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排気系+ECUチューンのみで約400馬力に到達
後期型ベースのストリートパッケージが完成!
ホンダ車のスペシャリストとして、コンピュータの解析から機能系パーツ、サスペンションの作り込みなど、いち早くFK8シビックタイプRに対するチューニングプログラムを確立させた“ジェイズレーシング”。そんなトップチューナーが手掛けた後期型ベースのストリートスペックが今回のターゲットだ。
まずエンジンから。純正タービンのポテンシャルはかなり高く、排気系+ECUチューニングによるブーストアップで最高出力394ps、最大トルク53.7kgmに到達。ノーマル比で約77ps、約11kgmという数値は、確実に体感できるレベルだ。
なお、オリジナルのハイパーECUは純正書き換えタイプとなるためイモビライザー機能も損なわれず、コンフォート・スポーツ・+Rの各モードにも対応。目標ブースト変更、トルクマップや点火マップの最適化、スピードリミッター解除が盛り込まれ、仕様に応じた現車セッティングもスタートしている。
エキゾーストマフラーは、オリジナルのFX-PROエキゾーストチタンRR。排気効率を徹底追及したストレート構造(サイレンサーはメイン部のみ)の採用により、素早いブーストレスポンスと高回転域の伸びを実現。さらに1mm厚のチタン合金を使用することで、純正の18.2kgから6.6kgへと大幅な軽量化も達成している。レイアウトは70φ→70φ×2→114φ×2という構成だ。
一方の足回りは、ジェイズレーシングのブラックシリーズダンパーRR車高調(FR18kg/mm)を軸に構築。ハイグリップタイヤが生み出す強烈なグリップを逃さず、タイヤが常に路面を捉えるような特性で仕上げられている。
ホイールはボルクレーシングTE37トラックエディションII(FR10J+34)で、タイヤには265/30-19サイズのミシュランパイロットスーパースポーツを組み合わせる。ブレーキは純正キャリパー&ローター+制動屋RM551プラスのコンビだ。
左右シートは高いホールド性を誇るフルバケット式のレカロRMSを導入。ステアリングやシフトノブなどの操作系アイテムは全てジェイズレーシングのオリジナル仕様だ。
フロント周りの新作エアロパーツは、空力やスタイリングよりも冷却効率の向上を優先して開発。中でも開口部を大きくデザインしたグリルとエアロボンネット・タイプVの組み合わせは効果的で、ヒート傾向が強いシビックタイプRでスポーツ走行を楽しむならば“必須レベル”とのこと。
3次元形状のGTウイングはストリートを意識した車検対応品。素材にはウエットカーボン(ウイング本体)とドライカーボン(固定ブラケット類)を部位ごとに使い分けて、強度と軽量化を高次元で両立。重量は3.5キロ、ウイング幅は1545mmの設定だ。
このチューンドをセントラルサーキットで走らせた井入宏之選手は「パンと踏んでトルクが立ち上がるエンジン特性なので、スポーツラジアル&LSD無しだと駆動力を路面に伝えきれず、本気でタイム狙うには物足りなさはある。だけどストリート仕様としては非常に高いレベル! さらなる熟成でどこまで仕上がるか期待したいね」とコメント。
取材当日のベストタイムは1分29秒995。タイム重視ではなく、スタイリング重視の19インチでこの記録は十分すぎるレベルだ。デビュー直後から、精力的にパーツ開発を行ってきたジェイズレーシング。今後はさらに研究を重ね、性能に直結する高機能パーツを続々とラインナップ予定とのことだから期待したい。
●取材協力:ジェイズレーシング 大阪府茨木市畑田町10-17 TEL:072-345-3500
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