テントを積むだけがオーバーランドじゃない! 狙うは極地を走る“働く4WD”
強烈なリフトアップに265幅のマッドテレーンタイヤ、ワイドフェンダー、そして無骨なアイアンバンパー。杉原さんのジムニーノマドをひと目見れば、本気度の高いオーバーランド仕様であることは伝わってくる。
しかし、その方向性は日本でよく見かけるスタイルとは少々違う。
「オーバーランドにもいろいろあって、オーストラリア系のビッグフットスタイルもあれば、北欧などで極地へ向かうようなクルマもあるんです。今回はそっちを意識しています」。
ルーフラックにルーフトップテント、ラダーやギアを満載する、いわばキャンプ寄りのスタイルとは異なり、極寒の地で人や物資を運ぶ実働4WDをイメージ。杉原さん自身がクルマ屋ということもあり、海外のカスタム事情にも精通している。だからこそパーツ選びにも独自のこだわりがある。
象徴的なのが足元だ。ホイールはアメリカン4×4ではお馴染みのFUEL。一般的なジムニー用ではない16×8.0J、インセット−18というサイズを探し出し、ヨコハマ・ジオランダーM/Tの265/75R16を組み合わせた。
「もともとFUELはラングラー系で知っていました。調べてみたらPCD139.7の5穴があったので、これなら使えるなと」。
つまり先にこのタイヤ&ホイールありき。そのサイズをノマドで成立させるために、フェンダーやサスペンションを構築していった。
足まわりもかなり大胆。ノマド専用品ではなくシエラ用のリフトアップスプリングをベースに、スペーサーも追加。さらに大径タイヤによるアップ量も加わり、ノーマルとは別物のようなシルエットを作り上げている。
フロントのアイアンバンパーはオリジナル。ラングラーなど海外の本格4WDを参考に製作したもので、スキッド形状まで含めて無骨さ満点だ。RMT製フェンダーとの組み合わせもあり、ノマドのボディがひと回りもふた回りも大きく見える。
そして、ひと際目を引くのがフロントにそびえる長いアンテナ。
これは雰囲気だけを狙ったダミーではなく、実際に使用できるものを海外から入手したという。さらに海外仕様を意識したグリルなど、杉原さんが大切にしているのは“それっぽく見せる”だけで終わらせないこと。
「昔からUSDMなんかも好きで、ニセモノは嫌なんですよ。付けるならちゃんとしたものを使いたい」
今後はシュノーケルなども検討しているが、ここでも見た目だけのパーツを安易に選ばず、海外で実際に使われている製品を吟味している最中だという。
そして興味深いのが、ルーフまわりが意外なほどシンプルなこと。
極地で働くクルマを考えれば、ルーフ上へ大量の荷物を積むことが必ずしも正解ではない。ましてや極寒の環境でルーフトップテントに泊まるという発想とも違う。その土地で実際に使われるクルマの背景まで考えながらスタイルを構築しているのだ。
日本ではまだ馴染みの薄い“アークティック系オーバーランド”を、ジムニーノマドで表現する。
見た目の迫力だけでなく、「なぜこのパーツを付けるのか」まで海外のリアルを追いかける。杉原さんのノマドは、まだまだ完成への途中。そのマニアックな進化が楽しみな一台だ。








SPECIFICATION
ホイール:FUEL OFF-ROAD(16×8.0-18)
タイヤ:ヨコハマ・ジオランダーM/T(265/75)
外装:F/R/ヘッドライト=オリジナル、フェンダー=RMT、テールレンズ=ショウワガレージ
足回り:スプリング=オリジナル
チューニング:マフラー=オリジナル
PHOTO:塩谷佳史
【ALL JAPAN JIMNY MEETING 6th】
開催日:2026年7月25日(土)~7月26日(日)
開催場所:平谷高原スキー場