『半径方向負荷耐久テスト』を課しているのだが、SSRではこれよりも遥かに厳しい社内規定でテストを行なっている。

「いくらカッコ良いデザインでも、安心・安全が確保できないようであれば、真の機能美とは言えない。それでは意味がないんです。机上論だけでは想定できなかった走りのシビアさを経験してきた上で、より厳しい独自の基準を設けています」とは、SSRの企画広報を担当する土居さん。

続けて、「最近のクルマは高重量化が進み、また室内空間を確保するために足回りが外にレイアウトされ、昔に比べてハイインセット化しています。ホイールは大口径でタイヤの性能向上により、インナーへの負荷が大きくなってきている。モータースポーツにおいても同様で、インナーリムの強度が重要だと考えています」。

インナーリム、アウターリム、センターディスクで構成する3ピースでは、パーツごとに強度を変えることが可能だ。それにより、一般的な市販モデルで採用されることが少ない、インナーリムの熱処理を標準化。スピニングと熱処理の組み合わせは、実はかつてのレーシングホイールに採用されていた技術であり、この製法で軽量かつ高剛性なインナーリムを持つ頼もしき3ピースが生まれてくるというわけだ。

PHOTO:金子信敏

「よく周囲から“なんで?”って聞かれますが、本当に戦えるホイールなんですよね。めちゃくちゃ酷使していますが、割れたことはないし、追走で相手とぶつかった時以外で曲がったこともないですしね。それにセダンには3ピースが似合うと思うんですよ! スポーツVIP的な?」とは深田選手。

PHOTO:金子信敏

3ピースホイールの可能性を突き詰めるSSR。モータースポーツと3ピース構造からスタートした老舗ブランドが今後どのように技術革新を繰り広げていくのか、その動向から目が離せない。

●問い合わせ:タナベ TEL:072-728-6700

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タナベ
https://www.rd-tanabe.com

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