血栓を招く「エコノミー症候群」のリスクとは

週末の旅行や大型連休の帰省などで、何時間も車を走らせる機会はドライバーにとって身近なものと言えるだろう。お気に入りの音楽を聴いたり景色を眺めたりしながら目的地へ向かう長距離のドライブは、充実した時間をもたらしてくれるものだ。
しかし、運転に集中するあまり同じ姿勢を維持し続けると「エコノミークラス症候群」のリスクをもたらすという。
エコノミー症候群とは、同じ姿勢が続くことで足の血流が滞りやすくなり知らぬ間に血栓が生じる病気で、最悪の場合は肺の血管を閉塞させてしまうリスクがあるとされている。
その名の通り、一般的に飛行機の狭い座席で起きるものとされているが、車の運転や渋滞による長時間の拘束、あるいは車中泊などでも同様に発生するおそれもあるという。

では、エコノミー症候群には具体的にどのようなリスクがあるのだろうか。
足を動かさない状態が長く続くと、下半身の深部にある静脈に血のかたまりである深部静脈血栓ができやすくなってしまい、この血栓が立ち上がって動き出した拍子に血流に乗って移動し、肺の血管に詰まって肺塞栓症などを誘発するおそれがあるというわけだ。
なお、初期症状としてはふくらはぎの痛みや腫れが挙げられるが、重症化すると胸の痛みや急激な呼吸困難を引き起こし、生命の危険に直結することもあるとされる。
こうした健康上のトラブルは、ドライバー自身の命を脅かすだけでなく、走行中の意識混濁などによる重大な事態を引き起こす要因にもなりかねない。
人命に関わる事態を未然に防ぐためにも、車を運転する以上は体調の異変に対する適切な知識を持ち、自身の体の状態に常に気を配る意識が求められる。
こまめな水分補給とリラックスできる服装で予防を

車内の空気を快適に保ちながら血流の悪化を防ぐためには、運転中の細かな習慣の見直しが効果的となる。たとえば、車内の乾燥による脱水も発症の引き金となるため、のどが渇く前に水分を補給するなど、運転中のこまめな水分摂取を怠らないようにすることも大切だ。
特にエアコンを常時稼働させている車内は湿度が下がりやすく、本人が気づかないうちに皮膚や呼気から水分が失われていく。体内の水分が不足すると血液の粘度が高くなり、血のかたまりである血栓がさらに形成されやすい環境が整ってしまうというわけだ。
ただし、お茶やコーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があるため、純粋な水やスポーツドリンクなどを選び、効率よく水分を体に補給していくことが推奨される。

さらに、服装の工夫も効果的な予防策のひとつだ。身体を締め付ける衣服はそれだけで血行を悪化させる原因になるため、なるべくゆったりとした衣服を選び、ベルトをきつく締めすぎないようにリラックスした状態を保つことが望ましい。
長距離のドライブは事前の準備や道中の少しの工夫を意識するだけで、健康リスクを大幅に下げることができる。そのため、長距離ドライブ中でも定期的な休憩や軽いストレッチを行程に組み込み、体への負担が少ない無理のない運転計画を立てて、少なくとも1時間に1回程度はSAやPAに立ち寄り、車外に出て体を動かすことが大切だ。
もし車内から出られない状況であっても、つま先をつけたままかかとを上下に動かしたり、ふくらはぎを軽くもんだりするだけでも血流の促進に効果があるとされる。

無理に先を急いでも疲労が蓄積するだけであり、結果として大きな病気のリスクを高めることになりかねない。
大切な人と楽しい思い出を作るためにも、心と体にゆとりを持ち、自身の体を労りながら運転に集中できる環境を整えて目的地へ向かいたい。