BMW M2

セグメントで唯一無二の存在感

内外装やパワーユニットをアップデートした新型「BMW M2」のインテリア。
M2は、コンパクトなボディにパワフルな3.0リッター直列6気筒ターボエンジンを搭載。オプションで6速マニュアルミッションも用意されており、セグメントで唯一無二の個性を放っている。

新型「BMW M2」は、純粋なドライビングプレジャーを追求し、コンパクトハイパフォーマンスモデルとして長足の進化を遂げた。コンパクトなボディサイズに搭載された3.0リッター直列6気筒Mツインパワー・ターボエンジン、オプションの6速MT、サーキットと日常域におけるドライビングプレジャーを両立したシャシーなど、セグメントにおける唯一無二の個性は今回の新型でも健在だ。

M2改良新型は、BMWグループのメキシコ「サン・ルイス・ポトシ」工場において、改良新型「2シリーズ クーペ」とともに生産される。2024年8月から段階的にニューモデルへと切り替わり、世界市場へと投入される予定だ。先代モデルは40%以上がヨーロッパにデリバリーされており、単一の最多販売市場は米国となっている。これにドイツ、中国、英国、日本が続く。

大幅に強化された3.0リッター直6ターボエンジン

内外装やパワーユニットをアップデートした新型「BMW M2」の走行シーン。
心臓部に搭載される3.0リッター直列6気筒Mツインパワー・ターボエンジンは、M3 GT3やM4 GT4の技術が積極的に導入され、20PSパワーアップした最高出力486PSを発揮。レスポンスや加速性能も強化されている。

M2に搭載されるる3.0リッター直列6気筒Mツインパワー・ターボエンジンは、20PSのパワーアップを果たし、最高出力は486PS。標準装備されるドライブロジック付き8速Mステップトロニック・トランスミッション(AT)仕様の最大トルクは600Nm、オプションの6速MTは最大トルク550Nmとなる。今回、リニアなパワーデリバリーが強化されており、最大トルクは2650~6130rpmという幅広い回転域で発揮される。

M4 GT3やM4 GT4に搭載されているレーシングエンジンからの技術がフィードバックされており、2基のモノスクロール・ターボチャージャー、インダイレクト・インタークーラー、電子制御式ウエイストゲートに加え、高精度インジェクション、可変バルブタイミング「バルブトロニック」、完全可変カムシャフトタイミングにも改良が施された。

Mセットアップ・メニューで選択可能なすべてのドライブモードにおいて、アクセルマッピングを変更したことで、レスポンスが大幅に進化。この結果、標準の8速AT、オプションの6速MT、どちらを選んだ場合でもドライバーの加速要求に対する反応スピードが明らかに速くなったという。

Mモデル専用冷却システムを搭載し、高負荷時でもパワートレインコンポーネントは最適な作動温度を維持。オイルもまた厳しい走行状況に対応するよう設計されており、マップ制御を組み合わせたオイルポンプにより、縦方向や横方向の急激な動きに対しても、確実なオイル供給が保証されている。

0-100km加速は、8速AT仕様が0.1秒短縮した4.0秒、6速MT仕様が4.2秒。0-200 km/h加速は、どちらの仕様も0.6秒短縮した、12.9秒(8速AT)、13.7秒(6速MT)というスペックを実現した。最高速度は250km/hに制限されるが、オプションの「Mドライバーズ・パッケージ」を装着すると285km/hにまで引き上げることができる。

空力とクーリングを最適化したエクステリア

内外装やパワーユニットをアップデートした新型「BMW M2」のエクステリア。
走行性能を重視のエクステリアは、エンジンやブレーキのクーリングに加えて、エアロダイナミクスを最適化。ヘッドライトのデザインは、BMW 2002をオマージュしている。また、オプションとしてカーボンルーフも用意された。

エクステリアは、力強く彫りの深いサーフェイスと筋肉質なプロポーションが、パフォーマンスモデルであることをアピール。ワイド形状のBMWキドニーグリルと、3分割されたロワーエアインテークにより、エンジンとブレーキのクーリング性能が大幅に向上した。

M2専用デザインのLEDヘッドライトは、「BMW 2002」をオマージュし、ロービームとハイビーム用として円形ヘッドライトを1基ずつ備える。ヘッドライト下端のU字型ライトガイドは、デイタイムドライビングライトとウインカーとして機能。オプションとして、BMWセレクティブ・ビーム・ノンダズリング・ハイビーム・アシスタント付「アダプティブLEDヘッドライト」、ダークインレイ付「Mライト・シャドーライン」も用意されている。

リヤセクションには、レーシーでマッシブなディフューザーを装着。左右2対のテールパイプが配置されたエキゾーストシステムも、GTレーシングカーを思わせる要素だ。今回、ツインテールパイプ・トリムはブラック仕上げがチョイスされた。トランクリッドとラジエーターグリルには、ブラックにシルバーの縁取りを加えた「M2」レタリングが装着される。

低重心化を求めるカスタマーには、「Mカーボンルーフ」を装着することも可能。このレーシーなルーフオプションにより、車重を約6kgも軽量化することができる。

新形状のステアリングホイールを導入

内外装やパワーユニットをアップデートした新型「BMW M2」のインテリア。
コクピットには、リム形状のデザインを変更した「Mレザー・ステアリングホイール」を標準で装着。オプションでアルカンターラ製に変更することも可能だ。

コクピットには、新デザインのステアリングホイールが導入された。標準装備の「Mレザー・ステアリングホイール」は、フラットボトム形状と改良されたスポークを採用。12時位置にはレッドのセンターマーカー、8速AT用シフトパドル、車両設定を変更可能な2基の「Mボタン」がレイアウトされる。また、同じデザインのアルカンターラ製ステアリングホイールもオプションで用意。どちらのステアリングホイールにも、ヒーター機能を追加することができる。

オプションのヴェルナスカレザー製「Mスポーツシート」に、今回からレッド/ブラックのバイカラー仕様を追加。M2専用に軽量化された「Mカーボンバケットシート」は、「Mレーストラックパッケージ」との組み合わせだけでなく、個別装着ができるようになった。このレーシーなバケットシートは、メリノレザーのサーフェイス、電動調整機能、取り外し可能なヘッドレスト、マルチポイントハーネスを備えている。

BMWカーブドディスプレイは、12.3インチインフォメーションディスプレイと14.9インチコントロールディスプレイで構成。インフォテイメントシステム「BMW iDrive」は、最新の「BMWオペレーティング・システム8.5」にアップデートされている。

今回の改良から、温度・換気設定、シートヒーター、ステアリング・ヒーターの操作は、コントロールディスプレイ下部のメニューオプションを使用してタッチ操作するか、BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントの音声コマンドで操作ができるようになった。

デジタル化が進められたことで、コックピット内の物理スイッチやコントローラー数がさらに削減され、インストルメントパネルのデザインも一新。インストルメントパネルのセンター部、ドライバーズシートとパッセンジャーシート前方に配置されたエアベントグリルには、新デザインのコントローラーが導入されている。

BMW M2改良新型を動画でチェック!

今回は新型M2の6速MTモデルと8速ATモデルの同時に試乗した。

「8速ATと6速MTどっちがいいの?」新型「BMW M2」を比較試乗してわかった根本的な立ち位置

BMWが誇る後輪駆動のコンパクトスポーツ「M2」が新型へスイッチした。いかにもエンスージアスト好みのサイズに460PSを発揮する3.0リッター直6ターボを搭載。大柄のスーパースポーツ全盛の今、M2の存在はすこぶる貴重なものとなるだろう。(GENROQ 2023年8月号より転載・再構成)