どちらもスポーティな外観! 後席も広く荷室の使い勝手も良好

シビック e:HEV RSの外観は、ガソリンモデルの“RS”と同じく、ドアミラーやグリルにグロスブラックの加飾が施される。装着されるアルミホイールは、e:HEV用デザインにベルリナブラックを纏わせた切削加工仕上げだ。

インプレッサ STI パフォーマンスエディションの方は、STI製の専用アンダースポイラーやリヤスポイラーを装備。さらにダークメタリック塗装のアルミホイールを装備したうえで、グリル装飾やドアミラーなどがブラックアウトされ、ベース車よりも攻撃的な印象が強められている。

両車ともに基本構造はベースモデルと変わっておらず、使い勝手にも変化はない。シビックもインプレッサも、海外を主戦場としているだけあってリヤシートサイズが大きめで大柄な人でもゆったりと乗れる設計となっており、後席空間の広さは両車同じくらいだ。

大きな違いはリヤゲートの形状にある。標準的なハッチバックボディであるインプレッサに対し、シビックはクーペのようなファストバックスタイルであるため荷室の使い勝手と見た目の印象がずいぶん異なる。

荷室寸法はシビックが長さ920mm×幅1030mm×高さ750mm、インプレッサが814mm×1090mm×706mm。ボディ全長差の分だけ荷室長はシビックの方が長く、荷室開口部はインプレッサの方が若干幅が広い。

後席はどちらも6:4分割可倒であり、後席を前倒しした際の最大荷室長はシビックが1680mm、インプレッサが1591mmだ。インプレッサはシートの傾斜はあるもののほぼフルフラットな荷室となるが、シビックの荷室床面には50mmほどの段差がある。とはいえ、車中泊をするようなクルマでもないため大きな問題にはならないだろう。

シビックはスラントしたハッチバック形状のため大型の荷物を積み込むのに工夫を要するが、収納性ではインプレッサに劣らない。強いて優劣をつけるとすれば、インプレッサの方が使いやすいクルマと言える。

ホンダ シビック e:HEV RS
ボディサイズ=全長4560mm×全幅1800mm×全高1415mm
ホイールベース=2735mm
車両重量=1470kg
タイヤサイズ=235/40R18(前後)

スバル インプレッサ ST-H STI Performance Edition
ボディサイズ=全長4475mm×全幅1780mm×全高1515mm
ホイールベース=2670mm
車両重量=1530kg
タイヤサイズ=215/50R17(前後)

ステップ変速と高いハンドリング性能が2台の共通点

両車はパワートレインの構成もベースモデルと共通だ。シビックは最高出力184ps/最大トルク315Nmのモーターで走行し、おおよそ70km/h以上の領域ではエンジンの動力を直接使って走行できるe:HEVだ。

インプレッサは滑らかな回転上昇と静粛性に優れた水平対向エンジンに、最大トルク65Nmのモーターを組み合わせたe-BOXERとなる。なお、特別仕様車“STIパフォーマンスエディション”はAWDのみの設定である点には注意したい。

絶対的な加速性能はシビックが高い。燃費性能もWLTCモード24.0km/L(e:HEV RS)と16.6km/L(ST-H)でシビックがインプレッサを圧倒する。ただし、最小回転半径は5.7mと5.3mでインプレッサの方が小回りが利く。

両車の最大の注目点はステップ変速とシャシーの仕立てだ。シビックe:HEV RSはスポーツモードへ切り替えて、“S+シフト”のスイッチをオンにすれば、トランスミッションが存在しないハイブリッドカーにもかかわらず8速ATのような変速挙動を示す。

S+シフトは回生ブレーキのコントロールによってシフトアップ時の空走感や、シフトダウン時の減速感までを忠実に再現。さらにアクティブサウンドコントロールによってエンジン音も同期するため、予備知識なしで本物のATと区別することは難しいだろう。

シビック e:HEV RSは足まわりにも手が加えられている。車重増加への対応に加え、より幅広い人が乗ることも想定して乗り心地を重視したセッティングとなっているが、タイヤはe:HEV RS専用開発品に換装されており、ベース車よりもスポーティに仕上げられている。

一方、インプレッサのトランスミッションは無段変速のCVTだが、搭載されるリニアトロニックCVTはマニュアルモードを選択すると8段ステップ変速制御へと切り替わり、ダイレクトかつ滑らかな駆動伝達が可能だ。

“STI パフォーマンスエディション”のシャシーはベースグレードとまったくの共通だが、中間部にピロボールを仕込んで横力だけを受け持ちボディの捻れを規制しない“フレキシブルタワーバー”をフロントに装備。リヤには、内蔵スプリングによるテンションで応力を逃しつつボディ剛性を高める“フレキシブルドロースティフナー”が装着され、ベース車よりもハンドリング性能が高められている。

ホンダ シビック e:HEV RS
エンジン形式=直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1993cc
最高出力=141ps/6000rpm
最大トルク=182Nm/1700〜4500rpm
トランスミッション=単速
駆動方式=2WD(FF)

スバル インプレッサ ST-H STI Performance Edition
エンジン形式=水平対向4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量=1995cc
最高出力=145ps/6000rpm
最大トルク=188Nm/4000rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=4WD

特別感は十分! 少しだけ贅沢なシビックとインプレッサ

両車はインテリアにも手が加えられている。シビック e:HEV RSのシートにはレッドステッチ、インパネにはレッドの加飾が施される。パドルシフトはメタル調の専用品が奢られ、ステアリングはプレリュードと同じDシェイプ型だ。

インプレッサも同様に、シートにはレッドのアクセントカラーが加えられ、インパネまわりにはレッドの加飾やカーボン調パネルなどでスポーティな雰囲気が高められている。

それ以外の点でも両車は共通点が多い。どちらもステアリング剛性を高めるとともに滑らかな操舵感に貢献する2ピニオンステアリングラックを採用。シビックは今回のマイナーチェンジで“e:HEV RS”と最上級の“e:HEV EX”にステアリングヒーターが追加されたことで、インプレッサとは快適装備でも横並びとなった。

ただし、フルハイブリッドカーのシビック e:HEV RSはPTCヒーターを搭載するため、冬場でも車内が温まりやすい点でやや優位に立つ。ベース車に比べてコストがかかっているのはシビックの方だ。しかし、そのぶん車両価格も高額となる。

両車の新車価格はシビック e:HEV RSが465万9600円、インプレッサ ST-H STI パフォーマンスエディションが371万8000円であり、両車の価格差は約94万円にも達する。

どちらもベース車自体がスポーティなディメンションを備えており、高いポテンシャルを秘めたクルマだ。ただし、どちらもベース車自体が高めの価格設定であり、売れるクルマとは言い難い。

本来、シフト制御など必要ないパワートレインにあえてステップ変速機能を追加しつつ、ハンドリング性能を高めることで、「クルマを操る」というユーザーが抱くエモーショナルな部分にコストを投じた2台が“シビック e:HEV RS”と“インプレッサ ST-H STI パフォーマンスエディション”だと言えるだろう。

両車は、効率とバリューばかりが求められる現代においてホンダとスバルが送り出す、「少しだけ贅沢な選択肢」なのだ。これはもう、どちらを選ぶかは実利的には価格差ぐらいでしかない“趣味の世界”の話だろう。

車両本体価格

ホンダ シビック e:HEV RS:465万9600円

スバル インプレッサ ST-H STI Performance Edition:371万8000円