新デザイン言語「ピュア・ポジティブ」により、引き締まった面と精度の高いラインで構成されたエクステリア
フォルクスワーゲン(VW)は2026年10月9日、ID.4とID.5の後継となる電動SUV「ID.ティグアン(ID. Tiguan)」を発表した。2027年初頭に欧州で発売し、ガソリン、ディーゼル、ハイブリッドを搭載する現行ティグアンと併売する。


ID.4/ID.5からの最も大きな変化はデザインだ。車名をティグアンに改めると同時に、丸みを帯びたクロスオーバー的フォルムを捨て、よりSUVらしい力強いスタイルへの転換を果たしている。
ボディサイズは全長4618mm、全幅1855mm、全高1619mm、ホイールベース2765mm。フロントオーバーハングは872mm、リヤオーバーハングは981mmで、ホイールは最大21インチとなる。
ID.4(日本仕様)と比べると、全長は33mm長く、全幅は5mm広く、全高は21mm低い。ホイールベースは5mm短くなった。

エクステリアには、VWの新しいデザイン言語「ピュア・ポジティブ(Pure Positive)」を取り入れた。精度の高いラインと引き締まった面構成によって、安定感と質感を高めている。VWは、プレミアムセグメントのクルマのような見た目に仕上げたと説明している。
フロントは、左右の薄いヘッドライトを細いライトのラインでつなぎ、その中央にVWエンブレムを置く。バンパー下部には水平基調の開口部を設け、両端には縦長の開口を配した。

サイドは、ホイールアーチからサイドシルまでを黒い樹脂パーツで囲み、ドア下部にも黒い帯を通して、ボディの厚みを抑えて見せている。ドアハンドルは、ID.4/ID.5のものから、クラシックな引き手式に戻った。
リヤも、水平に延びるランプで左右のテールランプをつなぎ、フロントと共通の構成とした。水平に伸びる4本の赤いラインも特徴的だ。

素材の質感を大きく高め、ダッシュボードに3枚のディスプレイを水平に並べたインテリア
インテリアは素材の質感を大きく高め、照明や配色と合わせて、より上級のセグメントに近い雰囲気に仕上げたという。
ダッシュボードには、10インチ(25.4cm)のドライバー用デジタルコクピット、15インチ(38.1cm)のセンターインフォテインメントディスプレイ、オプションの12インチ(30.5cm)助手席ディスプレイが並ぶ。


写真を見ると、センターディスプレイはダッシュボードから独立して浮いたように配置され、助手席ディスプレイはダッシュボードの横長のパネルに収められているのがわかる。その下を横切るトリムには間接照明が入っているようだ。
助手席ディスプレイは欧州向けのVW車として初めての装備で、運転席からは画面が見えないプライバシーモードを備える。
物理ボタンを復活させ、機能を直感的に見つけられる位置に配置
操作系では、主要な機能を再び物理ボタンで操作できるようにした点が注目だ。
エアコンの基本操作はセンターディスプレイ下のボタンバーで、音量調整や選曲・選局はセンターコンソールのコントローラーで行なう。ステアリングホイールのスイッチも、タッチ式から物理ボタンに変わった。
また、運転席ドアのパワーウインドウスイッチも新しくなった。ID.4など最近のVWのEVでは、運転席側のスイッチがふたつしかなく、リヤウインドウを操作するときは「REAR」ボタンを押して切り替える必要があり、これがちょっと面倒だった。ID.ティグアンは4枚の窓用の操作パネルを新設計と、4枚それぞれのスイッチが並んでいる。
先進性を追い求めてやや利便性が犠牲になっていた部分を見直し、ユーザビリティの向上に目が向けられている点は、日々生活をともにするユーザーにとってはうれしい進化と言えるだろう。


ゴルフIVのメーターを再現する「レトロ」表示を新たに開発
新たに開発されたのが、メーターの「レトロ」表示だ。ステアリングホイールの「View」ボタンで切り替えると、デジタルコクピットには青い照明と赤い指針が懐かしいゴルフIVのメーターが現れる。左側が速度計、右側はタコメーターを模したデザインだが、EVなのでエンジン回転数ではなく、モーターの出力を示すパワーメーターとして用いられる。
センターディスプレイにもレトロ表示があり、ゴルフI、ゴルフIIカントリー、ゴルフIV、初代ティグアン、レース・トゥアレグ、ビートルの6モデルから好みのクルマを選んで表示できるのがユニークだ。

パワートレインは、後輪駆動の140kW(190PS、バッテリー容量58kWh)と210kW(286PS、77kWh)、四輪駆動(4MOTION)の220kW(299PS、77kWh)の3種類。WLTPモードの航続距離は最長600kmとなる。荷室容量は最大534Lで、フロントには32Lのフランク(フロントトランク)を備える。
ドイツなど欧州各国では10月13日に先行受注が始まることとなっている。





