サーキット走行はじつは圧縮キープに有効

ここで解説する圧縮は、「圧縮圧力」のこと。燃焼室の混合気を圧縮する際の圧力のことで、燃焼室の容積比率を示す「圧縮比」とは異なる。ロータリーエンジン初心者は混同しやすいので、まずはこのことを押さえておきたい。

RX-8に積まれる13B-MSPのメーカー公表の圧縮圧力の基準値は830kpa。測定値がおおむねこのあたりの数値であれば、エンジンは良好なコンディションにある。

一方、数値が大きく下がっている場合は、俗にいう「圧縮抜け」の状態。下限の限度値は680kpaとされており、これよりも下がるとエンジンは正常に動かなくなり、パワーも出ない。

なお圧縮は、圧力の低さ以上に、3室や前後のばらつきが問題であることも知っておきたい。圧縮がある程度下がっても、3室や前後の圧力差が許容値内であれば、支障なく走れるケースも多いのだ。

圧縮が落ちる要因は、燃焼室を密閉するシール類の劣化で、一般的には走行距離が増えるほど悪化するとされている。ただし、レッグモータスポーツの倉迫和彦チーフメカによると

「圧縮抜けのいちばんの原因は、距離ではなく、日頃のメンテナンスの怠りや、ラフな乗り方によるものがほとんど」。

実際、レッグモータースポーツには、10万㎞でオーバーホールを行い、走行距離が24万㎞に達したいまも適正圧縮をキープしているカスタマー車両が存在する。要は、扱い方次第なのだ。

ちなみに、和彦チーフメカが教えてくれた、メンテナンスでの最重要項目はオイル選び。圧縮抜けにつながるカーボンが発生しやすいものは絶対に避ける。乗り方では、レブリミットに当て続けるような走り方は厳禁。

なお、ロータリーエンジンは、ハウジング内にカーボンを溜めないためにも、たまにはエンジンにある程度の負荷を掛け、燃焼室の温度を上げて走ってやるのがよい。いつも街乗りばかりというRX-8乗りにとって、適度なサーキット走行は、圧縮を保持し、愛車のコンディションを保つという意味でも有益だったりするわけだ。

圧縮テスターがあればDIYで手軽に測定できる!

圧縮測定は、ロータリー専用(3室連続しての圧力計測が行える)コンプレッションテスターがあれば、誰でも測定可能だ。

1枚目の写真左側にあるのは、マツダの純正テスター。ロータリー専用のテスターは、実測値を基準値(250rpm時の値)に自動変換してくれるので計測がとてもスピーディだ。5万円程度のものも市販されており、レンタルで借りることもできる。

ピーク値以上にバランスを気に掛ける

計測のおおまかな手順は、①燃料ポンプのヒューズを抜き、プラグコードを外す。②前室の上側のプラグを外し、センサーをセット。テスターの配線をつなぐ。③テスターを運転席から見える位置に置き、表示に従い、セルを回して計測。④実測値を250rpm時の値に変換して完了。⑤後室でも同様の作業を行う。

13B-MSPのメーカー基準値は850kPs(250rpm)で、限界値は680kPsと意外に緩い。許容差は3室/150kPs、前後は100kPs。これらの数値の差が大きいほど振動が激しく、エンジンの負担も大きいのだ。

圧縮低下の原因はシールの劣化やハウジングの傷

ハウジングの傷つき、③カーボンの固着の3つ。症状が悪化すると、始動性が悪くなったり、パワー(とくに低速トルク)が落ちたり、白煙が止まらなくなるなど、さまざまな弊害が起こる。

レッグモータースポーツの見立ては、800kPa以上あれば良好。700kPa前後でも街乗りには問題なし。680kPsを切れば要オーバーホールだ。

オーバーホールの精度の違いで圧縮が落ちるスピードは変わる

オーバーホール用のサイドシールは長さ違いの全5種類。これをローターひとつにつき6箇所、経験値をもとに合わせ込む。新品のエンジン以上に、腕利きチューナーのオーバーホール後のエンジンの圧縮の値が高かったりするのは、このシール類の合わせ込みの精度が高いためだ。

なお、オーバーホール後の「慣らし運転」いかんによっても圧縮の持ちは変わるので、慎重にすべき。

失火は圧縮低下を早める大きな原因のひとつ

ロータリーエンジンは熱量が高く、電装パーツの劣化が早い。電装パーツの劣化は失火を呼び、圧縮の低下を早めるので注意が必要だ。プラグは1.5万~2万kmを目安に交換。プラグコードやイグニションコイルもこまめに点検し、劣化が見受けられたら即交換だ。

ちなみにプラグは、よほどのサーキットフリークでないかぎり、純正のノーマルタイプで十分。ただし、状態のチェックはこまめにやるべき。

オイルはカーボン化しにくいものを粘度は0W-30を推奨

ロータリーエンジンは、ハウジング内にオイルを噴射して潤滑している。機密性を高める役割も果たすオイルだが、カーボン化すると逆に圧縮を落とす原因になる。

オイルは、質はもちろん、カーボン化しにくいものを選ぶことが重要だ。レッグモータースポーツが薦めるオイルの粘度は、メーカー推奨の0W30。圧縮抜けの予防という観点からも、3000kmごとの交換を厳守したい。

LEG SPORTS デモカーRX-8の詳細スペック

■ノーマルエンジン

■EVOフラッシュECU

■ハイパーインテークBOXキット/パワーエキマニ/スポーツキャタライザー/TiテールマフラーVer2

■ノーマルラジエーター/オイルクーラー

■ORC 250Ligthクラッチ

■Sport DamperEVO(F 12kg/mmR 10kg/mm+ヘルパー)

■ENDLESS MONO6 SPORTS TA

■Biot オフセットローターキット

■制動屋 RM551+ブレーキパッド

■ADVAN NEOVA AD09(265/35R19)

■WedsSport RN-55M(19×9.5J inset 38)

■クラブスポーツ フルエアロ

■RECARO RS-G

■HPI 6点式ハーネス

■アンダー鈴木 ドライカーボンステアリング

RX-8のエンジンが掛からない!? RS PANTERA流プラグかぶり対処法

RX-8のエンジンが掛かりにくい、掛からない、つい、さっきまで元気だったのに。とくに前期で起き得る症状だ。しかし、この儀式さえ知っていれば、冷静に対処できる。RSパンテーラが実践レクチャー。


■レッグモータースポーツ 

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