カブに23インチ! 巨大フロントホイールが主役

巨大なフロントホイールに対し、ボディ周りは極力シンプルに構成。パープルとブラックを基調にまとめることで、独特のプロポーションをより強調している。

このスーパーカブ90をひと目見て、真っ先に視線を奪われるのが巨大なフロントホイールだ。カブの大径化では18インチ仕様を見かけることもあるが、この車両が履くのはなんと23インチ。2022年の取材当時、取材班にとっても初めて目にするサイズだった。

エルシノア用23インチリムとカブのハブを組み合わせたフロントホイール。ボトムリンクのアームを延長してアクスル位置を前方へ移し、サポートアームを追加してリジット化。大径タイヤとのクリアランスをギリギリまで詰めている。

使用したのは125ccのビンテージモトクロッサー、ホンダ・エルシノアのノーマルリム。これをカブのハブと組み合わせている。ノーマルの17インチから一気に23インチへ拡大するだけに、当然ながらそのまま装着できるはずもない。フロントフォークをワイド化し、さらにボトムリンクのアームを延長。アクスルシャフトの位置を前方へ移動させることで、大径タイヤを収めるためのクリアランスを確保している。

巨大なタイヤに対して車体側は極めてシンプル。一般的な位置にヘッドライトを置かず、フォーク横へ汎用フォグランプを配置したことで、ハンドル周りもスッキリと見せている。この引き算によって23インチの存在感がさらに際立ち、デフォルメされたホットウィールのような独特のプロポーションが完成した。

リジット化まで敢行! 乗り心地よりスタイルを優先

23インチ化に合わせて、フロント周りには大胆な加工が施されている。延長されたボトムリンクのアームは必要な剛性も考慮してプロに製作を依頼。さらにサポートアームを追加してフロントショックをリジット化し、タイヤとのクリアランスをギリギリまで詰めている。

リヤも強化タイプのショックを使用し、ストローク量はわずか。つまりこの車両は、快適性よりも狙ったフォルムを作ることを優先したカスタムだ。極端な大径フロントホイールを単に装着するだけではなく、車高や前後のバランスまで含めてひとつのスタイルとして成立させている。

ボディカラーは鮮烈なパープルでまとめながら、レッグシールドやサイドカバーにはブラックを配置。リヤ周りには超小型のケラーマン製テール兼ウインカーを使い、灯火類の存在感を抑えている。大径ホイールという強烈な飛び道具を持ちながら、余計なパーツを増やさずシンプルにまとめているところが、この車両の巧さだ。

105ccエンジンに逆振りマフラー! 中身にも遊び心満載

個性的なのはスタイリングだけではない。エンジンはSP武川製キットによって105cc化され、ヨシムラ製TMR-MJNキャブレターを組み合わせる。メインキーも車体側から移設されるなど、細部まで手が加えられている。

マフラーは「目立たせたくない」という考えから、腹下で折り返す独特のレイアウトを採用。サーモバンテージを巻いて存在感を抑えつつ、通常とは逆の左サイドから排気する。巨大なフロントホイールとは対照的に、マフラーはあえて主張させないというメリハリも面白い。

さらに左右のサイドカバーにはBluetoothスピーカーを埋め込み、音楽を楽しめるギミックまで投入。見た目だけに終わらず、オーナーならではの遊び心もしっかり盛り込まれている。その個性は『奈良カブミーティング』でも高く評価され、カスタムアワードを獲得。23インチという大胆なアイデアを、単なる奇抜さで終わらせず1台のカスタムとしてまとめ上げた注目作だ。

ディテールチェック

ヘッドライトの代わりに、フロントフォーク横へ汎用フォグランプをセット。ハンドル周りから大きな灯火類をなくすことで、23インチホイールの存在感を際立たせる。

撮影したのはこのEVENT!

「奈良カブミーティングVol.11」
■日時:2021年11月14日(日)
■開催地:唐子・鑓遺跡史跡公園(奈良県)

こちらの車両は日本一参加者が集うカブイベント「奈良カブミーティング」で撮影されたもの。詳細はこちらのSNS(奈良カブ)をチェック!


【モトチャンプ】