二社は、三井金属が持つ硫化物固体電解質「A-SOLiD」を使い、電池セルの製造プロセスを共同開発する。Factorial側は、Solsticeという硫化物系全固体電池プラットフォームについて、セル設計/プロセス開発/サプライチェーンの認証/生産ラインへの統合/製造検証を担当する。単に「三井金属の固体電解質をFactorialが使う」という提携ではなく、固体電解質を実際の電池セルとして量産するための製造技術を共同開発するというところがポイントである。

自動車業界をはじめ各種産業界から熱い視線を送られる全固体電池。その名称どおり、液体である電解質を固体とすることで、可燃性のある液体電解質からのシフトや、イオン伝導性に優れた固体電解質による高エネルギー密度化などが期待されている。いっぽう、その全固体電池については高性能な固体電解質材料を作れば完成ということにはならず、むしろ実用化では、その材料をどう電極と組み合わせ、どう成形し、どう積層し、どうセルに仕上げ、どう量産ラインに載せるかが大きな課題になる。三井金属自身も今回の発表で、全固体電池の実用化には高性能な固体電解質だけでなく、その性能を発揮させるセル製造プロセスの開発が重要だと明記している。
FactorialはSolsticeについて、独自のdry-cathode processingを採用し、よりコスト効率の高い製造を目指していると説明。つまり、材料技術(三井金属)+セル設計・製造プロセス(Factorial)+量産ラインへの統合を組み合わせようとしている。さらに、同社は既存リチウムイオン電池製造ラインとの80%のdrop-in compatibility(既存設備を大きく変更せず導入できる互換性)を掲げているのも注目すべき点だ。
三井金属株式会社の専務執行役員兼事業創造事業部長である安田清隆博士は「Factorial社との共同開発契約締結を大変嬉しく思います。電池は電化社会の実現に不可欠な技術ですが、依然として多くの技術的課題が残されています。だからこそ、既存技術の拡張にとどまらず、新たな価値創造に挑戦する必要があると考えています。三井金属が長年培ってきた材料・製造技術の専門知識とFactorial社の高度な技術力を融合させることで、次世代電池の実現を加速させていきたいと考えています」と述べた。
「バッテリーのイノベーションは、一企業だけでは成し遂げられません」と、FactorialのCEOであるSiyu Huang氏は述べている。「サプライチェーン全体、そしてますます業界全体の連携によって推進されるものです。三井金属の基盤となる電解質技術は、Solsticeの商用展開に向けた当社の取り組みに不可欠な材料に関する専門知識をもたらしてくれます」