ヨーコとアイリのふたりが荒廃した世界をバイクで旅する
『終末ツーリング』はアニメもマンガも大ヒット!

2025年10月4日~12月20日にかけてオンエアされた『終末ツーリング』はヨーコとアイリのふたりの少女が荒廃した世界をオフロードバイク・セロー225Wで旅をするTVアニメで、アニメファンだけでなくライダーからも注目され、話題となった。

アニメ化にあたってストーリーは原作マンガを軸に制作されているが、フルカラーで絵が動き、キャラクターがしゃべることのインパクトは想像以上に大きかった。ヨーコ役の稲垣好さん、アイリ役の富田美憂さんの声は違和感なくイメージ通りだったし、Conton CandyによるOP曲の『Touring』、MyukによるED曲の『グライド』のテーマソングもじつに素晴らしかった。

アニメ版『終末ツーリング』は、コミックス4巻に収録された第24話「ビーナスライン」までを描いたところでひとまず幕を下ろしたが、作品のクオリティの高さもあって、オンエア中は新エピソードが公開されるとともに大きな反響を呼び、ネット上は作品の好意的な感想であふれかえった。大好評のうちに全12話の放送を終了した同作は、昨年12月からBlu-ray/DVDのリリースが始まった。すでに店頭に並んでいる『終末ツーリング1 (完全生産限定版)』の販売は好調なようで、現在、全4巻が好評発売中だ。


映像作品の今後の展開は未定だが、「電撃マオウ」(KADOKAWA)で連載中の原作マンガは、昨年10月にコミックス最新刊の第8巻が発売され、こちらも好調な売れ行きを記録している。2020年9月から始まったヨーコとアイリの旅は関東から東北を抜け、北海道へ上陸。2020年9月に第1話「箱根」から始まったヨーコとアイリの旅は、関東から東北を抜け、北海道へ上陸した。2026年3月27日現在の最新エピソードは第56話「昭和新山③」だ。『終末ツーリング』の最新作は「カドコミ」(https://comic-walker.com/detail/KC_003302_S)や「ニコニコ静画」(https://manga.nicovideo.jp/comic/49890)で読むことができる。
アニメの放送終了を記念して前回から始まった原作者・さいとー栄先生へのインタビュー第2回目は、原作マンガ執筆の経緯を中心に話を聞くことにした。
異世界ファンタジー全盛の昨今にあって異色のバイク×SF
ポストアポカリプス作品では珍しい少女ふたりの日常もの


「じつは昔からバイクが好きで、仕事の合間にツーリングや草レース、古いバイクのレストアを楽しんでいました。そうしたことからデビュー作の読み切り作品はバイクが題材でした。その後はしばらくバイクものからは離れていたんですが、2020年からスタートした『終末ツーリング』の連載開始で当初の夢が叶いました」
そのように笑顔で語るさいとー先生。この作品は崩壊後の世界をバイクで旅するふたりの少女のバイク旅行記である。すなわち、SFのジャンルのひとつであるポストアポカリプス(世界の終末後)作品だ。しかし、当初は今とは微妙に異なる作品になる可能性もあったという。
「現在、マンガやアニメ、ラノベなどの創作物はSFよりも異世界ファンタジーが人気です。この企画を当時付き合いのあった何社かに持ち込んだところ編集者からは『SFはウケが悪いんだよね。流行の異世界ファンタジーなら……』と反応は芳しいものではありませんでした。諦めかけていたところ、電撃マオウの担当さんが『ぜひウチでやりましょう!』と言ってくれたので実現に至りました。ですが、コミックス第7巻の巻末で触れていますが、初期案では『終末はツーリングに行こう!』というタイトルで、今より設定はもう少し異世界っぽく、人類も存在する世界が舞台です。そして、主人公のふたりは賞金稼ぎでした……。ただ、担当編集や周りの反響は微妙で、最終的に今のカタチとなりました。当時描いたネームを今見返してみると不思議ですね(笑)」。


コミックス第7巻で紹介されている『終末はツーリングに行こう!』のネームを見ると、恐竜(怪獣? 巨大トカゲ?)のようなものを捕獲する賞金稼ぎと思しき少女ふたりが描かれている。第2話「横浜・横須賀」に登場する巨大なホホジロザメやシャチはその設定の名残とも考えられる。
「その頃からポストアポカリプス作品でありながら作風は明るく、主人公の少女ふたりののんびりしたバイク旅の日常をテーマにすることを考えていました。『マッドマックス』や『北斗の拳』などの終末後のバイオレンスアクションも一ファンとして大好きなのですが、あのような世界に自分が行きたいかと尋ねられれば、ボクは生き残る自信がないなあと思ったりして……(笑)。破滅後の世界を描くにあたって、ヨーコとアイリが苦労はあっても楽しそうに生きている姿を通じて『未来は悲惨だからこんな世界には行きたくない』と思われるよりも『不便だけど楽しそう、面白そう』という気持ちになってもらえる世界を描きたいと思って執筆を始めました。
子どもの頃からのSF愛好家のさいとー栄先生
作品には過去に好きだった作品のオマージュが散りばめられている

さいとー先生も語っているとおり、異世界ファンタジーが人気の昨今、SF×バイクの異色の組み合わせの作品は珍しい。しかも、それがアニメ化するほどの人気作となっているのだから最近のマンガ界では稀有なことである。そのような『終末ツーリング』のアイデアはどのようにして生まれたのだろうか? また、この作品を描くにあたっては、海面上昇などの環境シミュレーションのような、バイクだけに限らず特殊な知識が必要となるはずだ。さいとー先生はかなりの読書家と見たが……。
「そんなことはありませんよ(笑)。たしかに本は好きなのですが、最近は仕事が忙しくて読書の時間がなかなか取れないのが実情です。近未来の世界が物語の舞台なので、温暖化による海面上昇も進んでいるものとして作品に反映させましたが、どの地域が水没し、どの地域の陸地が残るかについては、緻密なシミュレーションを公開しているサイトがあるので執筆にあたり参考にしています」。

直接、影響を受けた作品はあるのだろうか?
「『終末ツーリング』がこれに影響を受けて、というハッキリしたものは特にないんですが、ボクは子どもの頃からSFが大好きで、映画やアニメ、マンガ、小説といった数多くのSF作品に親しんできました。そうしたわけでボク自身が過去に見た様々な作品に影響を受けていると思います。時々オマージュとして作品内に落とし込んでいることもあるんですが……。例えば、第22話『吉見百穴 後編』(コミックス第4巻収録)では『未知との遭遇』とか、これらはお遊びとして入っているだけなので、本編にはあまり関係がない描写で気づく人だけ気がつけばいいというスタンスです」。

セロー225Wで終末世界を旅する『終末ツーリング』|作者に聞いたアニメ化の裏側終末ツーリング 01 | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム
