取り回し良好な小型ボディ 低床設計で3列目居住性確保

シエンタは、国内で最も多く売られているミニバンだ。2025年1〜10月の1ヵ月平均登録台数は約8800台だから、国内の販売ランキングでもトップクラスに入る。その人気の背景には複数の理由があり、筆頭に挙げられるのはコンパクトな5ナンバーサイズのボディだ。

エクステリア

扱いやすいボディサイズながらスライドドアと広い室内を実現。最小回転半径も5.0mと驚異的でとても小まわりが効く。リヤゲートを開けたときの地上高も手が届きやすい高さで、荷物を積むときの使い勝手も良好だ。何かと比較されるホンダ・フリードとは全幅は同じだが全高は低く、フリードが縦長だとすればシエンタは少し偏平な形と言えなくもない。
最上級グレードの「Z」系は金属調塗装のグリルモールやBi-BeamLEDヘッドランプを備え、上質感を演出。撮影車が備えるアルミホイールはメメーカーオプション設定だ。最小回転半径は5.0m。

全長は4260㎜に抑えられ、国内で売られるミニバンでは最も短い。最小回転半径は5.0mで小まわりの利きも良く、水平基調のボディは前方だけでなく後方視界も優れている。アクアやノートなどのコンパクトカーに近い感覚で運転できる。全高は1695㎜で1700㎜を下まわる。全高が1600㎜台の国産ミニバンは、シエンタとオデッセイだけだ。両車とも床を低くすることで、必要な室内高を確保しながら天井の位置を下げた。床が低いと、子どもやお年寄りも乗り降りしやすい。

乗降性

ボディが小さいと車内は狭くなる。特に3列目シートの足元空間が窮屈になりやすい。そこでシエンタは、03年に発売された初代モデルから、薄型燃料タンクを採用する。燃料タンクはどのミニバンでも3列目の床下に搭載され、3列目の床は2列目よりも高く、床と座面の間隔が不足して膝がもち上がりやすい。その点でシエンタは、燃料タンクの採用で3列目の床が低いから、膝のもち上がる窮屈な着座姿勢にならない。シエンタの3列目の膝先空間は、ライバル車のフリードよりも狭いが、床と座面の間隔はシエンタが40㎜上まわる。そのためにシエンタの3列目は、着座姿勢が自然な印象だ。膝先空間は狭いが、片道1時間以内の距離なら大人の多人数乗車も可能とする。

インストルメントパネル

従来人気の高かったオプションのオートエアコンを全車に、ETC2.0+ドライブレコーダーを「X」以外に標準装備化。ディスプレイオーディオは引き続き8インチか10.5インチをグレード別に設定。

シエンタでは荷室の床も低い。3列シート仕様の場合、路面から床までの高さを505㎜に抑えたから、自転車を積むときも高い位置まで持ち上げる必要はない。しかも荷室を広げたときに、3列目は2列目の下に格納される。左右に跳ね上げる方式とは異なり、格納された3列目が荷室に張り出さない。その代わり3列目を格納するときは、2列目も動かす手間を要する。販売店では「シエンタのお客さまは、ノアほど3列目の格納操作を頻繁に行なわない。通常は3列目を格納して、荷室の広いコンパクトカーとして使い、稀に3列目を引き出して多人数で乗る」という。

居住性

パワーユニットは1.5ℓ直列3気筒のハイブリッドと自然吸気ガソリンエンジンだ。自然吸気ガソリンエンジンの動力性能は、実用的には十分だが、登り坂などで3気筒特有の粗いノイズが高まりやすい。その点でハイブリッドは、モーター駆動の併用で、ノイズが抑えられて加速も滑らかだ。動力性能を自然吸気ガソリンエンジンに当てはめると1.8ℓくらいに相当する。乗り心地は40㎞/h以下で少し硬いが粗さは抑えているから、ハイブリッドが少し快適だ。ボディが軽く全高も1700㎜以下だから、ミニバンでは運転感覚が軽快だ。視界の優れたコンパクトなボディとの相乗効果で運転しやすい。特にボディの軽い自然吸気ガソリンエンジン車は、峠道を軽快に走れる。

うれしい装備

写真は7人乗りの3列目を格納し、2列目シートをタンブルアップした状態。ひとりなら車中泊もできる広さだ。5人乗りは2列目がチルトダウンするのでフラットかつ奥行きの広いフロアを実現できる。
「HYBRID Z」には自動操舵で駐車をアシストするアドバンストパークをオプション設定。画面で駐車位置を決定する操作もわかりやすく、アクセルとブレーキの操作、前進と後退の切り替えも全自動だ。
月間販売台数   7756台(25年5月~10月平均値)
現行型発表    22年8月(一部改良 25年8月))
WLTCモード燃費  28.4㎞/ℓ※「HYBRID X」の5人乗り/FF車 

ラゲッジルーム

以上のようにシエンタは、ミニバンの実用性、コンパクトカーの親しみやすさ、求めやすい価格を両立させて人気車になった。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.173「2026年 ミニバンのすべて」の再構成です。

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