ヤマハ R1-Z改 展示:バイク王&カンパニー

写真はバイクの買い取りでおなじみ「バイク王&カンパニー」の整備スタッフがレース出場用としてカスタマイズしたR1-Z(アールワン・ズィー)改。保安部品をレス化し、フロントにビキニカウル風のゼッケンを装着。シートはシングルタイプに変更。左右2本出しのレーシングチャンバー、大型ラジエター、バックステップなど、サーキット走行に見合うチューニングが施されている。

外装はシートカウル以外、ほぼ純正パーツで構成してノーマルルックを維持。
ノーマルはエキパイ部分をクロスさせた右2本出し仕様だが、左右2本出しのレーシングチャンバーに変更。
アナログ式タコメーターと各種デジタルメーターをレイアウトしたレーシーなメーター周り。

カウル付レーサーレプリカでもネイキッドRZでもない! 独自路線の2スト250cc・ヤマハ R1-Z…1990年(平成2年)発売

ヤマハ R1-Z 写真左)ホワイト  写真右)ブラック
写真左)ヤマハRZ250(初期型)  写真右)ヤマハRZ250R

脱レーサーレプリカ! “ゼファー現象”が起こったネイキッドブーム時に登場

「バイク=ハイパワーなカウル付きのレーサレプリカがもっとも優れ、一番エラい」が常識だった、空前のバイクブームに湧いた1980年代。絶大なる人気を誇ったレーサーレプリカブームが下降を始めた1990年(平成2年)、ヤマハの水冷2ストローク250ccモデル「R1-Z(アールワン・ズィー)」は誕生した。

波乱に富んだ昭和の時代が終わり、多くのライダーが「レーサーレプリカはもう飽きた。昭和とともにレプリカブームも終焉だ(昭和天皇が崩御されて昭和が終わった頃、世の中全体に祭りが終わったような妙な虚無感が確かに存在した)」と感じ始めたであろう1989年(平成元年)。カワサキから空冷4ストローク直列4気筒DOHC 2バルブ400ccエンジンを搭載したカワサキ ゼファーがデビュー。

ゼファーは最高出力46馬力の非力で時代遅れの空冷2バルブエンジン(当時の高性能400ccは水冷4バルブエンジン&メーカー自主規制MAXの59馬力が常識)を搭載。ゼファーの登場に際し、当時バイクの免許を取得して4年を経ていた筆者(1969年生まれ)は、「なぜ今更、時代に逆行するバイクを???」と素朴な疑問を抱いたものだ。

しかし“鉄馬”と呼ぶに相応しいレトロなつくりと、バイクらしいシンプルで懐かしさを持つフォルムが、特にバイクビギナーである若者にウケて大ヒット。(想像するに当のカワサキも、当時あそこまでブレイクするとは予想していなかったのではないだろうか)。

ベストセラーとなったその熱狂ぶりは後に“ゼファー現象”と呼ばれ、「ネイキッド(カウルのない剥き出しの状態)」という確固たるジャンルを確立・定着させた。

「バイク=ハイパワーなカウル付きのレーサレプリカがもっとも優れ、一番エラい」という常識はこの時、見事に覆った。時代が変わり、新たな価値観が生まれた瞬間だった。

ネイキッドブームはスズキ バンディッド400/250、ヤマハ ジール(250cc)、ホンダ CB-1(400cc)、ホンダ ホーネット(250cc)、ホンダ ジェイド(250cc)、ホンダCB400SF、ヤマハXJR400、スズキGSX400インパルス、カワサキ ゼファー750/1100、また各種2スト125cc等々を生み出すなど、様々なモデル誕生のきっかけとなった。

ネイキッドブームの先駆けとなったカワサキ・ゼファーの初期モデル。レーサーレプリカが下火となった1989年、6年前の1983年に搭載された“型落ち”のGPz400系4気筒DOHC 2バルブエンジンを改良した「ZR400AE」を搭載。

ヤマハはネイキッド・RZ250Rの血統を引き継ぐNEWモデルとしてR1-Zを新開発

メーカーカタログより

バイクブーム全盛の時代、すべてのライダーがフルカウル付きのレーサーレプリカを好んでいたかというと、実際はそうでもない。

街中では“邪魔な”カウルがなくて扱いやすく、レプリカよりも軽量でお買い得なノンカウルのネイキッド。軽快な同車はバイクブーム真っ只中にあった1986年あたりから一定数の需要があり、各メーカーはいくつかのモデルをリリース。

写真左)ヤマハFZ400  写真右)ネイキッド仕様のヤマハFZ400N(Nはネイキッドの頭文字)
写真左)ホンダVFR400R(初期型のNC21)  写真右)ネイキッド仕様のホンダVFR400Z

たとえば400ccクラスは、カウルを“強引”にレス化してヘッドランプ・ウインカー・バックミラーをサクッと装着したような、口の悪い人には“ハリボテ”と揶揄され、一部モデルは教習車にもなったネイキッド仕様車を発売(ホンダVFR400Z→ベースは初代VFR400R、ヤマハFZ400N(Nはネイキッドの頭文字)→ベースはFZ400、カワサキFX400R→外装類やエンジンはGPZ400Rと共通)。

また250ccクラスは、4ストV型2気筒エンジン搭載のホンダVT250ZやVT250スパーダ、当時スズキ250ccクラスで最強の戦闘力を誇ったRGV250ガンマをベースにした2ストマシン「ウルフ」。そしてヤマハはスチール製ダブルクレイドルフレームに、一世代前の2スト並列2気筒エンジンを積んだRZ250R等々が、ネイキッドとしての役割を担っていた。

当時ヤマハは2スト250ccの最高峰の座を、すでにRZ250R(ネイキッド)やRZ250RR(ハーフカウル付き)から、本格派レーサーレプリカのTZR250(後にTZR250Rへと進化)にバトンタッチ済みだった。

ヤマハは初代RZ250で一時代を築き上げ、一世代前の2スト並列2気筒エンジンを積んたネイキッドのRZ250Rについて、次なるステップを模索。ゼファーがきっかけで上昇したネイキッド人気も影響し、ヤマハはRZ250やRZ250Rの血統を引き継ぐNEWモデルとして、新設計のR1-Zを開発した。

新設計のトラス構造ダイヤモンドフレームに、TZR250用ベースのパラレルツインエンジン(水冷2ストローク並列2気筒)を搭載

メーカーカタログより

R1-Zは初代TZR250用ベースのパラレルツインエンジン(水冷2ストローク並列2気筒)を、新設計のトラス構造ダイヤモンドフレームに搭載。

レーシーなイメージの右2本出しカーボンサイレンサーを採用したチャンバーは、エキパイ部分をクロスさせ、膨張室の最適化とバンク角の深さを両立。

筆者はR1-Zが誕生した翌年の1991年、R1-Zではなく、カワサキの4スト250ccネイキッドモデル「バリウス」を購入(スタイル、燃費、排気音が良かったら)。当時はレーサーレプリカブームが終わり、ネイキッドブームが到来していた頃。

レーサーに多用されたアルミフレームやアルミスイングアームを装備したレーサーレプリカとも、兄貴分のRZ250やRZ250Rとも異なる、完全新設計の右2本出しサイレンサー・鉄フレーム・鉄スイングアームなどで新しいストリートスタイルに仕上げたR1-Z。

筆者は当時、バイクショップに出向き、店内で白いR1-Zの実車をくまなくチェック。樹脂とアルミ素材をメインに構成された既存のレーサーレプリカにはない、昔ながらの鉄を取り入れたその車体に、1987年に発売された水冷2スト単気筒195ccエンジン搭載の個性派ネイキッド「SDR」イメージさせた。

また、新鮮さと温かみが入り混じったような、「これがネイキッドの魅力だよなぁ」という、理屈では語れない懐かしさも感じた(スタイルは気に入ったが、2スト独自の排気音が気に入らず、また燃費の悪さから結果的にバリウスを選択)。

これは貴重なミーティング。|レアな2ストシングルスポーツ、ヤマハSDR。100台近く集まりました。

1987年、ヤマハが突然市場に送り込んだ2スト・シングルスポーツがSDRだ。メッキのトラスフレームに195cc・単気筒エンジンを搭載し、1人乗りと割り切った生粋のライトウェイトスポーツモデルだったが、レーサーレプリカブームだったためあまり注目されず短命に終わった。そんな背景を持つマシンのオーナーズミーティングをレポート! REPORT/PHOTO●横田和彦(YOKOTA Kazuhiko)

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https://car.motor-fan.jp/article/10017620

写真左)ヤマハTZR250シリーズの最終仕様車として発売されたTZR250SPR(1995年モデル)
写真右)当時のホンダワークスカラーであるレプソルカラーを採用したホンダNSR250Rの最終モデル(1996年モデル)

ハチハチNSR、カラバリは3色。アオシマから登場! ホンダNSR250R/R-SP 1/12スケールの塗装済・完成品モデル。

プラモデルやホビーでおなじみの株式会社青島文化教材社(アオシマ)は、同社が展開するブランド「SKYNET(スカイネット)」より、1/12 完成品バイクシリーズから、ホンダ NSR250R(1988年モデル)を2024年9月(予定)に発売する。1988年モデルとなるMC18型は、NSR250Rフリークの中では「ハチハチ」と呼ばれ、歴代NSR250Rの中でも伝説のモデルとしてリスペクト。ハチハチの特長と併せてご紹介しよう。 REPORT●北 秀昭(KITA Hideaki) アオシマ https://www.aoshima-bk.co.jp/

https://motor-fan.jp/bikes/article/109633

1990年後半、環境問題や厳しい排ガス規制で、2ストロークエンジンを搭載したヤマハTZR250Rは1995年モデル、ホンダNSR250RとスズキRGV-ガンマ250は1996年モデルをもって生産終了。

R1-Zは最高出力低下(CDIの変更等でメーカー自主規制で45馬力から40馬力に抑制)や、バイアスタイヤからラジアルタイヤへの変更など、マイナーチェンジを受けて生産を継続。各メーカーが2スト250ccの生産販売を一斉に取り止めた1999年まで、メーカーカタログにラインナップされた。

134kgという2ストネイキッドならではの軽量な車体、狭い日本の道路に適した250ccという排気量、街中では充分過ぎるほどの強靭さを秘めたシャシー、ストリート向けに味付けされた水冷2スト並列2気筒エンジンは、“ストリート最強”を目指せるハイレベルなポテンシャルを発揮。すでに絶版となって久しいR1-Zは2025年5月現在、ビンテージバイクブームに伴い、程度の良い車両は100万円を超える高値で取引されている。

メーカーカタログより

主要諸元(初期モデル)

車名R1-Z
モデルチェンジ区分新登場
型式3XC
発売年1990
発売月6
全長 (mm)2005
全幅 (mm)700
全高 (mm)1040
ホイールベース (mm)1380
最低地上高(mm)135
シート高 (mm)775
乾燥重量 (kg)134
最小回転半径(m)2.8
乗車定員(名)2
燃料消費率(1)(km/L)34.0
測定基準(1)50km/h走行時
原動機型式3XC
原動機種類2ストローク
気筒数2
シリンダ配列並列(直列)
冷却方式水冷
排気量 (cc)249
2スト・吸気形式クランクケースリードバルブ
内径(シリンダーボア)(mm)56.4
行程(ピストンストローク)(mm)50
圧縮比(:1)6.4
最高出力(PS)45
最高出力回転数(rpm)9500
最大トルク(kgf・m)3.7
最大トルク回転数(rpm)8500
燃料供給方式キャブレター
燃料供給装置形式TM26SS×2
燃料タンク容量 (L)16
燃料(種類)レギュラーガソリン
満タン時航続距離(概算・参考値)544.0
エンジン始動方式キックスターター式
点火装置C.D.I.式
点火プラグ標準搭載・型式BR9ES
点火プラグ必要本数・合計2
搭載バッテリー・型式YT4L-BS
バッテリー容量12V-3Ah(10H)
エンジン潤滑方式分離給油(2スト)
2ストエンジンオイルタンク容量1.20
クラッチ形式湿式・多板
変速機形式リターン式・6段変速
変速機・操作方式フットシフト
1次減速比2.545
2次減速比3.214
変速比1速 2.333/2速 1.647/3速 1.315/4速 1.083/5速 0.961/6速 0.875
動力伝達方式チェーン
スプロケット歯数・前14
スプロケット歯数・後45
チェーンサイズ520
標準チェーンリンク数114
フレーム型式トラスフレーム
キャスター角24°30′
トレール量 (mm)92
ブレーキ形式(前)油圧式ダブルディスク
ブレーキ形式(後)油圧式ディスク
ブレーキオイル適合規格DOT 4
懸架方式(前)テレスコピックフォーク
フロントフォークタイプ正立フォーク
懸架方式(後)スイングアーム式
タイヤ(前)110/70-17
タイヤ(前)構造名バイアス
タイヤ(前)荷重指数54
タイヤ(前)速度記号H
タイヤ(前)タイプチューブレス
タイヤ(後)140/70-17
タイヤ(後)構造名バイアス
タイヤ(後)タイプチューブレス
ホイールリム形状(前)MT
ホイールリム幅(前)2.75
ホイールリム形状(後)MT
ホイールリム幅(後)3.5
ヘッドライト定格(Hi)60W/55W
テールライト定格(制動/尾灯)21W/5W
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https://motor-fan.jp/bikes/article/31952