
トレディアである。長年、旧車を取材し続けてきたが近年になってトレディアを見かけたことはなかったし、イベントに参加している姿を見たこともなかった。それだけに第2回水戸クラシックカーフェスティバルの会場に並んでいる姿を見たときは腰が抜けそうになった。こんな機会を逃したら二度とトレディアを取材することはないだろうと、しばらくクルマの前に立ってオーナーらしき人物を探すことにした。

トレディアは1982年2月に発売された新車種で、ミラージュより上級モデルとしての性格が与えられた。同時に3ドアクーペのコルディアが兄弟車として発売されている。どちらにもターボモデルが設定されていて話題になったもの。ともにミラージュをベースにしていたが、ランサーEXと立場が被る存在でもあった。ランサーEXと違うのは駆動方式がFFだったこと。そのため当時はトレディアがランサーに代わる存在になるかと思われた。

ところが販売成績は振るわず、1987年に生産を終了するとトレディア/コルディアの名前は継承されず1台限りの存在となってしまうのだ。そのため現役当時からトレディア/コルディアを見かけることは少なく、生産終了から10年20年と経つうちにその姿を見ることはすっかりなくなった。残っている個体があればぜひ取材してみたいと思っていた1台でもあるから、まさに千載一遇のチャンスなのだった。

トレディアのオーナーは49歳の大沢さん。この年代のクルマが大好きだそうで、他にもレックス550スウィングバックを所有されている。レックスのスウィングバックも超絶的にレアな存在だから、この年代のレア車マニアと呼んでも良さそうだ。ではなぜトレディアを選ばれたのかと聞けば、やはり「珍しいから」という回答。なんでも友人が経営するスウィンギンモータースにたまたま入庫したことを知り、衝動的に買ってしまったのだとか。

後ろ姿とフェンダーミラーがお気に入りとのこと。トレディアは83年7月にターボモデルが1600ccから1800ccへ変更されたタイミングでドアミラー仕様が選べるようになる。それでもこの時代、慣れたフェンダーミラーを選択するケースがあった。若い世代だとドアミラー一択だったから、ある程度落ち着いた世代の方が購入されたのだと予想できる。

一見するとキレイなボディだが、購入時は下回りを中心にサビが進行していたそうだ。そこでサビを除去して板金塗装を施してから納車されることになった。また苦労したのがエアコンで、当初は全く効かない状態。あれこれと修理を重ねて、ようやく満足いく空調を取り戻すことができた。

また、この時代は燃料供給装置がキャブレターからインジェクションへなる過渡期でもあった。この個体にはキャブレターが採用されている。これも本調子を得るまで何度も調整することになったそうで、やはりネオクラシックカーといえども苦労は絶えなかった。だが、修理を重ねた結果、今ではお住まいの埼玉県から水戸市までの移動を苦もなくこなせるようになった。

現在の走行距離は8万キロを超えたところ。年式を考えたら距離が伸びていない印象で、おそらく以前のオーナーは近所を走るくらいしか乗らなかったか、休日に遠出する時だけ乗られていたのだろう。年式を考えたら珍しいAT仕様なのだが、こちらもネオクラに付き物のトラブルになる個所。現在のところは調子良く変速しているそうだが、長く乗るなら備えておくのがベストだ。

この日は愛犬とともに参加されていた大沢さん。ペット用のドライブシートを助手席に装着されていたので、機会があれば愛犬と一緒にドライブを楽しまれているのだろう。撮影中に吠えられることもなく、最初は存在に気が付かなかったほど賢いジャック・ラッセルだった。
