リヤは後輪駆動のレイアウトを示すように幅広く、厚みのある造形に
ルノーはこの5年ほど、過去の代表的なモデルをワンオフで蘇らせる取り組みを続けている。オラ・イトとの協業による「R17エレクトリック レストモッド」、ピエール・ゴナロンと制作したアートカー「ルノー5 ディアマン」に続く今回のモデルが、「ルノー8ゴルディーニ コンセプト」だ。

オリジナルのルノー8ゴルディーニは、リヤエンジンのセダンであるルノー8をベースに″チューニングの魔術師”と言われたアメデ・ゴルディーニが手掛けたホットモデルだ。もともとは50ps程度だった最高出力は95psまで高められ、ラリーやツーリングカーレースで活躍。2本の白いストライプがその高性能ぶりを誇示していた。

R17がオラ・イトとルノーデザインの協業だったのに対し、8ゴルディーニ コンセプトはルノーのデザインチームのみで手掛けた。プロジェクトはルノーデザイン社内のコンペから始まり、デザイナーから自発的に300を超えるスケッチが寄せられた。そのなかから2案を選んで2/5スケールのモデルを製作し、両案を比較したうえで、それぞれの長所を組み合わせた最終案をまとめたという。
ボディサイズは全長4.12m、全幅1.88m、全高1.27m。ホイールはフロント19インチ、リヤ20インチの前後異径で、4ドアセダンだったオリジナルに対し、2ドアクーペとなった。フロントはV字形の造形で強調したノーズと6灯の丸型ヘッドランプで構成し、リヤは後輪駆動のレイアウトを示すように幅広く、厚みのある造形とした。リヤエンドにはオリジナルにはなかった傾斜をつけている。パワートレインは最高出力270psのモーターだ。


ルノーのデザイン担当バイスプレジデントであるアレクサンドル・マルヴァル氏は、次のように語る。「オリジナルのルノー8は前後がほぼ対称という特徴的なスタイルでしたが、これをよりダイナミックな姿に更新しました。流れるようなキャビンのライン、ワイドなトレッド、張り出したフェンダー、そしてフロント19インチ、リヤ20インチのホイールにより、路面に張りつくような佇まいになっています。リヤのホイールを大きくしたことで、視覚的な勢いが生まれます。これは、オリジナルの運転する楽しさを支えたリヤのレイアウトへのオマージュです」
ボディカラーは、オリジナルの象徴色「ブルー・ド・フランス」から着想を得た。真珠層を思わせる層と青みを帯びたバインダーを組み合わせた3層構造で、光が当たるとエッジ部分に往年の青がのぞくという。

「カフェレーサー」のコンセプトに基づき、要素を削ぎ落とす
デザインの考え方として、ルノーはカスタムバイクの「カフェレーサー」を挙げる。バイクから不要な要素を取り除き、素材や機械部品の美しさを引き出す手法である。
8ゴルディーニ コンセプトでは、オリジナルに由来するディテールについても不要なものは取り除かれた。かつてのクロームのサイドモールはボディに一体化され、キャラクターラインとして面に張りを与えている。分割線も減らし、フロントにはボンネットの見切り線がない。ボンネットはレーシングカーのように一体で取り外せるという。

オリジナルからの引用は随所にある。グリルをもたないフロントは面取りしたノーズで空気を切り裂く。6灯の丸型ライトは、オリジナルのラリー仕様と同じ配置でボディに組み込まれた。
ウエストラインに沿った凹みはオリジナルから受け継いだ特徴だが、新たなエアベントへ空気を導く機能をもたせている。四角いホイールアーチ、貝殻形のドアミラー、フロントウインドウ下の全幅にわたるグリル、リヤのベンチレーショングリルも継承した。




象徴的なダブルストライプは、デザインの基準線に
ルノー8ゴルディーニ コンセプトにおけるダブルストライプは、単なる装飾ではなくデザインの基準線としても使われている。フロントウインドウ下のグリルや、リヤランプ内部の発光グラフィックは、ストライプの位置に揃えて配置された。ストライプは室内にも続き、ダッシュボード上面を横切る部分では白から青へと色を変える。
エクステリアデザイナーのケヴィン・ゴンサルヴェス氏は「(ダブルストライプは)表面に貼った装飾の帯ではなく、デザインを統合する構造的な要素です」と述べている。


ブラッシュドアルミとアルカンターラで彩られた室内空間
インテリアも、オリジナルのダッシュボードを再解釈したデザインだ。ルノーのインテリアデザインディレクターであるステファン・マイオーレ氏は、次のように語る。
「オリジナルのルノー8のダッシュボードから着想を得て、その象徴的な要素を現代的に再解釈しました。丸いメーターを収めていた伝統的な金属パネルを水平に配置し直し、整然と並んだ丸いスクリーンを支え、見せる構成としています」

カフェレーサーのコンセプトに沿って、樹脂素材はブラッシュドアルミに置き換えられ、アルカンターラ張りの部分とのコントラストを際立たせている。車幅いっぱいにバイザーをオリジナルから継承しながら、ダッシュボード本体を水平なバーとして、その上に丸型のメーターディスプレイを並べた。その太いベゼルはヘッドランプの立体的な造形と呼応したものだ。
ドアパネルのステッチはサーキットの縁石を想起させるデザインを採用。バケットシートは座面と背もたれの中央を青いコーデュロイとして、ヘッドレストのないフラットなオリジナルのシートを引用した。




ルノー8ゴルディーニ コンセプトは、9月24日にイベント「Renault Carwalk」で披露された後、10月12日から18日まで開催されるパリモーターショーのルノーブースに展示される予定だ。その後は、フランス・フランに開館予定の「Renault Collections」ミュージアムに収蔵されることとなっている。


