Lamborghini Revuelto SV

初夏のナルドで

ランボルギーニ レヴエルトSVのリヤウイング
ランボルギーニ レヴエルトSVのリヤウイング

スマホでイタリアの地図を開き、南部プーリア州レッチェ県の海岸沿いにある小さな村、エウロヴィラッジョを探してみてほしい。そこに、とても不思議な表示が現れるはずだ。直径4kmほどの真円を描く道路である。

実はこれ、全長およそ12.6kmの高速リングで、かのナルド・テクニカル・センターの一部である。1975年にフィアットが設立。敷地面積は約700ヘクタールというから、約211万坪、東京ドーム150個分、東京ディズニーランド14個分に相当。高速リングのほか、低速リングやオフロード、各種テスト路面、電動車や先進システム試験設備、そして全長6kmのハンドリングテストトラックを備える。2012年以降はポルシェ・エンジニアリングが所有し、国際的な自働車研究開発の拠点として、ポルシェやVWグループのみならず、世界中のブランドが活用する巨大施設である。

美しいビーチにそろそろパラソルが立ち並び始めた初夏に、私はナルドを訪れていた。ランボルギーニからプロトタイプモデルの試乗に関する招待状が届いたわけだが、情報漏洩の防止を目的とした誓約書には“レヴエルトPMプロジェクト”と記されてあった。PM=パフォーマンスモデル? 本国から歴史的な12気筒モデルにSVが存在したことを再アピールするリリースが出たばかり。ということはつまり、「レヴエルトSV」を試すことができると確信をもって赴いていたのだった。

モータースポーツから得た最新技術

アンベールされるランボルギーニ レヴエルトSV
アンベールされるランボルギーニ レヴエルトSV

さまざまなブランドの拠点となるオフィス&ファクトリーを抜けて奥まった場所、高速リングの中にあるハンドリングコースに着いてみれば、色とりどりの現行型(スタンダードモデル)が並び、その傍らにラッピングされたレヴエルトが数台、配置されている。そして仮設のプレゼンテーションルームの前には、ベールを被った背の低いモデルがあった。

我らがミィティア・ボルケルトが、いつもの笑顔でアンベールする。2トーンカラーで明らかに表情の違うレヴエルトが現れた。SVである。レヴエルトSVについての詳細はすでに8月半ばのモントレーで発表された通り。「テメラリオGT3」や「フェノメノ」の開発から得た最新の知見を惜しみなく投入した、まさにレブエルトのパフォーマンスモデルである、といっても、この後、スタンダードの底力も再確認することになったのだが……。

システム最高出力50馬力アップの1065馬力に到達「ランボルギーニ レヴエルト SV」がデビュー | Motor Fan|自動車情報のモーターファン

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リニアモーターカーのような加速

ランボルギーニ レヴエルトSV
ランボルギーニ レヴエルトSV

まずはカモフラージュラッピング(この時点ではまだ正式発表前だったのだ)のSVで、ローンチモードを使ったフル加速テストに臨む。左足でブレーキを踏み、アクセルペダルを目一杯踏み込んでから、その左足を解放する。派手なタイヤのスキール音が聞こえるかと思いきや、まるで鳴らない。スリップもない。タイヤの存在すら感じないほどフラットで、リニアモーターカーのようにガンガン平行移動していく感覚、とでも言おうか。一瞬、何が起こったのか理解できないほど劇的な加速である。顎が外れそうとは、まさにこのことを言う。

外れかけた顎を元に戻すかのように早口でテストドライバーに感想を捲し立てると、今度は現行モデルに乗り換えて、テメラリオの後に並ぶよう指示された。テストドライバーの駆るテメラリオにピッタリ張り付いてのテスト、というわけで、これなら初めてのコースでも不安はない。

こちらの方がポテンシャルでは上。前を走るクルマにできることが、こちらにできないわけがない。そんな妙な自信を持って追走する。スタンダードのレヴエルトは、依然として、とてつもなく速いスーパースポーツだった。加減速の能力は非常に高く、しかも洗練されている。すべてがスムーズで、気づけばとんでもない速度領域にいる。SVはこのさらに上をいくのか。果たして、そんな高性能を体感し、楽しむことができるのだろうか。スタンダードモデルのあまりの完成度の高さに、かえってSV試乗への緊張が増していった。

醸される超一級のスーパースポーツ感

テメラリオの先導でハンドリングトラックを駆けるランボルギーニ レヴエルトSV
テメラリオの先導でハンドリングトラックを駆けるランボルギーニ レヴエルトSV

ナルドのハンドリングコースは、少し荒れた、スタンドのないサーキットのような場所だ。プルービンググラウンドだけあって、気持ちよく駆け抜けていけるコーナーは少ない。連続するコーナーもどこか意地悪で、人はもちろん、クルマにも負担を強いる。レヴエルトでなければ、攻め込むにもかなり苦労したことだろう。それでも汗をうっすらとしかかかないのがレブエルトというクルマの本質だ。どこまでもクルマが優っている。アヴェンタドールから大いに進化した結果である。

もう一度、カモフラージュのSVに乗り込んだ。走り出してすぐ、スタンダードより強烈な一体感と確かな信頼感を抱く。全てが思い通りに動くモビルスーツのような感覚、つまり超一級のスーパースポーツ感を走り出してものの数秒で掴んでいた。シフトアップのダイレクト感は明らかに強い。コーナーがさっきよりも随分と早く迫ってくる。クリップポイントへノーズも向けやすい。新開発ブレーキシステムのコントロール性がスタンダードよりはるかに上等なのだ。ノーズは長くなっているはずである。けれども乗ってみれば短くなったように感じる。鼻先だけじゃない、身体全体がひと回り小さくなったかのようだ。

官能的V12サウンドに酔いしれて

ランボルギーニ レヴエルトSVに試乗する筆者
ランボルギーニ レヴエルトSVに試乗する筆者

空力性能の向上も目覚ましい。5速のハイスピードコーナリングなど、その安定感に目を見張る。路面に吸い付く感覚は、乗っていて快感でもあった。ちなみにストレートではスタンダードより10km/h速く、298km/hを記録した。

スペックを比較しただけではまったくわからない、予想を上回る高性能ぶりに驚きつつ、高音域での響きがいっそう官能的になったV12サウンドに酔いしれる。何より、スタンダードよりも“自分で運転している”感覚が強かった。これこそが、新世代におけるハイパフォーマンスの表現というわけなのだろう。

PHOTO/Lamborghini S.p.A.

SPECIFICATIONS

ランボルギーニ レヴエルト SV

ボディサイズ:全長4944 全幅2038 全高1162mm
ホイールベース:2779mm
車両重量:1772kg
エンジン:V型12気筒DOHC
総排気量:6498.5cc
エンジン最高出力:607kW(825PS)/9250rpm
エンジン最大トルク:725Nm/6750rpm
モーター最高出力:前220kW(299PS) 後110kW(150PS)
システム最高出力:783kW(1065PS)
システム最大トルク:1425Nm
バッテリー容量:7.3kWh
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後CCM-R Plusカーボンセラミックディスク
タイヤサイズ:前265/35 ZR20 後345/30 ZR21
0-100km/h加速:2.4秒
最高速度:348km/h

【問い合わせ】
ランボルギーニ カスタマーセンター
TEL 0120-988-889
https://www.lamborghini.com/jp-en

1963台の限定車「ランボルギーニ レヴエルト SV」

システム最高出力50馬力アップの1065馬力に到達「ランボルギーニ レヴエルト SV」がデビュー

V12をミッドに搭載する「ランボルギーニ レヴエルト」。比類なきランボルギーニのフラグシップモデルをさらに進化させたのが「レヴエルト SV」だ。最高出力を1065PSにまで高めただけでなく、その核心にはこれまで以上の技術が詰め込まれたという。山崎元裕が解説する。