3ローター化でさらに研ぎ澄まされた旋回性能
ターボとは違う次元で速さを追求したFD3S!
『頭文字D』に登場するFD3Sといえば、高橋啓介の愛機があまりにも有名だ。ロータリーならではの鋭い吹け上がりと抜群の旋回性能を武器に、数々のライバルを圧倒したその姿に憧れたファンも多いだろう。拓海のAE86と並び高い人気を誇る理由は、美しいスタイリングだけでなく、FD3Sという素材そのものが持つ純度の高いスポーツ性能にある。

そんな啓介のFD3Sがターボ仕様の王道だとすれば、今回紹介するRSパンテーラのチューンドは、まったく異なるアプローチでRX-7の魅力を引き出した1台だ。

心臓部に収まるのは、ユーノスコスモに搭載されていた3ローターの20Bエンジン。高圧縮ローターの採用やネオサイドポート化によって、最高出力約330psを発生する。3ローターならではの高周波サウンドと鋭いレスポンスは、この仕様ならではの魅力だ。

「20BハウジングにRX-8用の高圧縮ローターを組み合わせています。重量合わせやバランス取りも行っているので、高回転まで気持ち良く吹け上がりますね。低回転域から十分なトルクがあるので街乗りも快適です。NAなのでロータリーの大敵である熱もこもりにくく、サーキット走行でもまったく問題ありません」と製作を担当した佐藤さんは語る。

さらに注目したいのは、その搭載位置だ。バルクヘッドやフロアに加工を施し、エンジンを1ローター分後方へ移設。それでいてシフト位置は純正と変わらないよう最適化されており、違和感なく運転できる環境が作り込まれている。
その結果、重量配分は45:55を実現。フロント荷重が減ったことでノーズの入りはさらに鋭くなり、重心が後方へ移動したことでトラクション性能も向上した。もともと優れたコーナリング性能を持つFD3Sの長所を、さらに高いレベルへと引き上げているのだ。
また、レブリミットはあえて8000rpmに設定。性能だけでなくメタル寿命まで考慮した現実的なセッティングとしている点も見逃せない。エアコンを装備しながらも車重は1280kgに抑えられ、ノーマルと同等レベルの軽さを維持している。

足まわりにはHKSハイパーマックスⅢを装着。重量配分の最適化と相まって、ハンドリングはよりシャープなものとなった。ホイールはボルクレーシングC345の18インチ、タイヤにはポテンザRE-71RSを組み合わせる。


コクピットは純正イメージを色濃く残しながら、リヤまわりは徹底した軽量化を実施。
「富士スピードウェイでは1分59秒台を記録していますが、このクルマは速さだけを追求したものではありません。運転する楽しさを重視した仕様ですね。もちろん公認車検も取得済みで、エアコンも付いていますから街乗りも快適です。オーナーさんもドライブを楽しんでいますよ」と佐藤さん。

エクステリアは佐藤商会オリジナルのエアロ&空力パーツでまとめられ、VOLTEX製GTウイングを装着。FD3S本来の美しいスタイリングをさらに際立たせている。

この3ローター化プロジェクトは、代表の佐藤さんが「自分自身が乗りたい理想のRX-7」を形にするためにスタートしたもの。1号機を製作したのは約12年前で、これまでに完成した車両はわずか9台。現在も予約を抱えているものの、製作の手間やエンジン部品の確保が困難なことから、新規受注は停止しているという。
まさに“知る人ぞ知る幻の仕様”だ。
「とにかく乗っていて楽しいクルマです。サウンドもハンドリングも最高だと思います」と佐藤さん。

ターボとは異なるアプローチでFD3Sの魅力を引き出した3ローターNA仕様。その存在は、まさに“もうひとつの究極のFD3S”と呼ぶにふさわしい。
●取材協力:RSパンテーラ(佐藤商会) 静岡県富士宮市北山5220-2 TEL:0544-58-4837
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RSパンテーラ
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