スズキDR-Z4S……1,199,000円

プレーンな佇まいのDR-Z4Sだが、林道ツーリングを楽しむアイテムとして多種多様な純正アクセサリーを設定。ナックルカバーは6600円、スキッドプレートは4万1800円、リアキャリアは1万9800円だ。

ライディングポジション(身長182cm・体重74kg) ★★★★☆

ローシートが標準の日本仕様は、海外仕様より着座位置が30mm低いので(890mm)、本来のバランスではないはずだが、ライディングポジションに違和感は抱かなかった。

大柄な僕が嬉しかったのは、シート~ステップの距離が短くなっているにも関わらず、下半身が窮屈ではないこと。もっともシートのウレタンは薄いので、ロングランの後半では尻になかなかの痛みが発生した。

オフロード性能を真摯に追求したバイクに対して、こういうことを言うのは気が引けるけれど、日本仕様でも足つき性は厳しく、大柄な筆者でも両足の全面は接地しない(身長170cm前後のライダーだと、つま先立ちになる模様)。

現状ではフロント:280mm/リア:296mmのホイールトラベルを、前後とも250mmくらいに短縮し、シート高を850mm近辺に抑えたローダウンバージョンが存在したら、このモデルの裾野は確実に広がるだろう。

タンデムライディング ★★☆☆☆

第2回で記したように、DR-Z4Sのリアショックの設定は硬め。そのおかげでリアの重量が増えても沈み込みが少ないので、2人乗りは意外に普通にこなせた。ただしタンデムライダーを務めた富樫カメラマン(身長172cm・体重52kg)の印象は、あまり良好ではなかった。

「シート座面が小さい今どきのトレールバイクは、やっぱりタンデムに向いていないと思う。でもこのバイクは、ベルトがつかみやすくて、ステップは適度に踏ん張りが利くから、過去にこの企画で取り上げた軽二輪トレールバイクと比べれば、印象はいいほうかな」

取り回し ★★★☆☆

ハンドル切れ角45度、最小回転半径2.4mという数値は、ホンダCRF250LやヤマハWR125Rと大差がないけれど、それらより車重が重く、ハンドルグリップと重心位置が高いので、取り回しは楽々ではなかった。足つき性と同じく、小柄なライダーはハードルの高さを感じそうである。

ハンドル/メーターまわり ★★★★☆

トップブリッジと同様のブラックで塗装されたハンドルバーは、近年のオフロードモデルで定番になっているアルミ製テーパータイプ。未舗装路をスタンディングで走行しているときは、もう少しグリップ位置が高くてもいいと思えた。バックミラーの視認性は非常に良好なのだが、市街地や林道では左右への張り出しが気になった。

視認性に優れるメーターはモノクロLCDで、右端はエンジン特性を変更するSDMS:スズキドライブモードセレクター(A/B/Cの3段階)と、トラクションコントロール(オフ/1/2/Gモードの4段階)のレベル。スピードの下部の表示内容は、オド、トリップ×2、瞬間燃費、平均燃費、電圧。左下にはABSの切り替えボタンが備わる。

左右スイッチ/レバー ★★★★☆

左スイッチボックスは、GSX-8系やVストローム800シリーズと同様のデザイン。SDMSとトラクションコントロールの設定も含めて、メーターの表示内容の変更は、ほとんどがモード・セレクトボタンで行える。クラッチレバー/バックミラーホルダーの右に備わる部品はヘルメットホルダー。

スロットルバルブは電子制御式だが、ライダーの感性にフィットしやすいことを考慮して、スロットルからスロットルポジションセンサーまではケーブルを使用。レバーのピボット部にカバーが備わるのはクラッチ側のみだが、ブレーキレバーの基部にはボルト+ナット式の遊び調整機構を設置。

燃料タンク/シート/ステップまわり ★★★★☆

前任に当たるDR-Z400Sのガソリンタンク容量が10ℓだったのに対して、DR-Z4Sは1.3ℓ減の8.7ℓ。シュラウド+サイドカバーと下半身のフィット感は、すこぶる良好だった。

ウレタンが薄くて座面が前下がりのローシートは、ロングラン向きとは言い難い。とはいえ足つき性を考えると、海外仕様の標準シートがベストかどうかは微妙なところ。なおDR-Z4SMは日本仕様も標準シートを装着しており、部品単体での価格は1万7600円。

快適性に貢献するステップラバーは脱着式。オフロードを重視したギザギザ仕様のステップバーは、ブーツのソールとの食いつきが抜群。DR-Z400Sの幅が33mmだったのに対して、DR-Z4Sは49mmにワイド化。可倒式ペダルはシフト側のみで、ブレーキ側は固定式。リザーブタンク一体型のリアブレーキマスターシリンダーは、モトクロッサーRZ-Mからの転用。

積載性 ★☆☆☆☆

積載性に対する配慮は一切ナシで、シート下の収納スペースも存在しない。もっとも近年のトレールバイクで、荷物の積載を考慮した装備とスペースが存在するのはCRF250Lくらいである。円筒形の部品は、燃料の大気放出を防ぐキャニスター。

いずれにしてもこのバイクでツーリングを楽しみたいライダーは、リアキャリアを導入するべきだろう。ETCユニットの設置場所は、左サイドカバー内のバッテリーの脇が定番になっているようだ。

ブレーキ ★★★★★

フロント:φ270mmディスク+片押し式2ピストンキャリパー、リア:φ240mmディスク+片押し式1ピストンキャリパーのブレーキは、コントロール性が素晴らしく良好だった。さらに言うならABSの作動感も、超が付くほどナチュラル。

なおABSは前後オン/前後オフ/リアのみオフという3種から選択でき、僕の場合は未舗装路でも、フロントをオフにする必然性は感じなかった。

サスペンション ★★★★★

動き出しからフルストローク時まで、あらゆる領域で上質な動きを見せてくれる前後ショックはKYB製。その作動感と構成から推察すると、モトクロッサーRM-Zと同等のコストがかかっているんじゃないだろうか。

φ46mm倒立式フロントフォークは伸圧ダンパー、リアのモノショックはプリロードと伸圧ダンパー(プリロードはロックリング式で、圧側ダンパーは低速と高速の2系統)の調整が可能。

車載工具 ★★☆☆☆

内容が充実しているわけではないけれど、車載工具には開発陣の気遣いを感じる。キーで開閉する左側の黒いパネル内に備わるプラグレンチは、反対側が8mmのボックスレンチになっていて、ドライバーの軸部分(グリップはシート下)と組み合わせてT型レンチとして使用すれば、サイドカバーの脱着が可能になる。

実測燃費 ★★★☆☆

4人の友人と出かけた舗装路のみのツーリング(④⑤)では、ペースが控えめだったためか、良好な数値が記録できたものの、トータル燃費は近年の400cc単気筒の平均と言って差し支えない28.3km/h。

その数値から算出できる航続可能距離は28.3×8.7=246.1kmだが、燃料残量警告灯の点滅タイミング(残量が2.1ℓを切った時点で第1段階、0.8ℓを切ると第2段階の点滅が始まる)を考えると、200km以上の走行はちょっとした勇気が必要。指定ガソリンは、懐に優しいレギュラー。

純正指定タイヤのIRC GP410は、同社のトレールバイク用の中ではオンロード寄り。過去に当企画で取り上げたホンダCRF250LやカワサキKLX230、ヤマハWR155Rは、もう少しオフロード指向のGP21/22。
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主要諸元

車名:DR-Z4S 
型式:8BL-ER1AH 
全長×全幅×全高:2270mm×885mm×1230mm 
軸間距離:1490mm 
最低地上高:300mm 
シート高:890mm 
キャスター/トレール:27°30′/109mm 
エンジン形式:水冷4ストローク単気筒 
弁形式:DOHC4バルブ 
総排気量:398cc 
内径×行程:90mm×62.6mm 
圧縮比:11.1 
最高出力:28kW(38ps)/8000rpm 
最大トルク:37N・m(3.8kgf・m)/6500rpm 
始動方式:セルフスターター 
点火方式:フルトランジスタ 
潤滑方式:圧送式ドライサンプ 
燃料供給方式:フューエルインジェクション 
トランスミッション形式:常時噛合式5段リターン 
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング 
ギアレシオ 
 1速:2.285 
 2速:1.733 
 3速:1.375 
 4速:1.090 
 5速:0.863 
1・2次減速比:2.960・2.866 
フレーム形式:セミダブルクレードル 
懸架方式前:テレスコピック倒立式φ46mm 
懸架方式後:リンク式モノショック 
タイヤサイズ前:80/90-21 
タイヤサイズ後:120/80-18 
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク 
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク 
車両重量:151kg 
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン 
燃料タンク容量:8.7L 
乗車定員:2名 
燃料消費率国交省届出値:34.9km/L(2名乗車時) 
燃料消費率WMTCモード値・クラス3-1:27.7km/L(1名乗車時)