絶対的な速さと扱いやすさを両立!

カンサイサービス流FL5進化論

ホンダが誇るフラッグシップスポーツ、FL5型シビックタイプR。そのポテンシャルをさらに引き出すべく、カンサイサービスが新たに投入したのが2号車となるデモカーだ。

初代デモカーと同じチャンピオンシップホワイトのボディには、HKS GT4845スポーツタービンキットを装着。さらに、インタークーラーやオイルクーラーといった冷却系の強化に加え、メタルキャタライザーとリーガマックススポーツマフラーによって排気効率も高められている。

シャシーダイナモによる計測データは圧巻だ。外気温が30度を大きく超える酷暑の中でも、最大ブースト圧1.8キロ時に約432psをマーク。ノーマルの実測値である約327psから大幅なパワーアップを果たしている。だが、特筆すべきは最高出力の数値だけではなく、その出力特性にある。

タービン交換によって懸念される低速トルクの落ち込みは、3200rpm付近までにとどまる。それ以上の回転域では、全域にわたってノーマルを大きく上回るパワーとトルクを発揮するのだ。

「高回転まで途切れることなく伸びていくフィーリングは快感そのものです。一方で、トルクの落ち込みは極低回転域に限られるため、ストリートでの扱いやすさも犠牲にしていません」と向井代表。HKSハイパーマックスRを組み合わせた足まわりも相まって、圧倒的なストレートスピードと優れたトラクション性能を実現している。

もちろん、すべてのオーナーが最初からタービン交換を必要とするわけではない。カンサイサービスでは、ノーマルタービンを生かしたブーストアップこそ、FL5チューニングの基本と考えている。

「新しいデモカーでは、納車直後にタービン交換まで行いましたが、これはあくまでテストのためです。多くのオーナーは、ノーマルタービンのままECUを書き換えてブーストアップするだけでも、十分に楽しめるクルマになると思います。吸排気パーツの選択やインタークーラー交換の有無などによっても変わりますが、条件が整えば400ps近くを狙えます」と向井代表は語る。

そこで用意されているのが、豊富なノウハウを投入した「カンサイスポーツECU」だ。エンジンや補機類への負荷を緻密に計算し、安全マージンを確保しながらセッティング。ノーマルタービン仕様からタービン交換仕様まで、車両の仕様に合わせた最適な制御を実現する。パワーチェック込みの価格は22万円だ。

そして、カンサイサービスのFL5チューニングは、単にパワーを引き出すだけでは終わらない。むしろ重要なのは、引き出したパワーをいかに安心して使い切れるクルマに仕上げるかという点にある。

その取り組みのひとつが、これから本格的な開発テストに入るというブレーキシステムだ。鈴鹿サーキットでのテストでは、ドライバーから「強いブレーキングからコーナーへ進入する際、リヤが不安定になりそうな挙動を示す」という指摘があった。

通常であれば、ダンパーの減衰力を高めたり、スプリングレートを引き上げたりして姿勢変化を抑えるところだ。しかし、カンサイサービスが着目したのはリヤブレーキだった。リヤの制動力をわずかに高めることで、フロントへの過度なノーズダイブを抑制。制動時の車体姿勢をできるだけ水平に保ち、リヤタイヤの接地感を高めようという考えだ。

そこで投入されたのが、プロジェクトμの350φビッグローターキット。大径ローターと、純正キャリパーをオフセットして装着するためのブラケットがセットになっている。純正キャリパーをそのまま使用できるため、電子制御パーキングブレーキなどの機能を損なわずに装着できるのも特徴だ。

もともとFL5のリヤブレーキは、フロントのブレンボ製キャリパーと大径ローターに対して、制動容量が小さい。今後は冷間時からサーキットでのハードな使用まで、さまざまな条件を想定しながら、摩擦材の異なるブレーキパッドをテストする予定だ。効き始めのフィーリングはもちろん、高温時における前後の制動バランスまで徹底的に煮詰めていく。

サスペンションにはHKSハイパーマックスRを採用。ただし、前後ともスプリングレートを変更したカンサイサービス独自の仕様となっている。減衰力調整と組み合わせることで、サーキットでの気持ちよい走りを維持しながら、ストリートでの快適性も高めるセッティングを追求している。

スポーツ走行時の走りの質感を高める工夫は、駆動系にも及ぶ。高回転域で素早くシフト操作を行った際に発生しやすい、ギヤの入りにくさを改善するために投入されたのが、エクセディのハイパーシングルEVOだ。

軽量化されたクラッチディスクによって慣性重量を大幅に低減し、シフトフィールを改善すると同時に、ミッション内部のシンクロ機構への負担も軽減する。純正よりもクラッチディスクの直径は約10mm小さくなっているが、向井代表によれば、タービン交換後のパワーにも十分対応できるという。ただし、交換にはミッションの脱着が必要となるため、LSDの装着などと同時に作業するのがおすすめだ。

サーキット走行時には、アドバンA052の265/35R18と、アドバンレーシングGTビヨンドRの18インチ10.0J+40を組み合わせる。カンサイサービスが絶対の信頼を寄せるこのセットによって、432psのパワーを路面へと伝えていく。

エクステリアには、すでに人気を集めているカンサイサービスオリジナルのエアロパーツを装着。ボリュームを抑えながら個性を加えるデザインが特徴で、フロントリップ、フロントカナード、サイドステップ、リヤアンダースポイラーをラインアップする。それぞれFRPとカーボンの2種類が用意され、スタイリングを引き締めるとともに、超高速域での空力安定性にも貢献する。

ハードなサーキットアタックから、快適な日常のドライブまで。求めるステージに合わせて必要な部分をひとつずつ磨き上げていく。それがカンサイサービスのFL5チューニングだ。タービン交換による大幅なパワーアップも、その選択肢のひとつにすぎない。走る、曲がる、止まる、そして扱いやすさまで含めたトータルバランスこそ、カンサイサービスが考えるFL5チューニングの最適解なのだ。

●取材協力:カンサイサービス 奈良県奈良市小倉町1080 TEL:0743-84-0126

「乗り換えるより、育てる!」20年間ランエボIVと向き合ったオーナーが辿り着いた“ド根性”525馬力仕様

免許取得を機に購入したランエボIVと過ごして約20年。10万kmを機にランエボIX用MIVECエンジンへ換装し、さらに2.3L化&G30-770タービンを投入。現在は525psを発揮するまでに進化した愛車の軌跡を追う。