パナソニック オートモーティブシステムズの「VERZEUSE® for Virtualization Extensions Type-3」は、車両の外部ネットワークとつながることで、攻撃者に侵入されるリスクが高まるソフトウェア領域(例:車両制御仮想マシン上のインフォテインメントシステムコンテナ)と、制御機能やソフトウェア更新機能など車両の重要な機能を搭載するソフトウェア領域(例:車両制御仮想マシン上の車両制御コンテナ)の間の通信を監視する。監視機能を隔離されたコンテナ内に配置することで、安全な領域から通信を監視し、不審な通信を検知して遮断する。これにより、車両の重要な機能をサイバー攻撃から守り、車両の安全性を向上させる。本方式は、仮想化環境を利用した次世代コックピットシステムに求められるセキュリティ要件※4にも適合している。

VicOneが提供する「xCarbon」は、車両向けの組込型セキュリティソフトウェアで、車両に対するサイバー攻撃の検知と防御を行う。この「xCarbon」が、「VERZEUSE for Virtualization Extensions Type-3」の拡張インターフェースと連携することで、コンテナ間の通信データを監視し、脆弱性を悪用した攻撃や通信異常等から次世代コックピットシステムを保護する。さらに、「VERZEUSE for Virtualization Extensions Type-3」がリスクの高い通信を選別して「xCarbon」に渡すことで、セキュリティ監視をより効率的に行うことができる。

近年、SDV※5の進化やネットワークに接続する車両の増加により、車両を狙ったサイバー攻撃などのセキュリティ脅威に対するリスクは高まる一方である。2021年1月には国連により、自動車サイバーセキュリティ法規UN-R155が施行された。日本では2022年7月以降に販売される一部の車両からこの法規が適用され始め、2026年5月以降は販売される全ての車両が対象となる。この法規の下では、十分なサイバーセキュリティ対策が講じられていない車両は、保安基準を満たさず販売できなくなる。そのため、自動車メーカーや関連企業にとって、セキュリティ対策の重要性がこれまで以上に高まっている。

【注釈】

※1 VERZEUSEは、パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社または関連会社の日本国における登録商標。
※2 AGLは、次世代コックピットシステムにおける有力な車載OSの一つとされている。
※3「第31回ITS世界会議2025アトランタ」に出展(2025年8月5日)
※4「ST-CSP-18:ソフトウェア分離技術を用いた車載セキュリティ機能要件定義書Ver.1.01」
(JASPAR (Japan Automotive Software Platform and Architecture), 2023)
※5 SDV(Software Defined Vehicle)