あの頃のFCをもう一度

今だからできる理想のカタチ

「もう一度、ロータリーに乗りたい」。そんな青春時代の想いから、第2のFC3Sライフをスタートさせたのがオーナーのヨッシンさんだ。

若い頃はタービン交換仕様のFC3Sでストリートゼロヨンに熱中。しかし時代の流れとともに愛車はアメ車やミニバン、1BOXへと変わり、クルマに求める価値観も速さからスタイルへとシフトしていった。いつしかスポーツカーは懐かしい思い出になっていたのである。

そんな中、かつての走り仲間たちがDR30やFD3Sで再び旧車趣味を楽しむ姿を目にし、心の奥に眠っていたロータリーへの情熱が再燃。さらに、マツダによる生産廃止部品の復刻というニュースも後押しとなり、4年前に後期型FC3Sの購入を決意した。当時乗っていたのと同じ後期モデルであることも、大きなこだわりのひとつだった。

選んだのは、ブラック内装による上質な雰囲気が魅力のGT-X。購入時の走行距離は5万km台で圧縮状態も良好。ハイフロータービン仕様の13Bターボを搭載した、コンディション抜群の個体だった。

しかし、昭和の時代のように速さだけを追い求めるつもりはない。車両もパーツも貴重な存在となった今、目指したのは若き日の“青春仕様”をベースに、現代的なセンスを融合させた魅せるスタンススタイルだった。

ボディはゴールドパールを混ぜたブラックマイカへオールペイント。単なるワイドボディ化ではなく、純正ラインを崩さない自然なフォルムにこだわり、フロント35mm、リヤ50mmのワイドフェンダーを製作した。右側の給油口も違和感なくオフセットするなど、細部まで抜かりない作り込みが施されている。

エクステリアには、GPスポーツのG-FOURフロントバンパーをはじめ、RE雨宮のベタ付けリヤスポイラー、ガナドール製エアロミラーなど、当時を知る者なら思わず唸る定番アイテムを投入。さらに前期テール化やスモーク加工、ハイマウントストップランプのスムージング、エンブレムのブラックアウトなどを施し、色数を抑えた大人の雰囲気を演出している。

足元には、本来狙っていたアウトストラーダ・モデナの代わりにシェブロンレーシングS2を選択。当初は17インチを検討していたが、ワイド化されたボディとのバランスやタイヤサイズを考慮し、最終的に18インチを投入した。FD3S純正キャリパーのゴールドカラーも、ボディカラーとの統一感を意識した演出だ。

車高調整には、以前所有していたアウディから移植したエアフォース製エアサスを採用。スポーツカーらしい低さと実用性を両立するとともに、ラゲッジスペースにはシンメトリーに配置したエアサスタンクとツインコンプレッサーをディスプレイ。リヤシートは積載スペースとして割り切り、魅せるトランクルームへと仕上げている。

インテリアはGT-Xならではのブラック基調を活かしつつ、レッドをアクセントとして追加。シートにはEK9シビックタイプR純正のレカロSR-3を採用し、当時らしさと上質感を両立させた。また、ラムコ製追加メーターは若い頃に愛用していたものを複数の中古品から状態の良い部品を組み合わせて再生。ブーストコントローラーも最新モデルではなく、あえてプロフェックタイプBを選択するなど、時代感を崩さないこだわりが随所に盛り込まれている。

そして、唯一の未完成ポイントがエンジンルームだ。現在の13Bターボは絶好調で、慌てて手を加える予定はない。しかしイベントでボンネットを開けた際の見映えまで考慮し、エンジンや補機類を降ろさない状態でエンジンルームの再塗装を実施。元色との違和感を解消しながら、さらなる完成度アップを図っている。

若い頃は勢いのまま追い求めていた理想のFC3S。しかし経験を重ねた今だからこそ、パーツ選びから仕上げ方まで無駄なく、最短距離で理想形へと辿り着くことができた。

「理想の形に近づけられたのは宮崎モーターサウンドのおかげです」と語るヨッシンさん。情報収集もパーツ探しもしやすくなった令和という時代だからこそ楽しめる、第2のFC3Sライフはまだまだ続いていく。

「結婚しても手放さなかった…」600馬力のフルチューンFC3Sと歩んだ半生

600馬力を誇るブリッジポート仕様のFC3S。そのスペック以上に驚かされるのは、20年以上にわたって当時の姿を維持し続けてきたオーナーの情熱だ。ゼロヨン10秒台を夢見て作り上げた愛機は、今なお走行可能な状態で大切に保存されている。