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生産はオーストラリア三菱が担当！
本革シート標準装備のラグジュアリーモデル
1995年1月に発売されたF30／40系2代目ディアマンテ。マニアなクルマ好きなら、真っ先に3.0LのV6NAで270psを誇る6G72型MIVEC仕様を載せた国産車屈指のハイパワーFFセダン、30M系を思い浮かべるだろう。
しかし、今回ピックアアップするのは30M系の影に隠れてカタログモデルに加わったF36W型ディアマンテワゴンだ。これはオーストラリア三菱が生産する3代目マグナワゴンそのもので、日本での発売は1997年10月のことだった。
エンジンは200psを発揮する6G72のSOHC24バルブ仕様で、ミッションはマニュアルモード付き5速AT(INVECS-II)を搭載。
当初、本革シートなどを標準装備する上級LSとベーシックなESの2グレードで展開したが、販売台数が伸びなかったことから2000年11月にまずLSが廃止され、ESに一本化。それでも状況が好転することはなく、1年後の2001年10月にはディアマンテワゴンの販売自体が終了した。
取材車両はノーマル状態をよく保った上級グレードLS。新車当時ですらあまり見かけず、それから20年以上が経った今ではなおさら遭遇する機会も減っているモデルの上級グレードとなれば、文句のつけようなどあるはずがない。
内装色は黒とベージュの2トーンとされ、ウッドパネルがあしらわれたラグジュアリーな雰囲気のインテリア。本革とウッドのコンビタイプとなるステアリングホイールやATセレクターノブはナルディ製で、上級グレードLSの専用装備となる。
メーターは視認性に優れるハイコントラストタイプ。右から水温計、タコメーター、スピードメーター、燃料計が並ぶ。
本革シートを標準装備するLS。運転席はスライド、リクライニング、座面高さ共に電動調整式となる。
大型センターアームレストを持つ後席の背もたれは60：40分割で前倒しが可能。ワゴンとしての積載性や使い勝手を高める。
ラゲッジルームの広さは特筆もの。タイヤハウスの張り出しが抑えられ、荷室幅は最大1400mmに達する。また、奥行きは後席を起こした状態で1220mm、背もたれを倒せば1985mmまで拡大。これだけ広ければ、進行方向と逆向きに座るフロア下格納式の3列目シートがあってもよさそうだが、残念ながら設定なし。
ラゲッジルーム側面のトリムと同じ素材で仕上げられたリヤゲート内側。左右にスピーカーが内蔵され、リヤゲートハンドルも装備される。
LSにはチルト機構を持った電動ガラスサンルーフが標準装備。その他、トラクションコントロールやクルーズコントロール、CDプレイヤー一体型AM/FMチューナーなど上級グレードらしい充実の装備を誇る。
今時、全長4.8m、全幅1.8m弱というボディサイズは決して大きくないが、デザインの妙なのかボリューム感は実寸以上。それでいて一体感のあるサイドウインドウやリヤゲート(Dピラー)の角度など、ワゴンとしては相当スタイリッシュにまとまっている。
6G72型エンジンは低中速トルクが頼もしく、街乗りなら3000rpmまで回さなくても事足りる。アクセルペダルに軽く右足を乗せてるだけでユルユルと走れるこの感覚に、雄大なオーストラリア大陸を走るディアマンテワゴンの姿を思い浮かべたのは本当だ。
続いて、Dレンジからセレクターレバーを左に倒してマニュアルモードを選択。1速からアクセルペダルを深く踏み込んでみる。1600kgを超える車重に200ps／28.0kgmというスペックでは物足りないと思っていたが、加速性能には不満なし。
動き始めからクルマをグッと前に押し出してくれる低中速重視のトルク特性に加え、上は6000rpm手前まで綺麗に吹け上がるし、タコメーターの針の動きに合わせてパワーも追従してくれる。意外にもスポーティな一面を持ち併せた実用エンジンと言うべきか。
ちなみに2021年7月現在、カーセンサーネットを覗いてみたら、ディアマンテワゴンLSの中古車はこれ1台だけだった。どうやら思っている以上に希少性も高そうなので、中古で狙うLクラスワゴンの選択肢としては悪くない！
●SPECIFICATIONS
車両型式：F36W
全長×全幅×全高：4810×1785×1500mm
ホイールベース：2720mm
トレッド(F/R)：1545/1505mm
車両重量：1630kg
エンジン型式：6G72
エンジン形式：V6SOHC
ボア×ストローク：φ91.0×76.0mm
排気量：2972cc 圧縮比：9.0：1
最高出力：200ps/5500rpm
最大トルク：28.0kgm/4500rpm
トランスミッション：5速AT
サスペンション形式(F/R)：ストラット/5リンク
ブレーキ(F/R)：ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ：FR215/60R16
TEXT＆PHOTO：廣嶋健太郎
●取材協力：アンティークス 愛知県安城市池浦町小山西72-4 TEL：0566-77-8500
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