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FA20を捨て去りLS1ベースの8連スロットル仕様を搭載!
ボルトオン過給機がメインストリームだった86&BRZチューニングシーンに突如として現れた異端児、それが今回紹介するZN6型86だ。心臓部には多連スロットル仕様のアメリカンV8を搭載し、ボディからサスペンションまでショーカーレベルのクオリティで仕上げられていたのだ。(OPTION誌2014年10月号より抜粋)
轟自動車が世界のカスタムカーシーンに向けて製作した超異端V86
日本車のチューニング&カスタム文化が海を渡り、名を変えて、形を変えて逆輸入されている昨今。その手法を真似することが“カッコ良い”とされているが、本来は『JDM』として真似されるべき文化のはずだ。そんな風潮に逆らうべく、大阪の“轟自動車”が作り上げたのが、この『V86』である。
車名の“V8”が示すのは、移植したC5コルベットのLS1エンジン。アメリカンスポーツの象徴を心臓部としているが、決してUSシーンを真似た訳ではない。トヨタ86という最新の国産スポーツカーをベースに、轟自動車が理想とする“FRレーシングスペック”を創造するのに、最も適したパフォーマンスを有するのがLS1だった…というだけだ。
換装したLS1エンジンには、Jenvy社の8連スロットルシステムをドッキング。EXマニはワイバーンがワンオフした4-1タイプで、45φのロングチューブ仕様だ。アダプトロニック社のフルコンで綿密に制御することで実測350ps&48kgmを発揮している。
ミッションにはリッチモンドの6速Hパターンを採用。ミッションとEXマニの搭載スペースを確保するためにフロアトンネルは大胆にカットし、TRA京都によるワンオフのカーボン製ミッショントンネルで覆っている。なお、キャンディオレンジへの塗装はルッキングが担当。存在感を主張する油圧サイドブレーキはフラットウェル…と、関西の叡智が結集しているのだ。
オルガン式のペダルボックスもフラットウェルの製品で、ウィルウッドのマスターシリンダーと組み合わせて使用する。エンジンスワップでは、ブレーキやクラッチのマスターシリンダーとの干渉で悩まされるケースが多いが、その問題を一気に解決する策だ。
足回りはスタンスジャパンの2WAY車高調を軸に構築。ヘビーなV8エンジンへの換装と、スタビライザーのレス化に合わせ、フロントは16kg/mmとハイレートスプリングを組む。
また、ピロアッパーは左右逆に装着してハイキャスター化(全寝かし)し、キャンバー調整はフラットウェルのスーパーナックルのロワボールジョイントで行なう。
フロントフェンダーは、轟自動車が『KMO』ブランドからリリースするオリジナルを装備。純正交換タイプとして装備しやすさも追求した片側30mmワイドの設計となる。フェンダーエクステンションの有無によって表情を変えられるのもポイントだ。
ホイールは18インチのワークエモーションD9Rで、前後とも10.5J+30。タイヤにはイーグルRSスポーツ(F215/40-18 R225/40-18)をセットする。フロントのキャンバー角はネガ8度前後に設定している。
ZN6型86用のリヤスポイラーはトランクに装着するのが主流だが、轟自動車はルーフ固定タイプを選択。映画『マッドマックス2』で主人公が駆る“インターセプター”の、ルーフスポイラーをイメージしながらデザインしたという力作だ。
フロント/サイド/リヤの各スポイラーは、チャージスピードの『ボトムライン タイプ2』を選択。86本来のスタイリングを活かしつつ、車高の低さがアピールできるアンダースポイラータイプだ。リヤディフューザーも同シリーズのもので、純正バンパーがベースとは思えない迫力を生み出す。
ベタベタの低車高とV8スワップをはじめとした各部の本気の作り込みを魅力とし、各地のカーショーで存在感を見せつけてきた。そして、USDM系イベント『ウィークフェスト』ではグランプリを獲得。国産パーツで構成するV86だけに、間違いなく快挙だろう。今後はV8の本領を発揮させるべく、ショーカーからの脱却を図るという。ヴィジュアルイメージも刷新して迎えるセカンドシーズンに期待せざるを得ない。
PHOTO:南井浩孝
●取材協力:轟自動車 大阪府柏原市国分市場2-9-17 TEL:072-944-0886
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