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1200馬力オーバーの2JZを搭載するドリフトスペック
各気筒にNOSを打ち込むシーケンシャルショットも搭載
日本が世界に誇るドリフトドライバー斎藤太吾選手が、かつて海外での活動のために製作したチューンドマシンの登場だ。ベースとなったのは、超レアなレクサスIS-C(GSE20)というモデル。
「新しいマシンを何にしようかと迷っている時に、たまたま見つかったのがこのIS-C。不動車だったからメチャクチャ安かったのと、ISクーペのドリ車はすでに他の人が作っていたから、コンバーチブルを選びました」とのこと。
手に入れたIS-Cは2.5LのV6ユニットを搭載するモデルだったが、1000psクラスも珍しくない現代ドリフトには向かないため撤去、代わりに2JZ-GTEを換装した。
なお、換装作業はそれほど難しくなかったそうだが、このマシンはバルクヘッドにめり込む位置までエンジンをオフセットさせているため、マウント類にかなりの工夫が必要だったそう。
エンジン本体は、腰下にJE製ピストンとBC(ブライアンクロワー)製のコンロッド&クランクを組んで3.4L化。ヘッドもナプレックの手によるフル機械加工のスペシャルが投入されている。圧縮比はレスポンス重視で11:1と、かなり高めの設定だ。
組み合わせるタービンは、ギャレット製GTX4294R。このビッグシングルに、2.2キロというハイブーストをかけて1000馬力オーバーを発揮させているが「オクタン価の高いレースガスを使って、セッティングがキッチリ決まっていれば壊れないですよ」とは斎藤選手。
さらに、各気筒にNOSノズルを打ち込む6連のシーケンシャルショットを採用。6000rpm〜8000rpm間で噴射するようにセッティングされており、噴射時には200psのエクストラパワーを獲得する。
ドリフトに重要な切れ角は、セルシオ用ステアリングラック移植+ショートナックルで驚異のアングルを実現している。アッカーマンアングルは、フルアングル時にかなり転がるセッティングだ。
サスペンションはドリフト界でメジャーなDG5車高調を軸にセットアップ。アーム類はメーガンレーシングの調整式を投入する。
ブレーキはウィルウッド製パーツを使用し、フロントに6ポッド、リヤはフットブレーキとサイド用とでそれぞれ独立した4ポッドキャリパーを装着している。
ホイールはプロドライブGC-05Kで、取材時の装着タイヤはATRスポーツ2(265/35-18)だった。
ボディメイクも凄まじい。ウイングごとガバッと外すことができるトランク内には、ラジエターをはじめとするクーリング関係と燃料タンク、バッテリー、NOSタンク、電動ウォーターポンプなどがマウンドされている。これらの重量物をリヤマウント化したことにより、前後重量配分はほぼ50対50となっているのだ。
エクステリアはカザマオートのIS-GTコンセプトでフル武装。ドアパネルはフリークラフト製のドライカーボンモデルを奢り、車重は1250kgを実現。
室内は完全なレーシングスペック。メインメーターは各種データを表示できるレースパックIQ3を使用。シートポジションはかなり後方にオフセットされ、それに合わせてステアリングシャフトは延長、ブレーキペダルもチルトンのオルガン式に変更される。 ミッションはホリンジャーの6速シーケンシャルだ。
シートは左右ともブリッドのジータIII、ロールケージはファットファイブ製のワンオフスペシャル品だ。
完成後はフォーミュラ・ドリフト・アジアで暴れまわり、投入1年目で見事シリーズチャンピオンを獲得。斎藤太吾の名を、ワールドレベルに高める原動力となった名チューンドである。
取材協力:ファットファイブレーシング TEL:042-941-6588
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