
トップフューエルの方針はストリートカー。製作当初から不変のスタイルだ。ZC33Sデモカーには自社のパーツと市販パーツが組みつけられ、トップフューエルならではのセッティングを中軸にできあがっている。

2018年の春。サス、ブレーキ、L.S.D.、ブーストアップ、エアロのメニューに、タイヤにはA052を履き(F:225/45R17・R215/45R17)、初の筑波で1分4秒855が記録された。「セクター1が速く抜けられ、セクター2ではダンロップコーナーがアクセルを戻さずに進めた。
最終コーナーはフロントがよく入り、姿勢も良かった。全開率が高い」。当日、運転したレーシングドライバーの菊地靖がシェイクダウンを語っている。

2020年には、基本のパッケージを保ってタービン交換に進んだ。タイヤはサイズを変えずに、グリップのみA08Bにして上げている。これで筑波スーパーバトルでは、ZC33Sで1分1秒台に一番乗り。ドライバーは同じく菊地靖。イベントでのZC33S最速タイムを、1分3秒台付近から一気に塗り替えた。

最新のタービン仕様ではタイヤにA050 G/Sを選び(F:255/40R17・R:225/45R17)、タイムが59秒8まで詰まっている。 もっとも車両の志向は筑波に限らず。鈴鹿も攻められる。過去、スイフトマガジンの取材では、富士のレーシングコースをタービン交換とラジアルタイヤのA052で試走して2分00秒。最高速は217㎞/hに達した。付け加えると、意図した車体の軽量化はしていない。
ポイントは順に、まず販売する空力のオリジナルエアロパーツ。フロントアンダーパネルや各部のスプリッターまで、フルキットで装備する。
次にサスペンションだ。トーションビーム式のリアサスを、初めからコイルオーバーに変更している。ZC33S用車高調として、トップフューエルの製品にもラインアップされる。同社でデモカーのチューニングを担当する森本康師さんの話だ。
「リアサスは、レイアウトから車高を下げて伸びストロークも取るにはコイルオーバーが選択肢になります。デモカーのバネレートはF:10㎏/㎜、R:8㎏/㎜でずっときましたが、ここでリアを上げました。それでも10㎏/㎜です。アームのブッシュはフルピロにしています。リアはトーションビームのアームからダンパーの取りつけ側まで、すべてです。ダンパーとスプリングをしっかり使う。コーナリングでリアの安定性を高める。効果があります」。
FFだから、とくに前後・対角の関係が合わせ込まれた印象だが、バネレートは意外に低い。それで、強力なエンジン性能を駆動系とともにフロントのトラクションへ変換する。

パワー系は、K14Cエンジンの内部はノーマルだ。タービン交換は純正形状のGTⅢ-FXで200㎰から始めて、ステップアップした。筑波1分1秒台は、HKSのGT-SSでマークしている。本来、排気量2.6LのツインターボエンジンRB26DETTでは、2機掛けで500㎰前後が得られるタービン1機を、排気量1.4LのK14Cに組み合わせる。ピークパワーは240㎰~260㎰に届いた。
そして、いまがHKS のGTⅢ-2530。やはりRB26DETTツインターボ用のタービン1機である。GT-SSにGTⅢ-2530。どちらも参考に、エキマニがヘッドと一体構造のK14Cには、ボルトオンでは載せられない。独自のパーツと取り付つけ方法で、純正タービンと同等位置に収めている。
「GTⅢ-2530はGT-SSより新しく、ターボのサイズがちょっと大きいんです。かけるブーストは1.6㎏/㎠。インターセプトは4000rpm~4500rpmが目安。パワーは260㎰~270㎰、最大トルクが35㎏-mくらいです。高回転は7000rpmまで回せます。コンロッドなどを強化したエンジンもつくって準備していますが、まだ出番はきていません」。
しかし、GTⅢ-2530クラスのタービンによって増大した空気量、空気密度に、直噴式の燃料系はどう対応させているのか。
「大容量の直噴インジェクター交換と、ECUの書き替えで走らせた時期があります(21年筑波スーバーバトル等)。でも、純正に代わる直噴インジェクター4本は、結構な費用になる。現在はECUの書き換えと併せて550㏄/minの追加インジェクターをインテークから噴射し(ポート噴射相当)、燃料を足しています。空燃比はとれています」。
ZC33S登場から9年。同様のタービン交換を検討する人が増え、現実面を押さえているという。さらに発展性のトピックがある。デモカーのK14Cには、もう一段のパワーゾーンが備わる。
「NOSを積んでいます。ジェットのサイズで噴射時は、30㎰からのパワーが上乗せされてピークも310㎰。トルク40㎏-m。もう少し出せそうです」。
この現状である。ターゲットはいわずもがな?
「もしタイムアタックに絞るなら車両の完全な軽量化。あとは空力。フロントアンダーパネルとリアウイングの形状を調整する。そうすればエンジンパワーから見ても、もっといけると想っています」。
HKSがZC33Sをベースにつくり上げたTSUKUBA RECORD BREAKER TRB-04の存在だ。2018年12月、自社のタイムアタックで57秒480を叩き出した(K14Cエンジン搭載時)。以来、鳴りを潜めるが、ZC33Sで筑波のタイムを追うチューナーの視界には映り続ける。森本さんの言葉にも意識を感じる。
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