機関系のフル移植で完全復活!

スタリオンのスタイルに込められたZ34のパフォーマンス!

熱烈なマニア層を抱えるミツビシ車の中でも、スタリオンの人気は別格。80年代を代表するスペシャリティカーであり、レースシーンでの活躍やハリウッド映画への登場などがあり、特にスクリーンを通じて放たれた印象はその支持を揺るぎないものにしているのだろう。

しかし、旧車としてスタリオンを維持する環境は極めて厳しい。特に補修パーツの枯渇は深刻で、近年では泣く泣く手放すオーナーが続出しているのが現状だ。そこで「パーツに困らず乗り続けるための完全近代化改修」を掲げ、現代的なスペックへのアップグレードを図ったのが、ダディーモーターワークスが手掛けた一台である。

「このスタリオンはチューニングを楽しみながら長く連れ添ってきた車両ですが、パーツ供給が滞り、しばらく休眠状態にありました。一時は手放すことも考えましたが、やはりスタリオンが好きで…」とオーナーの畑田さんは振り返る。

そんな切実な思いを受け止めたのが、ダディーモーターワークス。相談の結果、理想的な性能を持つドナー車としてZ34(フェアレディZ)を選定。エンジンから駆動系、装備に至るまでの「完全移植」を目指すこととなった。

「載せ替え作業自体は、エンジンやミッションの位置決め、マウント製作といった物理的な加工で解決できます。しかし、Z34のVQ37VHRエンジンは複雑なCAN通信で制御されているため、純正コンピュータが求める信号をすべて揃えないとエラーが出て始動すらできません。ここが最大のハードルでした」と、ダディー代表の尾頭さんは語る。

電気系を丸ごと移植しつつ、リトラクタブルライトなどスタリオン独自の機能も生かさなければならない。双方の配線図を突き合わせて地道に結合し、CAN通信のエラーを回避。さらには、元のスタリオンにはないオートライト機能まで盛り込むなど、利便性も向上させた。

換装されたVQ37VHRエンジンは、336ps&37.2kgmという、本来のG54エンジンを大幅に凌駕するパフォーマンスを発揮する。

ブレーキマスターもZ34純正を流用、これはブレーキバランスがよさそうなのと、今後のメンテナンス製を高めることができるから。

フロントパイプ以降はキャタライザーのレイアウトなど全てワンオフで仕上げられている。リヤピースもスタリオンのリヤスタイルに合わせたデザイン。

エンジン高がわずかに高くボンネットと緩衝したため、ボンネットのセンター部を上げている。純正のデザインを崩さないように気を使った部分だという。

ホイールは前後ともにZ34純正の18インチを流用しZ34からのエンジンスワップをアピール。元々は225/50R16だったので、スタイリングも今風にアレンジできた。フロントのブレーキキャリパーは以前のチューニングでセットしたシルビア系キャリパーをキャリーオーバー。さらに元々ボールジョイント式だったステアリングラックはS14から流用しラック&ピニオンに交換。ダイレクト感のあるフィーリングへと向上している。

スタリオンのダッシュボード上に収まっているのはZ34純正メーターパネル。もちろんスピードからタコ、インフォメーションなど全て完動。オープニングアクションまで機能している。ステアリングもコラムごとZ34純正を流用、スイッチ類も全て機能する。

Z34からミッションを流用するため、ミッショントンネルは叩いて拡大。ATのシフターは違和感のなくZ34のものが移設されている。合わせて、Z34純正の3連メーターやトラクションコントロールスイッチなども総移植。ステアリングに備わっているパドルシフトもバッリチ作動、ワインディングなどもマニュアル感覚のドライブを楽しめる。

CANの攻略としてZ34のシステムを総移植することが前提となったため、日産純正のスマートキーを使用。ダッシュボードのブランク位置を活用しキーポケットを新設した。そして、エンジンスタート用にはスタータースイッチも新設。丸ごと移植により予想外の近代化も行われた。

フォグランプやデフォッガー、リヤワイパーといった装備品のスイッチはダッシュボード下部に社外のスマートなデザインのスイッチを使って設置された。

このプロジェクトは単なるエンジンスワップに留まらず、公認車検の取得まで含めて完成。スタリオンならではの美しいスタイリングをそのままに、走りや快適性、そして整備性まで現代レベルへと引き上げた。

パーツ供給という旧車最大の悩みから解放され、新たな命を吹き込まれたこのスタリオン。その価値は性能向上だけではない。これから先も安心して走り続けられることこそ、この”完全近代化”最大の成果なのである。

●取材協力:ダディーモーターワークス 愛知県豊明市沓掛町神明13 TEL:0562-85-9911

「生産1000台未満の希少80年代チューンドが並び立つ!」スカイラインGTS-R+スタリオンGSR-VR

「純正外装」に拘りつつ、気鋭のチューニングを施すのが令和の旧車スタイルだ。限定800台のR31スカイラインGTS-Rと、1000台に満たないスタリオンGSR-VR。当時を知るファン感涙の希少グレードが、奇跡のコンディションで姿を現した。ワンオフ製作されたサージタンクや等長マニなど、細部まで貫かれたオーナーの美学と拘りは必見だ。

【関連リンク】
ダディーモーターワークス
http://daddymotorworks.com/