6代目CR-VはRSのみの設定

新型ホンダCR-V RS 4WD 車両価格:539万2200円

2025年に誕生30周年を迎えたホンダCR-Vの最新型が2月27日に発売された。6代目となる新型はハイブリッド車のみの設定だ。それも、スポーティな仕立てのRSのみである。下回り部分をボディ同色とし、上質さと都会的なイメージを目指した「RS」は2WD(FF)とAWD(4WD)を設定。RSをベースに内外装の加飾をブラックで統一し、力強さと洗練を引き立てる日本専用グレードの「RS BLACK EDITION」は4WDのみの設定となる。

新型CR-Vは、通常は相反すると考えられる要素を両立しているのが特徴だ。例えば、スポーティな外観なのに室内の広さを備えており、上質な空間なのにタフに使える収納を備えてもいる。また、トルク感あふれる走りなのに質感高い静粛性を実現しており、楽しく快適な走りなのに高い環境性能を実現しているといった具合。

e:HEV RS
FF:511万2700円
4WD:539万2200円
e:HEV RS BLACK EDITION
4WD:577万9400円

こうして数々の二律背反する要素を両立することで、究極のオールラウンダーになることを目指した。パッセンジャーカー並みの快適性を備え、MPV並みのユーティリティ性を備え、クロカン並みの走破性を持ち、スポーツカー好きさえも魅了するアッパーミドルSUVが新型CR-Vというわけだ。

全長×全幅×全高:4700mm×1865mm×1680mm ホイールベース:2700mm
トレッド:F1610mm/R1625mm 最小回転半径:5.5m
最低地上高:210mm
試乗はホンダの鷹栖プルービンググラウンドで行なわれた。

FH4と呼ばれる新パワートレーン

今回は雪に覆われた北海道・鷹栖プルービンググラウンドで試乗する機会を得たので、ダイナミクス面を中心に新型CR-Vの特徴を紹介する。

走りに関しては、意のままに操れる「FUN」の要素と、SUVに期待される安心・快適な走行性能の実現が目標とされた。例えば、一体感のあるハンドリングとすっきりした乗り心地の両立であり、クルマの状況が伝わる操作感と路面コンディションに対しタフネスが高い走りの実現といった具合。

エンジン 形式:直列4気筒DOHC 型式:LFC2 排気量:1993cc ボア×ストローク:81.0mm×96.7 mm 圧縮比:13.9 最高出力:148ps(109kW)/6100pm 最大トルク:183Nm/4500rpm 燃料供給:PFI 燃料:レギュラー 燃料タンク:57L フロントモーター H6型交流同期モーター 最高出力:135kW(184ps) 最大トルク:335Nm

パワートレーンは、国内では2024年に発売された11代目アコードが搭載する新世代のe:HEVをベースとしている。アコードで採用された新世代e:HEVはアトキンソンサイクル(=ミラーサイクル、高膨張比サイクル)を適用した高効率の2.0L直列4気筒自然吸気エンジンに、駆動用と発電用の2つのモーターと、エンジン直結クラッチを内蔵するドライブユニットを組み合わせている。

FH4は駆動要モーターと発電用モーターが平行軸になっているのが特徴。FH3は同軸配置だ。

社内でFH3と呼ぶ従来ユニットは駆動用モーターと発電用モーターが同軸に配置されているのに対し、FH4と呼ぶ新世代は駆動用モーターと発電用モーターを平行軸(別軸)に配置しているのが特徴。同軸のFH3ではエンジン出力とモーター出力で1枚のカウンターギヤを共用しているため、必ずしもエンジンと発電用モーターで効率のいい回転領域を使うことができてはいない。

これに対しFH4は別軸の構成としたことでエンジンと発電用モーターでそれぞれカウンターギヤを持つことが可能になり、エンジンと発電用モーターそれぞれに都合のいいギヤ比を設定できるようになった。駆動用モーターの最高出力はFH3と同じ135kWだが、高回転領域の出力を上げているのが特徴。最大トルクは315Nmから335Nmへと20Nm引き上げている。とくに低回転域でのトルク増が顕著だ。

さらに、新型CR-Vが搭載するFH4は低速段と高速段の2種類のエンジン直結ギヤを持つのが特徴。ホンダは低速段側直結ギヤを「ロックアップLow」、高速段側直結ギヤを「ロックアップHigh」と呼んでいる。アコードは新型CR-Vと同じFH4を搭載するが、直結ギヤはロックアップHighのみしか持っていない。

Low側のロックアップは北米などでの牽引用途のニーズに応えるためだが、燃費には好影響があるという。

ホンダのe:HEVは走行状況に応じてモーターのみで走行するEVドライブ、エンジンで発電した電力で駆動用モーターを使って走るハイブリッドドライブ(つまり、シリーズハイブリッドとして機能)、クラッチをつないでエンジン直結状態で走るエンジン走行の3つのモードを使い分けるのが基本だ。

ロックアップHighのみを持つアコードはハイブリッドドライブで走るより効率のいい高速定常域(およそ56km/hから上の車速域)でエンジン直結にして走るモードを備えている。いっぽう、新型CR-Vは緩加速や登坂時にロックアップLowをつないでエンジン直結で走るモードが追加されている。およそ39km/hからロックアップLowを選択するケースが出てくるという。

新型CR-VにロックアップLowを追加したのは、欧州や北米での牽引ニーズに応えるためだ。駆動用モーターでも必要な駆動力は確保できるが、連続運転にさらされると過熱してしまう。そのため、モーターで対応する場合は牽引できる重量を低く設定せざるを得ない。そこで、ガソリンエンジン車と同じようにエンジンで牽引ニーズを満たそうというわけだ。

日本では積極的に牽引を推奨していないため、ロックアップLowがあるメリットはほぼ燃費面に限られる。聞けば、WLTCモードでもロックアップLowによるエンジン直結モードに入るとのこと。ただしほんの少しだそうで、カタログ燃費よりも実用燃費面でのメリットのほうが大きそうだ。メーターにエネルギーフローを表示させておくと、歯車が出てくることでエンジン直結モードに入ったことがわかる。鷹栖プルービンググラウンドでの試乗では、緩い登り坂を走行している際にロックアップLowに入るシーンがあるのを度々確認することができた。

格段にアップしたシャシー性能

新型CR-Vは先代との対比で、シャシーにも大がかりな手が入っている。ハンドル操作に対してスムーズにクルマが反応するようフロントサスペンションの取り付け部やダンパーマウント、ステアリングコラムのベアリング、電動パワーステアリング(デュアルピニオンEPS)のラックガイドパッドの材質変更などに手を入れ、フリクション低減を徹底した。また、EPSは新世代のモーターコントロールユニットを採用することで、リニアで自然な操舵感を実現。VGR(可変ステアリングギヤレシオ)は、しっかりした手応えを感じる安心感と、キビキビした操舵感の両立を狙ったという。

フロントのサブフレームをスチールの板金からアルミダイキャストに変更。5kgの軽量化を果たした。

フロントサスペンションを支えるサブフレームは、スチールの板金からアルミダイキャストに変更。5kgの軽量化を図りながらサスペンション支持剛性を向上させた。リヤのスチール製サブフレームは支持マウントの剛性を上げるとともにコの字断面を持つメンバーの一部にスティフナーを追加して閉断面化することにより、剛性を向上させている。また、ボディには構造用接着材を効果的に使用。板厚アップや補強材の追加を最小限に抑えながら、高剛性化した。リヤサスペンションはスプリングおよびアームの取り付け点にもスティフナーを追加し、局所剛性の向上を図っている。

電動パワーステアリングはデュアルピニオン式。

こうして数々の手を打つことにより、フロント、リヤともに応答性を高めるとともにスムーズな姿勢変化の実現を狙った。いっぽう、路面状況に応じて自動でサブバルブを開いて低周波と高周波で最適な減数力に切り換える周波数応答ダンパーを採用することで、ハンドリングと乗り心地を高次元で両立させている。

振動やノイズの低減も徹底した。従来は車両中心線からオフセットしていたエンジンマウント(トルクロッド)は、車両中央に配置し効率良く振動を抑制。エンジン騒音の車内への侵入を防ぐべく、エンジンルーム側、室内側含めて遮音材をくまなく配置。フロア下には発泡ウレタンフォームを塗布し、室内側は吸遮音フロアカーペットを採用。リヤのホイールハウスには不織布タイプを採用するなど、念入りに音の遮断を図っている。

高剛性リヤフレーム
構造用接着剤やスティフナーの追加でボディ剛性を上げた。
路面状況に応じて自動でサブバルブを開いて低周波と高周波で最適な減数力に切り換える周波数応答ダンパーを採用。

さらに、フロントドアとドアミラーの隙間を平行に近づけることで、ミラーまわりの風を整え、風切り音を低減。ドアガラスの昇降口にはリターンリップ付きのモールを採用することで、気流の侵入を防いで風切り音の低減を図っている。先代はフロントガラスにのみ遮音ガラスを採用していたが、新型ではフロントドアガラスにも遮音ガラスを適用。こうした徹底した遮音・吸音対策により、新型CR-Vは高い静粛性を実現している。

AWDはリアルタイムAWD

4WDはフロントからプロペラシャフトをリヤに通して電子制御式のカップリングユニットを使うリアルタイムAWD。

後輪に駆動力を伝達するAWDユニットには、リアルタイムAWDと呼ぶ電子制御式のカップリングユニットを用いている。2011年から採用しているシステムだ。このシステムの導入当初はアクセル開度から算出される要求駆動力と車輪速度、前後加速度センサーの情報から、あらかじめ設定した理想的な駆動力配分量をフィードフォーワード制御で指令していた。

新型CR-Vが搭載する最新版(現行ヴェゼル、ZR-Vも同じ制御)は増やしたセンサー情報と車両モデルから、アンダーステア、オーバーステア挙動をより正確にリアルタイムに把握し、フィードバック制御を併用することで駆動力配分を最適化。これにより、刻一刻と変化する車両状態に対し、瞬時に車両挙動を安定化させることが可能になった。

ヒルディセントコントールも精度が高い。

コーナリング時の前後駆動力配分は従来の60:40固定から60:40〜50:50の可変に変更。これにより後輪の持ち分を増やすことで前輪のグリップに余裕が生まれ、ライントレース性が向上する道理だ。機構も進化しており、リヤデフ前に位置する等速ジョイントとの支持構造を見直すことでプロペラシャフトの回転による共振が外れ、リヤへの駆動力配分を高速域まで拡大することができている(ZR-Vにも適用。ヴェゼルは旧仕様)。

ドライブモードは従来のNORMAL(ノーマル)、SPORT(スポーツ)、ECON(イーコン)に、SNOW(スノー)とINDIVIDUAL(インディビジュアル)が加わった。スノーモードを選択すると、ノーマルモードに比べて緩やかなアクセル開度特性になる。インディビジュアルではECON、ノーマル、スポーツの各特性を自分好みに組み合わせることが可能だ。

新型CR-Vでは、滑りやすい下り坂でも安心感のある運転を可能にするヒルディセントコントロールが採用された。20km/h以下でスイッチを入れ、下り坂でブレーキペダルから足を離すと、そのときの車速をクルマが制御し維持してくれる(作動速度は3〜20km/h)。ドライバーはブレーキ操作に気を取られることなく、ハンドル操作に集中できるというわけ。雪道に限らず、グリップを失いやすいオフロードでも有用な機能だ。

極めてニュートラルな特性のハンドリング

RS 4WDで走った雪上のハンドリング路では、重量級(車重1800kg)かつ重心の高いSUVボディながら、軽快に動き、かつ安心して運転できるのを確かめることができた。オーバースピードで突っ込めばもちろん、「曲がらない!」と焦ることになるが、そうでない状況(が通常だろう)ではドライバーが意図したとおりに鼻先が向きを変えてくれるので、乾燥した舗装路を走るときと同じリラックスした気分で運転することができる。

4WDシステムやVSA(ABS+TCS:トラクションコントロール+横すべり抑制)の制御を確かめるつもりでラフなハンドル操作やアクセル操作を試みても、制御は最後の最後に介入してくる印象。そもそも動きが破綻するような挙動に容易に移行するような動きは見せないので(素性がいい)、お節介なほどに制御が介入することはない。思ったように曲がってくれず怖い思いをすることも、お尻が出て怖い思いをすることもまずない。極めてニュートラルな特性だし、そうなるように仕立てたという。

タイヤサイズ:235/55R18サイズ 試乗車はブリヂストンBLIZZAK WZ-1を装着

ちょっと元気に走ろうと思ってコーナーの立ち上がりでアクセルを強めに踏み込むと、リヤが踏ん張った姿勢を作りつつ後輪で路面に駆動力を伝え、摩擦円の面で自由度が高くなった前輪が仕事をして軽々とクルマの向きを変え、進路をスッとコーナー出口に向けて立ち上がっていく。そんなスポーティな走りを楽々とこなすのが新型CR-Vである。しかも、どんな走行状態でも室内は至って静か。安心感があり、快適で、気持ちのいい走りが楽しめる。

ホンダCR-V e:HEV RS(4WD)
全長×全幅×全高:4700mm×1865mm×1680mm
ホイールベース:2700mm
車重:1800kg
サスペンション:Fマクファーソン式/Rマルチリンク式
駆動方式:4WD
エンジン
形式:直列4気筒DOHC
型式:LFC2
排気量:1993cc
ボア×ストローク:81.0mm×96.7 mm
圧縮比:13.9
最高出力:148ps(109kW)/6100pm
最大トルク:183Nm/4500rpm
燃料供給:PFI
燃料:レギュラー
燃料タンク:57L
フロントモーター
H6型交流同期モーター
最高出力:135kW(184ps)
最大トルク:335Nm

燃費:WLTCモード 18.2km/L
 市街地モード16.4km/L
 郊外モード:19.6km/L
 高速道路:18.1km/L
車両本体価格:539万2200円