G55
ゲレンデヴァーゲンからGクラスへ

メルセデス・ベンツとシュタイヤー・ダイムラー・プフの間で共同開発され、1979年に発表された多目的オフローダーW460「ゲレンデヴァーゲン」。当初は軍用車として開発されたが、ショートホイールベースに3ドア、3ドアバン、2ドアカブリオレ、2ドアピックアップ、ロングホイールベースに3ドア、3ドアバン、5ドアという7種類のボディを用意する民生型も発売。エンジン・バリエーションやAT、エアコンなどのオプションを拡大したことで、高い耐久性と乗用車的な装備が受け、徐々にシェアを拡大することとなった。
それを受けAMGも、182PSへとチューンした2.8リッター直6SOHC M110型ユニットを搭載した「280GE AMG」を1979年から1990年にかけて発売。さらにW116型「Sクラス」のヘッドライトにW123型「ミディアムクラス」のグリルを備えたボディに300PSを発生するSクラス用の5.6リッターV8を搭載するモンスター「280GE 5.6 Sports」を発売しているが、いずれもごく少数の生産にとどまっている。
1990年、メルセデス・ベンツはW460を基本としながらも、Sクラスに通じるウッドとレザーのトリムを初めて採用したインテリア、ボディ同色処理されたフロントマスク、オーバーフェンダー、サイドステップなどを備えたエクステリア、そしてパートタイム式から電動デフロック付きのフルタイム式に4WDシステムを変更したW463を発表。1994年からはメルセデス・ベンツ全体の呼称変更に伴い「Gクラス」と呼ばれるようになった。
日本で人気を博した「G36」

そして1993年のジュネーブ・ショーで、0-100km/h加速11.4秒、最高速度180km/hを記録するハイパフォーマンス・バージョンというべき「500GE V8」を発表するのだが、241PSへパワーアップされた5.0リッターM117型V8 SOHCユニット、それを搭載するためにベンチレーテッド・ディスクブレーキを装着するなど強化されたロングホイールベースのシャシーに搭載するなど、一連の作業を行ったのはアッファルターバッハのAMGであった。
当初500台が予定されるも、446台の生産にとどまった500GE V8だが、2023年にはドイツ歴史的文化財に認定。またAMGではそれをベースに排気量を6.0リッターへと拡大。最高出力330PS、最大トルク525Nm、0-100km/h加速10.9秒を標榜する「500GE 6.0 AMG」を発表している。
なお1994年になると3.2リッター直6 DOHC M104型ユニットを3.6リッターへと拡大し、280PSを発生する「G36 AMG」が登場するが、120台といわれる生産台数のうち、約90台がAMGジャパンを通じて販売された、実質的な日本専用車両となっていた。また1997年には4.3リッターV8SOHCを搭載した「G43 AMG」が特別注文を受け38台のみ製造されているが、このうち10台が日本へ輸出されているという。
小改良を加えられ2012年まで

1998年、メルセデス・ベンツは500GE V8のレギュラー版というべき、292PSの5.0リッターV8を積む「G500」を発表。あわせて待望の北米輸出が開始され、Gクラスの販売台数は飛躍的に向上する。
そしてAMGがダイムラー・クライスラーAGに吸収合併された後の2002年には、G500のAMG版というべき「G55 AMG」が登場。エンジンは354PSへとチューンされた5.5リッターV8 SOHC M113型ユニットで、サイド・エキゾースト、ワイドタイヤ、AMG 5スポークホイールなどを標準で装着。2005年にはスーパーチャージャーを装着することで最高出力を476PSへと引き上げた「G55 AMG コンプレッサー」へと進化を遂げた。
その後もG55は小改良を加えられながら2012年まで生産され、ハイパフォーマンスSUVブームのパイオニアとしての重責を果たしたのであった。
