ハイソカーの常識を覆す異端のSX70!
懐かしさの奥に潜む3Sの咆哮
昭和の空気を色濃く残す角張ったボディに、ベタベタまで落とした車高。街道レーサーを彷彿とさせるSX70マークⅡが、官能的な吸気サウンドを響かせながら豪快なドリフトを披露する。そのギャップに思わず目を奪われる。

オーナーの“おみつ”さんは、100系ツアラーやKE70カローラセダンなどを乗り継いできた生粋のセダン好き。AE86に乗っていた時期もあったが、4ドアへのこだわりを捨て切れず、このマークⅡへとたどり着いた。

「AE86と物々交換しました。ベースはGRサルーンで、もともとは1.8Lの1S-Uを搭載した廉価グレードです。70系マークⅡはハードトップが人気ですが、これはセダン。Aピラーが立っていて、いかにもセダンらしいスタイルが気に入っています」。


そんなレトロな雰囲気とは裏腹に、エンジンルームに収まるのは、モータースポーツでも活躍した名機3S-GEだ。前オーナーがDIYでスワップしたユニットをベースに、おみつさんはAE111用4連スロットルを組み合わせ、LINKフルコンで制御。最高出力は約210psを発揮する。
「4スロ化して一気にキャラクターが変わりましたね。レスポンスは抜群ですし、8000rpmまで気持ち良く吹け上がります」。

KOYO製ラジエーターやトラスト製オイルクーラーを装着するなど、冷却対策も万全。エアコンやパワーステアリングも備えているが、今後は取り外すかどうか悩んでいるそうだ。

フロントパイプから60φで統一したワンオフマフラーは、デュアルテール仕様とすることで迫力あるリヤビューを演出している。

駆動系も抜かりない。ミッションはアルテッツァ純正6速MT、デフはマークⅡワゴン用7.5インチデフにTRD製機械式LSDを組み合わせる。ノスタルジックなルックスとは裏腹に、中身は本気のスポーツ仕様だ。

一方で、足回りはスタイルを最優先。駐車場へ入れる限界までローダウンしながら、純正ストラットをベースに社外ダンパーを組み合わせ、加工ナックルで切れ角を確保している。リヤのストローク量は最小限だが、それを感じさせないアグレッシブなドリフトを披露する。
足元には希少なパナスポーツG7-C8Rの14インチホイールを装着。ナローボディに深リムという組み合わせが、このクルマならではの存在感を際立たせている。


廉価グレードながら、パワーステアリングなど快適装備が充実していたGRサルーン。ちなみにセダンは、ハードトップより後席スペースが広いのも特徴だ。そんな当時の雰囲気を残しつつ、車内にはロールケージとブリッド製フルバケットシートを装着。ステアリングはナルディに交換され、純正メーターパネル内にはウルトラ製タコメーターをインストールしている。ドリンクホルダーに置かれたマイルドセブンも、当時モノという徹底ぶりだ。

「ドリフト歴は、もう30年くらいになりますね。今は日光や筑波を中心に月1回くらい走っています。昔みたいに無茶はしませんけど、やっぱり走るのはやめられない。このマークⅡで旧車のツーリングやイベントに紛れ込むのも楽しいんですよ」。

渋さと過激さを絶妙なバランスで融合させたSX70マークⅡ。クラシカルなセダンの皮を被りながら、本気のドリフトマシンとして走りを楽しむ。その振り幅の大きさこそ、おみつさん流4ドアドリフト仕様の真骨頂なのである。
PHOTO:Akio HIRANO/REPORT:Daisuke ISHIKAWA

