EV(電気自動車)の普及が進む一方で、「電動コンバーチブル」というカテゴリーはほとんど広がっていない。重量増や車体剛性、航続距離など、多くの課題があるからだ。そんななか、BMWがその難題に真正面から挑もうとしている。

今回、ドイツで初めてスクープされたのは、2028年頃の登場が有力視される新型i4コンバーチブルの開発車両だ。BMWの次世代EVシリーズ「ノイエ・クラッセ」をベースとするオープンモデルで、先日公開されたi3セダンの兄弟車に位置付けられるとみられている。

注目すべきはルーフ構造である。現行4シリーズ・コンバーチブルと同様に布製ソフトトップを採用するとみられ、重量増を抑えながらトランク容量も確保する狙いがあるようだ。BMWはすでに2020年、4シリーズでハードトップを廃止してソフトトップへ回帰しており、床下に大型バッテリーを搭載するEVでは、この選択がさらに理にかなっている。
スクープ車両は濃いカモフラージュで覆われているものの、フロントフェイスにはノイエ・クラッセ共通のデザインテーマが確認できる。一方で、セダンよりホイールベースが短く見えることから、完全な4人乗りではなく「2+2」に近いパッケージとなる可能性も指摘されている。また、生産終了が噂されるZ4の後継的な役割を担う存在になるとの見方もある。
EVコンバーチブル最大の課題は車体剛性だ。一般的なオープンカーはフロアに補強材を追加することで剛性を確保するが、EVではその場所に大型バッテリーが搭載される。そのため、重量を増やさず高いボディ剛性を実現できるかが、このモデル最大の技術的テーマになりそうだ。
パワートレーンはまだ正式発表されていないが、i3セダンと共通になる可能性が高い。上級グレード、i4 50 xDriveでは最高出力469ps級、108.7kWhバッテリー、800Vアーキテクチャを採用し、WLTPモードでは最大約900kmという驚異的な航続距離が期待される。一方、エントリーグレードには約320ps仕様も設定される可能性があり、価格帯を広げる戦略も予想されている。
インテリアには、BMW最新世代の「パノラミックiDrive」を採用する見込みだ。フロントガラス下部いっぱいに広がる情報表示と17.9インチ大型ディスプレイを組み合わせた新世代コックピットは、今後のBMWを象徴する装備となる。
さらにBMWは、このi4コンバーチブルだけでなく、クーペや電動M4、さらには内燃機関モデルも並行して展開する計画とみられている。つまり将来の4シリーズは、ガソリン、EV、クーペ、コンバーチブルという幅広い選択肢を用意し、ユーザーの多様なニーズに応えるラインアップへ進化していく可能性が高い。
近年はEV化によってオープンカーの将来を不安視する声も少なくない。しかしBMWは、電動化が進む時代だからこそ「走る楽しさ」や「風を感じる歓び」を残そうとしているようにも見える。
果たしてi4コンバーチブルは、EV時代の新たなオープンカー像を築く1台となるのか。今後の開発動向に注目したい。










