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当初の想定を上回る高いエンジン耐久性!
FA24エンジンにも排気量アップキットを展開予定
総合パーツメーカーの“HKS”が、東京オートサロン2023で公開したFA24エンジン用の2.5Lキャパシティアップグレードキット。パワー志向のGR86&BRZオーナー達にとっては気になる存在だろうが、今回はこの必殺パーツの開発進展状況に迫っていこうと思う。
HKSのエンジンパーツ開発を担当する高橋さんによると「筑波で56秒台に突入したタイムアタックマシンは、試作ターボ(GT-RS相当)をノーマルエンジンに組み合わせているのですが、想像以上にFA24の耐久性が高いんです。本当にビックリですよ」とのこと。
筑波アタック時の最高出力は500psに迫っていた。そこまでのハイパワーを絞り出していながら、FA24は音を上げることなく高いパフォーマンスを発揮しつづけたのである。前モデル(HKS Racing Performer 86)のデモカーで度重なるエンジンブローに悩まされたHKSにとっては、良い意味で予想を裏切られたわけだ。
「FA24の純正ピストンやコンロッドは、強度計算を間違えて作ったんじゃないかと疑うレベルで強靱ですね」と高橋さんは付け加える。
とはいえ、パワーチューニングに終わりはない。近い将来、オーバー500psを狙う場面も出てくるはず。そんな未来予想図を描きながら、HKSは他に先駆けて排気量アップキットを開発しているのだ。
早速、2.5Lキットの概要を見ていこう。ボア径は変更することなく、クランクシャフトでストローク量を86mmから90mmにアップ。これにより排気量を純正の2387ccから2498ccへと高めるのだ。もちろん、ピストンとコンロッドも強化品が組み込まれる。
「2.5L化の軸となるクランクシャフトは、FA20用の2.1Lキットと共通です。正しくは、純正クランクのプーリー側ボルト径が太くなっているので、FA20用をFA24用に合わせてチューニングするのですが、クランクで4mmストロークアップさせると、FA20が2.1L化したように、FA24では2.5Lになります」。
同様に、I断面形状のコンロッドもFA20用2.1Lキットと共通化。対応トルク上限の異なる2種類(ステップ1:70kgm/ステップ2:90kgm)をラインナップ予定だ。
そして、ピストンはFA24のボア径90φに合わせて新設計。ちなみに、FA24はピストンをブロックに組み込む際、ピストンピンを入れるホールを避けた低ピストンハイツが必要なため、高温強度に優れるA2618鍛造素材を削り出して作り込んでいる。
これらのムービングパーツが組み合わさることで、HKSのFA24用2.1Lキャパシティアップグレードキットは完成する。価格や販売時期についてはまだ明言されていないが、オーバー500psの未来はすぐそこまで来ているのだ。
●問い合わせ:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235
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