マイルドハイブリッドで市街地燃費No.1のスズキ

スズキ スペーシアのWLTCモード平均燃費は、R06D型を搭載する自然吸気モデルで最大25.1km/L、R06A型ターボ搭載モデルが最大21.9km/Lだ。車体の軽さとマイルドハイブリッドシステムの相乗効果により、ストップ&ゴーの多い市街地走行でとくに高い燃費性能を発揮する。

多くのメーカーが同一設計のエンジンでターボモデルと自然吸気モデルをラインアップするなか、スズキは主力エンジンであるR06A型の自然吸気およびターボエンジンと、自然吸気専用のR06D型の3つのエンジンを車種に応じて使い分けている。

R06A型エンジンの特徴は、熱効率の高さに直結するロングストローク設計と、吸排気の両方に備わる可変バルブタイミング機構であり、スペーシアカスタムに搭載されるR06A型ターボエンジンのスペックは最高出力64ps/6000rpm、最大トルク98Nm/3000rpmだ。さらにマイルドハイブリッドシステムのモーターアシストが加わることで軽自動車らしからぬ発進性能を発揮する。

一方、現在のR06A型自然吸気エンジンは、エブリイやキャリイなどに搭載される実用エンジンとしての役割を担っている。キャリイに搭載されるR06A型自然吸気エンジンのスペックは、最高出力50ps/6200rpm、最大トルク59Nm/3500rpmだ。

後発となるR06D型は、R06A型よりもロングストロークかつ高圧縮比となっているうえ、気筒あたり2つの燃料噴射装置により燃焼効率を向上させている。

しかし、R06D型のスペックは最高出力49ps/6200rpm、最大トルク58Nm/5000rpmと数値自体は控えめだ。また、最大トルク発生回転数もR06A型に比べて高いといった特徴がある。

これは、モーターアシストが介入できない領域での動力性能と燃費性能の向上を狙った設計と言えるだろう。つまりR06D型はマイルドハイブリッド専用の自然吸気エンジンということだ。

ダイハツは燃焼技術でピカイチ

ダイハツを代表するタントのWLTCモード平均燃費は、自然吸気モデルで最大21.9km/L、ターボモデルで最大21.2km/Lとなる。

現行のダイハツ車に広く搭載されるKF型エンジンが登場したのは約20年前であり、現在は4世代目だ。ボア63.0mm×ストローク70.4mmの基礎設計は一貫しているが、細部は熟成を重ねて大幅な進化を遂げている。

最新のエンジンでは最適な吸気ポート設計と特殊な燃料噴射装置の採用により、少ない燃料から効率よくエネルギーを取り出している。さらにマルチスパーク点火による燃焼の安定化で得られる実用域での粘り強いトルクも持ち味だ。燃焼制御に関してはダイハツがもっとも優れていると言えるかもしれない。

自然吸気エンジンは最高出力52ps/6400rpm、最大トルク60Nm/3600rpm。ターボモデルは最高出力64ps/6400rpm、最大トルク100Nm/3600rpmだ。

またダイハツ車の高い燃費効率は変速機にも秘密がある。独自構造のD-CVTはギヤとベルトを併用することでCVT特有のメカニカルロスを削減するとともに変速幅を拡大。変速機によるエンジンの低回転化と、低い回転数からトルクを生み出せるエンジン特性が合致することで優れた燃費と静粛性を両立している。

マイルドハイブリッドシステムなどの追加装備に頼らずとも他社に劣らない環境性能を実現している点は、ダイハツ車の価格の安さにも直結している。

パワーとフィーリングでは一番のホンダ

ホンダ N-BOXのWLTCモード平均燃費は、自然吸気モデルで最大21.6km/L、ターボモデルで最大20.3km/Lだ。

2代目N-BOXから投入されたホンダのS07B型は、エンジンスペックの高さと、優れた静粛性および低振動性が特徴だ。

ボア60.0mm×ストローク77.6mmという超ロングストローク設計でありながら、ホンダのエンジンらしい滑らかな吹き上がりを両立している点が最大の特徴であり、大きな魅力とも言えるだろう。

さらにS07B型では、鏡面バルブやナトリウム封入排気バルブといった熱対策技術も導入されており、高負荷時でも安定した性能を維持する耐久性を備えている。

自然吸気エンジンは、吸気バルブタイミングに加えリフト量までを可変させるi-VTECを採用。これにより低速域の粘りと高回転域のパワーを両立しており、最高出力58ps/7300rpm、最大トルク65Nm/4800rpmとスペック値では他社のエンジンを大きく凌ぐ。

またターボモデルのスペックも最高出力64ps/6000rpm、最大トルク104Nm/2600rpmと他社よりも優れる。ターボエンジンでは電動ウェイストゲートを採用することで過給圧を緻密に制御し、他社のターボエンジンよりも大きなトルクをより低い回転数から発生させている点が特徴だ。

一方で、高性能なエンジンだけに車両価格は高めであるうえ、燃費性能も控えめとなる。しかし、高い加速性能とエンジンフィーリングは他社のエンジンにはない魅力だ。とくに郊外道路や高速道路を主体とする使い方にマッチするだろう。

スペックは平凡だけど実直な作りの日産/三菱

マイルドハイブリッドシステムを廃した新型日産 ルークスのWLTCモード平均燃費は自然吸気モデルが最大21.0km/L、ターボモデルが最大19.3km/Lとなる。

日産と三菱の合弁会社NMKVの共同開発によって誕生したBR06型は、日産グループが製造する800ccの直列3気筒エンジンをベースに、日本の軽自動車規格に合わせてボア径を縮小したエンジンだ。

ダイハツのKF型よりストロークが長いボア62.7mm×ストローク71.2mmの設計に加え、燃料系にはデュアルインジェクターを採用しているほか、登録車向けエンジンならではの高い骨格剛性に由来する静粛性の高さがBR06型の特徴と言えるだろう。その反面、エンジン単体重量がやや重い欠点も持っている。

自然吸気エンジンのスペックである最高出力52ps/6400rpm、最大トルク60Nm/3600rpmはダイハツのKF型に近い。一方の電動ウェイストゲートを採用するターボエンジンは、最高出力64ps/5600rpm、最大トルク100Nm/2400〜4000rpmであり、スペックはホンダS07B型に近い。

自然吸気、ターボエンジンともに多くのモデルでマイルドハイブリッドシステムが組み合わされ、高い静粛性と強力なモーターアシストにより、リッターカーのような乗り味を発揮する。重いエンジン重量も、重厚感ある乗り味に貢献すると捉えれば大きな欠点とはならないはずだ。

ただし最新型のルークスおよびデリカミニでは、あえてマイルドハイブリッドシステムを廃した構成となる。それにより低下する燃費性能は、エンジン内部抵抗の徹底的な削減とCVTの制御プログラムを最適化することで維持されている。

マイルドハイブリッドシステムの廃止によるパワートレインの簡素化は、増加する車重への対応と、高騰する車両価格の抑制を同時に狙った潔い一手とも言えるだろう。