RS4P063BPHZGは普通に見ると「100V MOSFETの新製品」だが、核心はオン抵抗ではなくWide-SOAであること。つまり、普段の効率ではなく「異常時に一瞬だけものすごい電力がかかる」回路のMOSFETである。ROHMによれば、VDS=100V、パルス幅100μsという条件で、同サイズの標準品に対してSOA耐量を約5倍にしたという。
ポイントは二次降伏(secondary breakdown)の抑制。MOSFETでは高電圧・大電流が同時に印加される領域で、素子内部の電流集中などによって局所的な発熱が進み、破壊に至ることがある。そこで今回のデバイスは、その二次降伏を抑える設計を採用し、安全動作領域=SOAを広げた。これにより、瞬間的に高電力負荷がかかる車載用途において、より大きな電気的ストレスに耐えられるようにする。パッケージは車載で一般的なHPLF5060(5×6mm)とすることで、既存レイアウトへの置き換え評価を容易にすることも狙っている。
MOSFETというと低オン抵抗やスイッチング損失が注目されがちだが、エアバッグやシートベルトプリテンショナー、パイロヒューズなどの安全・保護回路では、むしろ異常時に一瞬だけ加わる大きな電気的ストレスに耐えることが重要になる。今回のRS4P063BPHZGは、そのためのSOAを従来品より大きく広げたMOSFETという位置づけだ。用途は、エアバッグ・インフレーター点火回路/シートベルトプリテンショナー/バッテリー遮断用パイロヒューズ/その他の安全・保護回路など。すでに2026年6月から量産開始している。
