外装も内装もノーマル然!
メーカー流チューンを貫く理由とは
20歳で新車のBNR32を購入してから35年。オーナーの早川さんは、BCNR33やBNR34に脇目を振ることなく、長きにわたって“BNR32愛”を貫き続けてきた。
「最初に買ったクルマは、鉄仮面ことDR30型スカイラインの2ドアRSターボC。そもそもスカイライン好きになったのは友達の影響です。その後、グループAが盛り上がっていた1990年代初頭、連勝を重ねるGT-Rの姿に憧れてBNR32へ乗り替えたんですよ」。


チューニングがまだ“違法改造”というイメージで見られることも多かった時代だが、BNR32オーナーの多くがそうだったように、早川さんもエアクリーナーやマフラーの交換、ECUの書き換えといった定番メニューを実践。その後、ニスモがGT-R向けのチューニングメニューを展開し始めたことをきっかけに、大森ファクトリーへ愛車を持ち込んだ。
そこで施されたのが、Sチューンエンジンの搭載とゲトラグ製6速MTへの換装だ。
「クルマを速くしたい。でも、寿命が短くなるのは嫌だった。そこで、“メーカー系なら問題ないだろう”と思い、ニスモに作業をお願いしたわけです」。
しかし、Sチューンエンジンは早川さんが期待していたほどのパフォーマンスを発揮してくれなかった。「何か違う」と感じた早川さんは、早速次の一手を打つことになる。
転機となったのは、ニスモフェスティバルで行なわれたチューナーズバトルだった。デモカーのBNR32で参戦し、圧倒的な速さを見せつけていたオーテックツカダ。その走りに魅了された早川さんは、迷うことなく同社の門を叩いたのだ。

エンジン本体の基本仕様はニスモSチューンのまま、制御系をATTKD Vプロ・エアフロレスシステムへ変更。パワーアップとレスポンスの向上を同時に実現し、ようやく早川さんが思い描いていた理想のパフォーマンスを手に入れることができた。
かつてオーテックツカダ関東店を切り盛りし、現在は独立してアドミクスを営む本嶋代表が語る。
「ブースト圧は常用で1.0キロ+α、最大でも1.2キロに抑えています。最高出力は370~380psで、ECUセッティングは実走で行なっています。ニスモSチューンはBNR34純正タービンを使っているので、過度なブーストアップは禁物。適度なところで使ってあげる方が機械への負担も少なく、結果的にエンジンの寿命を延ばすことにもつながりますからね」。

そんな早川さんのBNR32は、35年間での走行距離が約13万km。年式を考えれば比較的少ない距離だが、購入後しばらくは毎日の通勤にも使用。結婚後はチャイルドシートを装着し、家族でドライブへ出掛けるなど、長年にわたってファミリーカーとしての役目も果たしてきた。
足回りには、現在では極めて貴重な純正形状のニスモSチューンサスペンションを装着。ブレーキはBCNR33純正ブレンボキャリパー&ローターを流用し、制動力を強化する。ブレーキパッドはウィンマックス製だ。
ホイールこそレイズTE37SLへ変更されているが、エクステリアは基本的にノーマルの状態を維持。フロントバンパーに追加されたニスモ製ダクトや、トランクリッドの小型スポイラーは、グループAマシンへのリスペクトを形にしたものだ。


エクステリアと同様、インテリアもノーマル然とした雰囲気をキープ。ニスモ製のスピードメーターとシフトノブ、EVCを装着する以外は、シートもステアリングも純正のままだ。速さを追求しながらも、BNR32本来の雰囲気を崩さないという徹底した姿勢が貫かれている。

RB26DETTを搭載するGT-Rは、一般的に“第二世代”として括られる。それを前提にしつつも、R32、R33、R34では、それぞれにオーナーの趣味や嗜好、思い入れなどが複雑に絡み合ってくる。RB26DETTにアテーサE-TSという基本コンポーネンツこそ共通でも、各々が確固たる個性を持ち、独自のファンに支えられているのが、第二世代GT-Rの現実だ。
「自分にとってGT-Rの最高峰はグループAマシン。だから、BNR32が唯一の存在であり、ゴールでもあったんです。その後、BCNR33やBNR34が出てきましたけど、乗り替えたいとは全く思わなかったですね」。
決して、第二世代だから、ではない。グループAで無敵を誇ったGT-Rだから。早川さんが譲れない、BNR32でなければならない理由は、そこにある。
●取材協力:アドミクス 埼玉県比企郡川島町上大屋敷403 TEL:049-299-1771
【関連リンク】
アドミクス
http://www.admix-racing.com



