有終の美を飾るに相応しい気合の入ったリファイン

トヨタのスポーツブランドである「GR」。その最高峰のスポーツカーとなるのが「スープラ」だ。BMWとの共同開発ではあるが、デザインや走りの味付けはトヨタオリジナル。トヨタで唯一の直列6気筒エンジン搭載モデルとして、そしてトヨタの最高峰スポーツカーとして存在は大きいものだった。

エクステリア

外観で3.0ℓ車と2.0ℓ車を識別するポイントは、ダックテール形状のリヤスポイラーの有無で、3.0ℓ車は標準装備。また3.0ℓ車のマフラー出口が100㎜/ヘアライン仕上げなのに対して、2.0ℓ車は90㎜/クロームめっきとなる。最小回転半径は5.2m。

〝だった〞と過去形で書いたのは、終焉が迫ってきたから。2026年3月をもって生産を終えることがアナウンスされ、すでに新車を手に入れられるかはギリギリの状況だ。そんなカウントダウン中のスープラだが、生産終了の公表と同時に6気筒エンジン搭載モデル「RZ」における最後の改良が発表された。改良のポイントはブレーキ(フロントブレーキ大径化)、車体・シャシー剛性向上、サスペンションセッティング変更、空力性能向上、電子制御ディファレンシャルの制御変更、電動パワーステアリングの制御変更、インテリア(新シート表皮+赤ステッチ+赤シートベルト)、そしてホイールのマットブラック化と多岐にわたる。販売期間が僅か1年ほどにもかかわらず、ここまで多く手を入れてくる、すなわち「常に進化させていこう」という意気込みが素晴らしい。それはGRの志の高さと言い換えてもいいだろう。

乗降性

数値からもわかるように座面は低く、サイドシルは高い。開口もタイトな形状で乗降性に優れているとは言いがたいが、それがスポーツカーらしい視点の低さを生み出しているのだからマイナスポイントにはならない。

見た目でわかる最終仕様のポイントはインテリアとホイール、それからフロントバンパー後部に追加された樹脂部品(ホイールアーチフラップ)とカーボンのリヤスポイラー程度。あくまでさり気ないものだが、「最後のA90スープラ」だとわかる人にはわかる違いとなっている。そんな最終仕様に試乗した印象は「公道レベルでは、従来タイプとの違いはよくわからない」というのが正直なところ。MTもATも走らせてみたが、そもそもスープラの運動性能の次元が高過ぎて、残念ながら筆者レベルの一般的な運転スキルだと今回の改良でアップデートされた限界云々の性能を語れるレベルではない。

インストルメントパネル

ドライビングポジションは低いが、ロングノーズの象徴たる大きなボンネットが常に視認できるのはうれしい。重いクラッチペダルの操作感にも特別感がある。メーターは8.8インチ液晶タイプ。

頭に浮かぶのは「よくできたスポーツカー」「運転が気持ち良過ぎる」「官能性に包まれる」などといった漠然としたものばかりだ。しかし、それがスープラの本質ではないだろうか。 その進化を仔細に確認するのなら、サーキットまで出向かないと無理だろう。次元が高過ぎる故に。

居住性

スポーツとラグジュアリーを絶妙にバランスさせた電動調整シートはスープラのDNAを感じさせるもの。「RZ」の専用装備である赤いシートベルトはアグレッシブな雰囲気だ。ステアリングはチルト&テレスコピックの調整幅も十分にある。

ただ、間違いなく言えるのはスープラの「RZ」グレードは限界領域に足を踏み入れることなどなくても、ゆっくり走らせるだけでも運転が楽しいということ。BMW謹製6気筒ターボエンジンの色気はさすがで、エンジン回転が上がるフィーリングや鼓動感、高回転のパンチ力、そして奏でる音の響きがたまらない。それらに浸るだけで「スープラを選んで良かった」となるだろう。すでに完売となってしまったが、国内150台限定で「A90ファイナルエディション」も用意された。

うれしい装備

ナビ画面はタッチパネルとなっているが、シフト脇のコマンダーを利用すれば、ドライビングポジションを乱すことなくコントロールできる。ダイ
ヤルを回して、マップの縮尺を変更するのは直感的で操作しやすい。
リヤスポイラーは「RZ」に標準装備される。マットクリア仕上げによりリアルカーボン特有の模様をじっくりと味わうことができる。
一部改良発表     25年3月21日 
月間販売台数      93台(25年6月~11月平均)
WLTCモード燃費    14.5km/ℓ ※「SZ」

ラゲッジルーム

エンジンは標準仕様の387PSに対して441PSまで引き上げられ、ボンネットはカーボン製、マフラーはチタン製、サスペンションも専用セッティングでシートはカーボン製フルバケットだ。価格は通常仕様の二倍近い1500万円だがこだわりが凄く、手に入れた人がうらやましい。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.174「2026年 国産新型車のすべて」の再構成です。

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