「操る楽しさ」という本質を残しながら、新時代のスポーツカーへ
アキュラがモントレー・カー・ウィークで公開した新たなコンセプトカー「Nexera Vision(ネクセラ・ビジョン)」。将来のブランドデザインを示すモデルとして登場した1台だが、その低くワイドなプロポーションを見ていると、別の可能性も想像したくなる。

それが、ホンダ「S2000」の復活だ。
そこでスクープ班では、Nexera Visionのデザインをベースに、「S2000が次世代ロードスターとして復活したら」というテーマで市販型をイメージした予想CGを制作した。

Nexera Visionは、単なるショーカーで終わる存在ではない。アキュラによれば、ここで示された新たなデザイン言語は今後の市販モデルへ順次展開される計画で、その第一弾となる次期「RDX Hybrid」でも特徴的なライティングシグネチャーなどが受け継がれるとみられている。
つまり、このコンセプトで提示された造形には、将来の量産車につながる要素が含まれているということだ。
一方、海外ではNexera Visionをスポーツカーの可能性を探るショーケースとして見る向きもある。もしこのスタイルや基本思想がスポーツモデルへ発展するなら、アキュラだけでなくホンダブランドへ展開するシナリオも浮かんでくる。
そこで気になるのが、2009年に生産を終了して以来、復活を待ち望む声が絶えないS2000である。
今回の予想CGでは、Nexera Visionが持つ低くワイドなスタンスを生かしながら、オープン2シーターのスポーツカーへ大胆に再構成した。
フロントは薄く鋭いLEDヘッドライトを採用し、Nexera Visionの未来的なイメージを残しながら、より水平基調の端正な表情へ変更。ノーズ先端を低く抑え、その下にワイドなロアグリルとブラックのエアロパーツを配置することで、地面へ張り付くようなスタンスを作り出している。
フロントフェンダーからドアへ流れるボディ面も極力シンプルに仕上げた。複雑なキャラクターラインでスポーティさを演出するのではなく、ボディそのものの抑揚によって存在感を出すデザインだ。
そして、このCGでとくに意識したのがプロポーションである。
長く低いノーズ、その後方へ寄せたキャビン、そして短いリアデッキ。初代S2000を思わせるロングノーズ・ショートデッキのシルエットを強調した。
Nexera Visionに見られるショーカー的な要素も、市販化を意識して整理している。ドアはバタフライ式ではなく一般的な横開きとし、ルーフはオープン化。2座のスポーツシートを低い位置へ収め、純粋な2シーターロードスターとしてまとめた。
足元には大径ブラックホイールを装着し、サイドシルにもブラックのエアロパーツを配置する。一方で巨大なウイングなどには頼らず、S2000が持っていたシンプルなスポーツカーらしさを残した。
では、もしS2000が本当に復活するとしたら、その心臓部はどうなるのか。
S2000を象徴していたのは、高回転まで一気に吹け上がる自然吸気エンジンだった。しかし、次世代モデルではその再現ではなく、新たな電動アーキテクチャを使ったスポーツカーとなる可能性も浮上している。
電動化はS2000のファンにとって賛否が分かれる部分だろう。しかしスポーツカーという視点では、EVにもメリットがある。
バッテリーを床下へ配置すれば重心を下げやすく、モーターならアクセル操作に対して瞬時にトルクを発生できる。重量増という課題はあるものの、軽量化とシャシー設計を徹底すれば、エンジン車とは異なる方法で鋭いレスポンスを追求できる。
重要なのは、パワートレインそのものよりも「S2000らしい走り」をどう再現するかだ。
ホンダは近年、「プレリュード」を復活させるなど、かつての車名を単純に再現するのではなく、新しい技術と組み合わせて現代へ戻す商品戦略を進めている。
ならばS2000も、かつての2.0L自然吸気エンジンをそのまま再現するのではなく、「軽快なオープン2シーター」「ドライバー中心のパッケージ」「操る楽しさ」という本質を残しながら、新時代のスポーツカーへ生まれ変わる道はある。
Nexera Visionから直接S2000が生まれると決まったわけではない。しかし、アキュラが提示した最新デザインとS2000のDNAを組み合わせると、今回のCGのようなロードスター像が見えてくる。
電動化時代にも、ホンダは純粋な2シータースポーツを作るのか。もし「S2000」の名が再び使われる日が来るなら、その答えは過去の再現ではなく、まったく新しいスポーツカーになるのかもしれない。









