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過給機仕様にも対応する4連スロットルキット!
純正の電子制御スロットルを利用したシステム構成
“EMCエンジニアリング”が製作したZN6型86は、独自の多連スロットルシステムを組み込んでいることが最大のトピックだ。
86が純正採用する電子制御スロットルはポジショニングセンサーとして残し、オリジナルのリンク機構で4連スロットルを作動させるという、シンプルで純正ECU制御を活かせる仕組みが考案されている。
FA20本体は完全にフルノーマルのまま。4スロ化による吸気効率の向上と、オリジナルEXマニを軸にした排気チューンによってFA20エンジンのポテンシャルを引き出している。将来的にはエンジン本体のチューンにも着手、NAのままノーマル+100ps以上、実測250psの発揮を目指したいという。現状は実測200psのスペックだ。
スロットルボディはAE101純正を流用し、EMCワンオフのインマニを介してエンジンに接続。取材時は4スロをアピールするためにファンネル仕様となっていたが、現在はサージタンクをワンオフ製作、異物の混入を防ぐためエアクリーナーも装着されている。キット価格は27万8000円(フラッシュエディターとのセットは34万円)で、取り付け&バランス調整費用は12万円という設定だ。
この4連スロットルシステムの要となるのが、純正スロットルの機構を改造した作動方法。ワイヤー式に変更するのではなく、純正スロットルのシャフトからリンケージを繋ぐことで4連スロットルのバタフライバルブ開閉を行なっているのだ。さらに、吸気温やバキュームタンクから取得した圧力などを使って走行状況に合わせた補正を行うことで、冷間時やエアコン使用時のアイドルアップもしっかり働くようになっている。
燃調や点火時期の制御など、ECUセッティングツールはフラッシュエディターが担当。4連スロットル化されたエンジンに合わせて現車セッティングが施されるのだ。
エキゾーストにはEMCオリジナルのフルチタンマフラーを装備。出口は地面に向け排気を地面に当てて消音効果を高めている。排気効率を追求しながらも、街乗りも快適にこなす静粛性を両立するための工夫だ。
足回りはアペックスのN1ダンパーエボリューションを軸にセットアップ。スプリングレートはベースとなる前後10kg/mmから、街乗りでの快適性を重視して前後8kg/mmにダウンしている。デフはOS技研のスーパーロックLSDで1.5WAY、ファイナルは4.5の加速重視だ。
リヤのラテラルリンクやトーロッドはオリジナルのピロアームに変更され、足回りの動きが適正化されている。
サーキット走行でも音を上げない安定した制動力を求めて、ブレーキはエンドレス製に変更。構成はフロント4ポットキャリパー+326mmローター、リヤはコンパクトな2ポットキャリパー+316mmローターだ。
ホイールは高性能スポーツホイールの代名詞ボルクレーシングTE37SLで、前後ともに9.5Jを採用。タイヤはラジアルのディレッツァZIIスタースペック(FR255/35-18)で、あくまでも『街乗りメイン、たまにサーキットも走る』という性格付けになっている。
街乗りを主なステージに見据えたマシンのため、快適装備はもちろん内装パネルやリヤシートもフルで装着。AEMのA/Fメーターの他、インテリジェントインフォメータータッチで車両の情報をスマートに表示させる。
エクステリアはイングスのNスペックエアロパーツで統一。スーパー耐久などのレースフィールドで培ったノウハウを投入し、空力性能とスポーティなイメージ作りに貢献している。
なお、EMCの4連スロットルキットは、元々NA仕様のレスポンスアップを狙って開発されたパーツだが、現在では過給機仕様にも対応。手軽に実現可能な多連スロットルという選択肢は、脱定番を狙う86&BRZオーナーにとっては大いにアリと言えるだろう。
●取材協力:EMCエンジニアリング 愛知県刈谷市板倉町3-8-10 TEL:0566-24-3841
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