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6.0LのW12気筒ユニットを660馬力までパワーアップ
ベントレーが誇るスポーツモデル“コンチネンタル”。その上位グレードである”GTスピード”をベースにしたチューンドが今回の主役だ。対GT-R用として鍛え上げられた欧州スーパーチューンド、その実力や如何に。(OPTION誌2008年7月号より抜粋)
超重量級マシンでオーバー300km/hに挑む!
世界屈指のスーパースポーツにして、モダンクーペの代名詞的存在であるベントレー・コンチネンタルGT。そのトップグレードである初代“GTスピード”をベースにしたチューンドの登場だ。手がけたのは、気鋭チューナー“ASI”。
6.0LのW12気筒ツインターボエンジンは、ストック状態でも610ps/76.5kgmという強烈なスペックを誇る。ここにASI独自のECUチューニングとエキゾーストをセットすることによって、プラス50psのエクストラパワーを手にしている。
サスペンションは純正のままながら、オリジナルのエアサスコントローラーによって、綿密な車高調整を実現。今回は最も低い設定で走行テストに臨んだ。
ホイールはASIオリジナルの鍛造3ピースでサイズは22インチ(F9.5J R10.5J)、タイヤはピレリのP-ZEROネロをセットする。そして、超巨大なカーボンセラミックローターは何と420mm。そのローターの半分近くを覆う、これまた超巨大なキャリパーは8ポットの大容量タイプだ。
内装はストック状態だが、2000万円オーバーの市販車だけあって超豪華。あらゆる箇所が贅を尽くした仕上がりだ。ミッションはZF製の6速ATを搭載。秀逸な変速プログラムによって、0-100km/h加速4.5秒という高い動力性能を生み出している。
装着されているエアロパーツは、バンパーからトランクまで全てASIオリジナルのドライカーボンモデル。ダウンフォースの増強はもちろん、トータル50kg以上の軽量化も実現する。
ボンネットには、岩絵具と24金を用いた桜の装飾が施される。もはやドレスアップの域を超越したこの作品を手掛けたのは中村哲叡氏という人物で、比叡山延暦寺を始め日本中の寺院や施設から引っ張りだこの日本画家だ。
気になる最高速アタックの結果は294.79km/h。エンジンポテンシャル的にはまだ伸びそうではあったが、まさかのエアサストラブルが発生。踏み切る事ができなかったのである。
アタッカーを務めた新田守男選手は「メーカー公称値の326km/hは疑問だけど、万全のコンディションであれば310km/hは出せたと思う。エンジンのパワーフィールと安定感の高さは異常。GT-Rを超えているよ」とコメント。
望み通りの結果ではなかったとはいえ、実力の片鱗を示したASIコンチネンタルGTスピード。末恐ろしい欧州スーパーチューンドだ。
●取材協力:ASI