Mercedes‑AMG CLE 646 Spezialanfertigung
「特別製作」を意味する「シュペツィアルアンフェルティグング」

ドイツ語で「特別製作」を意味する「Spezialanfertigung」と命名された「メルセデス AMG CLE 646 シュペツィアルアンフェルティグング」は、ひとつの明確な目的「ドライビングダイナミクス」の追求を掲げて開発されたという。公道走行が可能なハイパフォーマンスクーペは、ワインディングロードやレーシングサーキットにおいて、妥協を排した究極のドライビングエクスペリエンスを提供すると謳う。
最高出力646PSを発揮する4.0リッターV型8気筒ビターボエンジンに後輪駆動を組み合わせ、大幅な軽量化を施すとともに、専用のシャシーセッティングを採用。トレッドを拡大したワイドボディ、贅沢に奢られたカーボンファイバー製コンポーネント、専用開発されたエアロダイナミクスによって、スーパースポーツをも凌駕するパフォーマンスを手にした。
メルセデス AMG CLE 646 シュペツィアルアンフェルティグングは、ドイツ・アファルターバッハにあるAMG本社において、「メルセデス AMG CLE 53」をベースに、最高レベルのマニュファクチャリング品質に基づいて30台を限定製造される。メルセデス AMGのステファン・ヴェックバッハCEOは、次のようにコメントした。
「私にとって、メルセデス AMG CLE 646 シュペツィアルアンフェルティグングは、AMGの本質そのものを体現したモデルです。このクルマが誕生したのは、極めて合理的なエンジニアたちが、極めて非合理的なクルマを夢見たからです。私たちはその夢を、究極のドライビングダイナミクスとドライビングエクスペリエンスという形で現実化しました」
開発の使命は「ドライビングダイナミクス」

メルセデス AMG CLE 646 シュペツィアルアンフェルティグングの開発は、シンプルな問いから始まった。
「CLEをドライビングダイナミクスを最大限追求する方向へ、さらに進化させるにはどうすればいいのか?」
このモデルは従来型の製品開発計画から生まれたものではない。アファルターバッハのAMG開発チーム内で生まれたひとつのアイデアが出発点となった。当初は少人数チームが、まずプロトタイプの製作に着手。このクルマそのものを、ひとつの総合的なパフォーマンスシステムとして再構築することがターゲットに掲げられたという。
ベースモデルは現行型「メルセデス AMG CLE 53」で、AMGのエンジニアが、出力を高めたパワートレイン、専用チューニングを施したシャシー、徹底した軽量化、エアロダイナミクスのアップデートを組み合わせ、唯一無二のスペシャルモデルを完成させたという。
車両重量は約170kgも軽量化されながら、ボディシェルにも大幅な改造が施された。その結果として誕生したのが、アファルターバッハの品質基準に基づいて全面的に再構築されており、これこそが「特別製作(Spezialanfertigung)」というモデル名称を表していると言えるだろう。
646PSを発揮する4.0リッターV8ビターボ

その心臓部には、大幅な改良が施されたAMG製4.0リッターV型8気筒「M177 EVO」ビターボエンジンを搭載。最高出力は646PS(475kW)に達し、この象徴的な数字が車名にも採り入れられた。最大トルクは850Nm、2500~4500rpmという広い回転域で発生するという。
エンジンに採用されたフラットプレーンクランクシャフトによって、回転系の質量を低減するとともに、非常に鋭いスロットルレスポンスを実現した。専用のエンジンマッピングも、こうした特性をさらに引き出している。
極限状態で高い負荷がかかった場合でも安定した冷却性能を確保するため、V8エンジンに3基の独立した冷却回路を導入。ひとつはエンジン本体用の高温側冷却回路、残る2つは低温側冷却回路となっており、チャージエアとトランスミッションオイル、さらに48Vマイルドハイブリッド・コンポーネントを冷却する。
大排気量V8エンジンならではの特徴的なサウンドは、専用設計の高性能エキゾーストシステムによってさらに強調。排気流量を高めるとともに、感情に強く訴えかけるサウンドを実現するようチューニングされた。エキゾーストシステムはアクラポヴィッチ社と共同開発されており、チタンを広範囲に使用することで軽量化にも貢献する。
駆動方式をAWDからRWDに変更

今回、ベースの「メルセデス AMG CLE 53」に搭載されていた「AMG Performance 4MATIC+」システムは完全に取り外され、その強大なパワーをリヤアクスルのみに伝達する後輪駆動に変更された。後輪駆動化よって車両重量を軽減するのと同時に、走行特性そのものを根本的に変化させている。
電子制御式LSDは、必要に応じてロック率を可変制御。左右のリヤホイール間のトルク配分を最適化することで、トラクション性能、走行安定性、そして車両全体のダイナミクスを向上させた。また、適切な走行条件下ではコントロールされたドリフト走行を行うことも可能だ。
標準装備される「AMGスピードシフト TCT 9Gトランスミッション」は、ダイナミックな変速特性と、感情に訴えかけるダブルクラッチ機能によって、パフォーマンスを重視するドライバーを魅了する。選択したドライブプログラムに応じて、スポーティで素早いシフトチェンジから、変速ショックを感じさせないシフトチェンジまで、幅広い変速特性から選ぶことができる。
ローンチコントロールシステムも、後輪駆動レイアウトに合わせて専用に最適化。0-100km/h加速は3.9秒、0-200km/h加速は11.4秒、最高速度は310km/hに達すると謳う。
専用スチール製コイルオーバーサスペンション

専用チューンが施されたスチール製コイルオーバーサスペンションシステムは、AMGとサスペンションメーカー「KW」社が共同開発。あらゆるドライビングスタイルやサーキットの特性、そして想定される用途に合わせて、極めて精密なセッティングを行うことが可能となっている。
このサスペンションの中核を成すのが、4ウェイ調整式ダンパーテクノロジー。低速域と高速域の伸び側(リバウンド)および縮み側(コンプレッション)を、それぞれ独立して調整することができる。これにより、幅広い走行条件に合わせてシャシーを正確にセッティングすることが可能になった。
低速域の設定では、パフォーマンスを重視したセッティングにより、極めて鋭いハンドリング、ドライバーへの豊かなフィードバック、そして優れた車両安定性を実現。一方、高速域では、路面の凹凸、縁石、路面の不規則な形状などにより挙動が乱れた際にも、高い応答性と安定性を両立させた。また、車高もパフォーマンスを重視して最適化されており、フロントアクスルが22mm、リヤアクスルが16mmローダウンされている。
「AMGセラミック・ハイパフォーマンス・コンポジット・ブレーキシステム」は、極めて高い負荷を想定して設計。サーキットでの激しい走行時にも、一貫して高い制動性能を発揮する。専用に開発されたブレーキ冷却システムは、フロントバンパーに設けられた大型エアインテークと、専用のエアフローガイドによって、放熱性能を大幅に向上させた。
従来型のブレーキシステムと比較して、重量とバネ下重量を低減。その効果はドライビングダイナミクスとターンイン時の応答性に直接的に現れる。さらに、ゴールドにペイントされたブレーキキャリパーが、専用設計をアピールする。
60mmもワイド化されたボディシェル

ボディワークは、最大限のドライビングダイナミクスとパフォーマンスを実現することを目的に、全面的に刷新。大幅な改修が施されたボディシェルは、ボディ剛性を高めるとともに、優れたパフォーマンスの基盤となっている。今回、数多くのコンポーネントが、過酷な走行を想定して専用開発されたパーツへと置き換えられた。
このコンセプトの重要な要素となるのが、大胆に拡幅化されたワイドボディ。ボディシェルを補強するとともに、全幅はフロント、リヤともに60mm拡大された。拡大されたトレッドによって安定性が高まり、コーナリング性能が向上、さらにワイドタイヤの装着も可能となった。
カーボンファイバー製コンポーネントは、エアアウトレットを一体化したフロントフェンダー、大型の冷却用エアインテークを備えるフロントエプロン、サイドシルパネル、センター部に冷却エアインテークを設けたボンネット、ルーフ、そしてディフューザーを備えたリヤエプロンに導入された。さらに、補強されたトランクリッドと、2本の台形形状のステーに取り付けられた手動調整式リヤウイングもカーボン製となる。
サイドウインドウとリヤウインドウにはポリカーボネートを採用し、さらに軽量な12Vスターターバッテリーを使用することで、車両全体を軽量化。さらに、専用のボディカラーが、このモデルの力強い存在感をいっそう際立たせる。フロントセクションは「モハベシルバー・マグノ」を採用し、Bピラーから後方のボディは「オブシディアンブラック・マグノへとグラデーションする。
コクピットでも軽量化を徹底的に追求

コクピットも軽量化とドライビングダイナミクスを徹底的に追求。リヤシートと遮音材を取り外し、快適装備を削減するとともに、オーディオシステムも簡素化することで軽量化を図った。複数のドライブモードと運転支援システムを廃止され、ステアリングホイールのスイッチ類も削減されている。
高いサイドサポートを備えた超軽量高性能レーシングバケットシートを標準装備。ねじり剛性を高め、走行ダイナミクスをいっそう向上させるロールケージも組み込まれた。軽量なカーボンファイバー製ドアパネルは、軽量化に貢献。オプションの「パフォーマンスパッケージ」を選ぶことで、シートに6点式ハーネスを装備することもできる。各車両は、メルセデス AMG CLE 53のプラットフォームをベースに、アファルターバッハでハンドメイドで製造される。世界限定30台は、発表の段階で全てソールドアウトしたという。
SPECIFICATIONS
メルセデス AMG CLE 646 シュペツィアルアンフェルティグング
ボディサイズ:全長4949mm×全幅1987mm×全高1420mm
ホイールベース:2875mm
車両重量:1895kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ+ISG
総排気量:3982cc
最高出力:646PS/6000〜6250rpm
最大トルク:850Nm/2500〜4500rpm
トランスミッション:9速AMGスピードシフト
駆動方式: RWD
タイヤサイズ:305/30ZR20(前)、335/30ZR20(後)
最高速度:310km/h
0-100km/h加速:3.9秒
0-200km/h加速:11.4秒
「CLE 646 シュペツィアルアンフェルティグング」を動画でチェック!
