Retro Rides
ずっと若い客層

5月9〜10日、英国南部のグッドウッドで、「レトロ・ライド(Retro Rides)」が再び開催された。サーキットの収容台数である1600台は両日とも満車となり、25年以上前のクルマで来場した参加者は、パドックやコース上に案内されて駐車することになった。
レトロ・ライドには、グッドウッド最大の年次イベントである「グッドウッド・リバイバル」よりもずっと若い観客が集まる。その違いは並ぶクルマにも表れており、楽しく、個性的で、ほとんどがモディファイされた車両ばかりだった。
1950〜60年代のクラシックカーは、英国では長年高値で取引されてきた。一方で、1970〜80年代のクルマには大きな空白があり、生き残れなかったか、あるいは保存する価値がないと見なされてきた。しかし20〜30代を中心とする若い愛好家たちは、そうは考えていない。むしろ「何でもアリ」で、予測不能なほど歓迎される空気がある。レトロ・ライドでは、1000英ポンド(約21万円)の錆びたファミリーハッチバックが、高価で完璧に仕上げられたショーカーの隣に並び、同じくらい注目を集めていた。
最多を誇った日本車勢

リバイバルでおなじみの「ジャガー Eタイプ」や「オースチンヒーレー 3000」「アストンマーティン」の姿は完全になく、その代わりに並んでいたのは角張った1980年代のエステートワゴン、日常的なセダン、バン、ハッチバック。安価で親しみやすく、しかもユーモアのセンスを持って改造されている。スーパーカーは1台も見かけず、911も1台だけだった。もちろん改造車である。
もっとも多かったのは日本車で、街道レーサー仕様のマシンと「マツダユーノス ロードスター」が入り混じっていたが、同じ仕様のクルマはひとつとしてなかった。さらにVWドラッグスター、アメリカン・ローライダー、ベリータンク・レーサーなどの展示もあり、イベントに多彩さを加えていた。
今回新たに加わったのが「サイクルカート」の展示だった。1930年代のレーシングカーを縮小再現したもので、オーナー自らが製作し、10馬力に制限されたホンダ GX200汎用エンジンを搭載している。
ビュイックとマイクラに感激


土曜日は5月としては珍しいほどの快晴と高温に恵まれ、サーキット内にあるグッドウッド飛行場からは30分ごとにスピットファイア戦闘機が離陸し、頭上を飛び去っていった。一方の日曜日は雨と風、低温に見舞われた。典型的な英国の春の天気だ。それでも会場は変わらず賑わい、誰もが同じように楽しんでいるようだった。
私は土曜日にレストアしていない1956年式「シトロエン 2CV」、日曜日には大幅にモディファイした「ユーノス ロードスター」で参加した。なかでも印象的だったのは2台。ひとつは、見事なゴールドフレーク塗装とアートワークを施した1977年式の「ビュイック リーガル」。もうひとつはK10型「日産 マイクラ K10」だった。ビュイックは塗装や内装のディテールが圧巻で、マイクラはとにかくシンプルなのに完璧な仕上がりだったからだ。
純粋な楽しさという点ならレトロ・ライド

私は1998年の第1回以来、すべてのグッドウッド・リバイバルに足を運んでいる。あちらの空気はもっと抑制的で、年齢層も高い。もちろん素晴らしいイベントだし、これからも毎年通うつもりだ。それでも、純粋な楽しさという点ではレトロ・ライドに敵わない。このイベントは、「クルマは自分の好きなものであっていい」と思い出させてくれる。誰かに評価される必要はないし、完璧なオリジナル状態にレストアされている必要もない。正しいブランドやモデルである必要すらない。
私のユーノスの塗装もかなり傷んできた。ずっと屋外保管で、ガレージ暮らしではなかったからだ。以前からカスタムペイントをやってみたいと思っていて、たとえばゴールドフレークなんていいかもしれない。しかもクルマを塗っている友人がぜひ手伝いたいと言ってくれている。レトロ・ライドの精神に従うなら、やらない理由はない。
PHOTO/Simon FOX
