大パワーよりも操る楽しさ

AE86で味わう究極のドリフト

AE86の魅力に惚れ込んだオーナーが、ドリフトを楽しむためにイチから仕上げた昭和57年式のレビン。もともとはS14&S15シルビアの2台体制だったが、「より思い通りに動かせるクルマ」を求めた結果、ハチロクに辿り着いたという。

「AE86のN2車両に乗る機会があって、そのハンドリングの良さに衝撃を受けました。細かな操作にもしっかり応えてくれるし、切り返しも抜群。自分のイメージ通りにコントロールできるんです。車重が軽いので、コーナー立ち上がりの加速も鋭いですしね」と語るオーナーの中泉さん。

そんなフィーリングに魅了され、まずはN2仕様のAE86レビンを入手。さらに約2年前、ほぼノーマル状態だったこのレビンを手に入れ、ドリフト専用機として製作した。現在はグリップ走行用のN2仕様とドリフト仕様の2台体制で、理想のハチロクライフを満喫している。

搭載されるエンジンは、小泉商会が手掛けた5A-G仕様。吸気系にはFCR41φキャブレターを組み合わせ、シリンダーヘッドには304度ハイカムをセット。レブリミットは8500rpmに設定され、推定210psを発揮する。ミッションには3.5速クロスを組み合わせ、鋭い吹け上がりとダイレクトな加速フィールを実現している。

CBY製オーバーフェンダーに収まるホイールは、ワーク・エクイップ01の15インチ。タイヤにはシバタイヤR23の195/50R15を組み合わせる。サスペンションは小泉商会オリジナルの車高調を装着し、スプリングレートも含めてセッティングはショップに一任している。

室内は徹底した軽量化のためドンガラ仕様とし、ダッシュ逃げタイプの7点式ロールケージを装備。運転席と助手席には真っ赤なブリッド製フルバケットシートをセットする。さらにフロントガラス以外はアクリルウインドウ化され、車重は830kgまで絞り込まれている。

純正メーターパネル内にはデフィのDSDFをインストール。液晶画面には水温や油温などの各種情報を表示できる。ミッションはテンポ良くシフトを刻める3.5速クロス仕様で、その脇には油圧サイドブレーキのレバーを配置。ドリフト時のコントロール性向上に大きく貢献しているが、「慣れるまでは苦労した」と中泉さんは笑う。また、トランク内にはATL製の安全タンクを搭載し、重量バランスの最適化も図っている。

エクステリアはランフリーのフルエアロにCBYのオーバーフェンダーを組み合わせたスタイル。ボンネットやトランクはFRP製へ変更し、ウインドウもアクリル化するなど軽量化を徹底している。鮮やかなボディカラーはGR86純正色のブライトブルーだ。

こうして仕上げられたレビンは、約830kgという軽さを武器に軽快なドリフトを披露。ハイパワー化が進む現代のドリフトシーンにおいても、弾けるようにリヤを振り出しながら駆け抜けるその姿は強烈な存在感を放つ。

約40年という歳月を経てもなお色褪せることのないAE86の魅力。大パワーに頼るのではなく、マシンを操る楽しさを追求したこの1台は、ハチロクという存在の奥深さを改めて教えてくれるのである。

PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI

「さりげないのに圧倒的!」FR最後のAE70カローラを若き天才ビルダーが手掛けるとこうなる

「気軽に乗れる旧車」をテーマに製作された70カローラ。しかしその仕上がりは想像を超える完成度を誇る。AE86由来の4A-Gエンジンを軸に、細部まで徹底的に作り込まれた一台は、有名カーショー「WeKFest」で最高賞を獲得。シンプルな構成の中にセンスと技術が凝縮されている。