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車体番号100番台という超初期モデル
前期型だけに設定されたデジパネ仕様!
8人乗りキャブオーバー型ワゴンとして、1976年に初代が登場したタウンエースワゴン/バン。そのOEMとしてダイハツに供給されたのがデルタワイドワゴン/バンだ。
前期型は商用バンからの派生モデルという印象が強かったが、後期型で一気に装備を充実させ、1982年11月に発売された2代目はラグジュアリー感をプラスした乗用ワゴンとして大きな進化を遂げていた。
取材車両は、その2代目デルタワイドワゴンの最上級グレードSQ。タウンエースではロイヤルラウンジに相当するグレードで、ラインナップで唯一、2列目にセパレートシートを採用した7人乗りとなるのが特徴だ。
さらに、ボディ同色バンパーやブロンズガラス、フロント手動チルト+リヤ電動スライドルーフ、集中ドアロック、AM/FMマルチラジオ+5スピーカー、極めつけはエレクトロ・グラフィックメーター(デジパネ)を標準装備し、電動カーテンがオプション設定されるなど、その内容には目を見張るものがあった。
搭載エンジンは、当初1.8L直4OHVの2Y-U型(95ps/15.5kgm)のみだったが、デビュー半年後の1983年5月、最上級グレードSQのエンジンがEFIを採用した2.0L直4OHVの3Y-EU型(115ps/18.3kgm)に変更され、他グレードには2.0Lディーゼル直4SOHCの2C型(72ps/12.8kgm)も追加された。
目の前のデルタワイドワゴンSQは、ボディ上面が濃いゴールド、下面がブラウンの2トーンで塗り分けられたイメージカラーのパノラミックトーニング。フロントフェンダーでキックアップしたウエストラインがくっきりと陰影を生み出し、ボディサイドにアクセントを与えている。
室内は、赤い生地のシートが80年代感満点。キャブオーバー型で衝突安全にもうるさくなかった時代のクルマだから、全長4.5m弱ながら居住空間にもラゲッジスペースにもゆとりがある。
アッパー部を暗めのエンジ、ロワ部を明るめのブラウンの2トーンとしたダッシュボード。ナルディ製ステアリングハンドルに合わせ、シフトノブもウッドタイプに交換される。
1984年8月までの前期型SQには標準装備、それ以降はオプション設定とされ、1985年8月以降は廃止されることになったエレクトロ・グラフィックメーター。中身はタウンエースそのものだが、ダイハツ初のデジパネ採用モデルが実はこのデルタワイドワゴンだったりする。
エアコン装着車にオプション設定された小型冷蔵庫。世界初の製氷機能付きというのが大きなウリだったりする。また、スイッチ切り替えによって温蔵庫として使うことも可能だ。
他のグレードはシート配列2-3-3の8人乗り、または3-3-3の9人乗りだが、SQだけは2-2-3の7人乗り。全ての列に前後スライドとリクライニング機構が与えられ、セパレート式の2列目は180度向きを変えることで3列目との回転対座が可能になっている。もちろん、2~3列目でのフルフラット化も可能。
SQはデュアルサンルーフ仕様だけどフロント側は開閉せず、ダイヤル操作でのチルトアップのみ可能となっている。また、室内側には直射日光を遮るためのサンシェードも装備。
1~2列目の頭上にはオプション設定のデュアルエアコン&電動スライドルーフ操作スイッチの他、、エアコンの吹き出し口が設けられる。また、後席用エアコンの温度や風量調整などは2列目右側に用意された操作パネルで行なう。
ちなみに、タウンエース(とライトエース)の生産はダイハツが担当している。つまり、ダイハツにしてみれば自社生産してるクルマなのにトヨタからOEM供給を受けるという、屈辱的かつおかしな状況になっているわけで、そこには親会社と子会社の厳しい関係が見え隠れするのだった…。
■SPECIFICATIONS
車両型式:YB21G
全長×全幅×全高:4455×1670×1955mm
ホイールベース:2235mm
トレッド(F/R):1425/1380mm
車両重量:1370kg
エンジン型式:3Y-EU
エンジン形式:直4OHV
ボア×ストローク:φ86.0×86.0mm
排気量:1998cc 圧縮比:8.8:1
最高出力:115ps/5000rpm
最大トルク:18.3kgm/3600rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ダブルウィッシュボーン/4リンクリジッド
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤサイズ(F/R):185/70SR14
TEXT&PHOTO:廣嶋KEN太郎
取材協力:アンティークス 愛知県安城市池浦町小山西72-4 TEL:0566-77-8500
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