多種多様に使える広大な室内 商用でも乗用並みの充実装備

軽バンは国内のほぼ全ブランドで販売されるが、実際につくっているのはスズキ、ダイハツ、ホンダの3社のみ。

エクステリア

撮影車両の特別仕様車「Jリミテッド」は、「JOINターボ」をベースに専用のデカールやガンメタリックのホイールキャップなどを装着。ホビーユースに適した外観を備えている。最小回転半径は4.1m。

このうちスズキは日産、三菱、マツダにエブリイのバッジ違いを供給。また、ホンダのN-VANのみ乗用車同様のFFレイアウトを採用するが、スズキとダイハツは運転席の真下にエンジンを置く、伝統的なキャブオーバーレイアウトを採る。キャブオーバー最大のメリットは、室内長を最大限に確保できることで、それゆえ伝統的な商用車はトラックを含めてキャブオーバーが多い。 N-VANが2018年、ハイゼットカーゴ/アトレーが21年発売なのに対して、15年デビューの現行エブリイは、現時点では最古参となる。とはいっても、発売からまだ10年ちょっとなので、商用車としては格別に古いわけではない。

乗降性

そんなエブリイの特徴のひとつに、現行の軽バン系モデルとしては唯一、乗用登録のワゴンを用意することにある。乗用登録だと荷室長などのシバリもなくなるので、エブリイワゴンも後席にスライド機能を追加するなど、居住性や快適性に乗用登録ならではの工夫を凝らす。また、初回車検が登録後3年(軽商用は2年)になるのもメリットである。キャンプや車中泊、あるいは大荷物が必要な趣味など、ライフスタイルが多様化した現在では、こうした軽商用バン系をファーストカーとして使う個人も増えている。最近の軽商用車が鮮やかなボディカラーを用意するのも、そんな風潮を受けてのことだ。なかでも象徴的な存在と言えるのが、25年8月にエブリイに追加された「Jリミテッド」で、ご覧のように個性的なボディカラーにブラックのアクセント、そしてサイドデカール……と、いかにも趣味心をくすぐるツール感あふれる仕立てが興味深い。ちなみにスズキは軽トラのキャリイにも似たような仕立ての「Xリミテッド」を用意している。

インストルメントパネル

水平基調のインパネは商用車らしく機能的ながら、乗用モデルも設定するだけに見た目の質感はまずまず。フロントガラスの天地は狭くAピラーも太いため前方の死角は大きめ。

かつては軽バンを個人ユースする場合は、乗用登録で乗るのが一般的だったが、軽商用車の乗用車と比較してのデメリットも少なく、最近は税金などがお得な商用登録が好まれるようだ。エブリイより新しいN-VANやハイゼットカーゴ/アトレーがワゴンを用意しないのもそれが理由と思われ、この「Xリミテッド」のベースもワゴンではなくバンだ。

居住性

エブリイの場合、実際に乗ってもバンのデメリットは小さい。ワゴン仕様を用意するからか、バン仕様のリヤシートもスライドが省略される以外はワゴンのそれと共通で、その座り心地はライバルを凌駕するし、スライドドアのウインドウが電動昇降式なのもワゴン譲りである。さらに24年から(一部廉価グレードを除いて)2ペダル変速機はダイハツが供給するCVTになったのも、ドライバビリティ面では大きな進化である。

うれしい装備

「Jリミテッド」は後席両側ワンアクションパワースライドドアを標準装備。右側のリヤスライドドアもボタンひとつで開閉することが可能だ。
後席格納時の荷室はほぼフラットな上、奥行きは1820㎜と極めて広いため、クッションやマットを敷けばゆとりのあるスペースで車中泊できる。
月間販売台数   4898台エブリイのみ(25年7月~12月平均値)
現行型発表    15年2月(ボディカラー追加 25年7月)
WLTCモード燃費  17.2㎞/ℓ※自然吸気のFF車(5速MT)  

ラゲッジルーム

ターボでも自然吸気でもエンジンパワーを無駄なく引き出してパワートレインがギクシャクしなくなった分だけ、乗り心地も静粛性も明確にアップデートされている。商用車モデルはもともと息が長いが、今のエブリイに乗っても古さを感じないのは、CVTの恩恵も大きい。さらに、他社にはない乗用ワゴンの美点を活かしたバンの内容など、エブリイは今こそが旬かもしれない。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.175「2026年 軽自動車のすべて」の再構成です。

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