開発期間2年未満をめざす新手法を採用。全幅は先代から一気に18cm拡大
ダチア・スプリングは2021年の発売以来、40を超える国で21万台以上を販売し、多くのユーザーにとって初めての電気自動車となったモデルだ。オーナーの多くは通勤に利用し、1日の平均走行距離は34kmだという。2代目も、こうした日常の足としての役割を引き継ぐ。
9月に発表された新型は、10月のパリモーターショー2026でワールドプレミアを迎えた。ダチアが2030年までに投入する4車種のBEVの、第1弾にあたる。


ベースとなるのは、ルノー・グループの新しい小型BEV用プラットフォーム「RG-EVスモール」。開発期間を2年未満に短縮しする新しい開発プログラムを、ダチアとして初めて導入した。生産はスロベニアのノボメスト工場で行なう。
ボディサイズは全長3.85m、全幅1.74m(ミラーを除く)。先代と比べて全長は15cm、全幅は18cm拡大し、プロポーションは大きく変化した。広くなった全幅は、路面にどっしりと構えたスタンスと、室内空間の拡大の両方につながっている。
短く高いボンネットと張り出したホイールアーチ。左右のライトを結ぶブラックのストリップで、ワイドさを強調
エクステリアは、幾何学的な面と線で構成。短く高いボンネット、張り出したホイールアーチ、垂直に近いフロントとリヤのエンドが、コンパクトながら堂々とした存在感をつくり出している。
フロントまわりでは、左右のヘッドライトをブラックのトリムストリップで結び、ワイドさを強調。ダチアのエンブレム「ダチアリンク」をモチーフにしたライトシグネチャーが目新しい。光るのは上半分だけで、LEDディフューザーで発光させる。下半分は45度の角度をつけた面で上からの光を反射させる仕組みで、浮かんでいるような見え方と奥行き感を生みながら、部品点数を抑えている。ダチアらしい合理的な発想だ。

前後のバンパーには大型のプロテクターを装備。素材は無塗装の原着ブラック樹脂で、ライン状のテクスチャーを施し、小さな傷や擦れを目立ちにくくした。光沢のあるブラックのトリムストリップもレーザーシボ仕上げとし、長く外観を保てるよう配慮している。

サイドビューでは、リヤホイールの上で盛り上がるショルダーが力強さを表現。ブラックのストリップがルーフとボディを視覚的に切り分けている。ホイールはグレードに応じて15インチの「ムラ」と16インチの「ドラバ」を設定、いずれもホイールカバー付きのスチール製だ。

リヤまわりも、フロントと同様に左右のテールライトをブラックのストリップでつなぐ。DACIAの文字は別体のエンブレムではなく、このストリップの一部として造形した。文字の表面にわずかな角度をつけて光の当たり方を変え、控えめながら自然なコントラストを生んでいる。部品を減らすことは、もちろん軽量化にもつながっている。
ボディ色はアガベ、シストグレー、ダイヤモンドブラック、グレイシャーホワイトの4色。

水平基調のダッシュボードで広がりを演出。Aセグメントながらフランクを装備する
ダッシュボードは水平基調のラインで広がりを感じさせ、情報を読み取りやすくした。運転席の正面には全グレード標準の7インチデジタルメーターを配置し、表示内容はドライバーが好みに合わせて設定できる。ダッシュボード中央には、上位グレードでは10.1インチのタッチスクリーンを備える。標準グレードではここにスマートフォンホルダーを設け、専用アプリでスマートフォンを画面代わりにする。

シート表皮はブルー系で、ダッシュボードのアクセントやボディ色のアガベと呼応する。ルーフとボディを切り分けるストリップの幾何学的なパターンをキャビン内でも繰り返し、内外装に統一感をもたせた。
助手席側のセンターコンソールと荷室には、ダチア独自のアクセサリー固定システム「ユークリップ」の取り付けポイントを標準で用意。メガネケースやカップホルダーなどを、必要な場所に後付けできる。


荷室容量は最大337Lで、クラス最大とアピール。50:50分割可倒式の後席を倒せば1283Lまで拡大する。荷室フロアはふたつに分かれた脱着式で、荷室を区切ったり、荷物を隠したりできる。さらにオプションで、ボンネット下に18Lの収納スペース「フランク」を設定。Aセグメントでフランクを備えるのはスプリングだけだという。


60kWのモーターと27.5kWhのLFPバッテリーを搭載。エントリー価格は1万8000ユーロ未満
パワートレインは全グレード共通で、最高出力60kW(80hp)、最大トルク175Nmのモーターと、使用可能容量27.5kWhのLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを組み合わせる。WLTPモードの航続距離は最大250km。車両重量は1212kgからとセグメントでも最軽量級で、電費は12.7kWh/100km(WLTP複合モード)に抑えた。
価格は、9月の発表時点で全グレード2万ユーロ未満(補助金を除く)と公表し、パリモーターショーではエントリー価格を1万8000ユーロ(約316万円)未満と発表した。



