2つのフラップと開口部が示す新たな可能性
メルセデス・ベンツが開発を進める新世代高級ミニバン「VLE」に、EV(電気自動車)とは異なるパワートレインを搭載したモデルが加わる可能性が浮上した。スクープ班が欧州で捉えたプロトタイプには、充電口とは別のフラップや大型フロントグリルなど、内燃機関の存在をうかがわせる特徴が確認できる。

今回、スクープ班のカメラが捉えたのは、欧州で走行テストを行う白いVLEのプロトタイプだ。
ボディの基本的な形状は2026年3月に発表されたEV版と共通しているが、細部には明確な違いが見られる。
特に注目したいのが、車体左右に設けられた2つのフラップだ。EV版では充電ポートを備えるが、今回の開発車両には反対側にも別のフラップが確認できる。一方が充電用、もう一方がガソリンの給油用だとすれば、PHEV(プラグインハイブリッド)仕様である可能性が出てくる。

さらに、フロントグリルにも違いがある。
EV版が空力性能を重視した閉じた形状を採用するのに対し、今回のプロトタイプには大きな開口部が設けられている。エンジンや冷却系に空気を取り込むための構造とも考えられる。リヤの床下にも排気系とみられる部品が確認でき、EV専用モデルとは異なるメカニズムを採用している可能性がある。これらの特徴を総合すると、今回の車両は内燃機関を搭載するVLEの開発車両と考えるのが自然だろう。
ただし、現時点ではPHEVと確定したわけではなく、通常のハイブリッドや別のエンジン搭載仕様という可能性も残されている。
EV専用では終わらない? メルセデスの次世代ミニバン戦略
新型VLEは、メルセデスが次世代の高級ミニバンとして展開する新モデルだ。
2026年3月10日にEV版が世界初公開され、最大8人が乗車できる広い室内空間と、乗用車に近い快適性を両立するモデルとして登場した。従来の「Vクラス」や電動モデル「EQV」が担ってきた市場を引き継ぎ、ファミリーユースからビジネス、VIP送迎まで幅広い用途に対応する。

一方、メルセデスは次世代バンの開発において、電動化を進めながらも内燃機関搭載車を継続する方針を示している。その中心となるのが、EV向けの「VAN.EA」と、内燃機関に対応する「VAN.CA」という車両アーキテクチャーだ。両者は共通する技術や構成要素を活用しながら、異なるパワートレインに対応することを目指している。

今回のプロトタイプも、こうした戦略に沿って開発されている可能性が高い。仮にPHEVとして市販化されれば、日常の移動ではモーターによる電動走行を活用し、長距離ではエンジンを併用する使い方が可能になる。多人数乗車や長距離移動が多い大型ミニバンでは、EV以外の選択肢が用意される意味は大きい。

ただし、搭載エンジンやモーター出力、バッテリー容量、EV走行距離など、具体的なスペックは明らかになっていない。
日本導入はあるか? Vクラス後継としての期待

新型VLEの動向は、日本市場にとっても無関係ではない。現在、日本ではディーゼルエンジンを搭載する「Vクラス」が販売されており、輸入高級ミニバンとして独自のポジションを築いている。
また、メルセデス・ベンツは2025年の『ジャパンモビリティショー2025』で、次世代高級ミニバンの方向性を示すコンセプトモデル「Vision V」を日本初公開した。Vision Vは、広い室内空間に先進的な装備を組み合わせ、移動そのものを上質な体験に変えることを目指したモデルだ。そのコンセプトはVLEだけでなく、さらに上級に位置づけられる「VLS」にもつながっている。

日本の高級ミニバン市場には、トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」やレクサス「LM」などが存在する。VLEが日本に導入されれば、これらの国産高級ミニバンとは異なる個性を持つ、新たな選択肢となるだろう。特にPHEVが設定されれば、日常の電動走行と長距離移動への対応を両立できる点が魅力となる。

一方で、日本への導入時期や販売価格、PHEV仕様の設定については、現時点で具体的な情報が得られていない。今回確認されたプロトタイプは、メルセデスの次世代ミニバンがEVだけにとどまらない可能性を示している。新型VLEは、Vクラスに代わる新たな高級ミニバンとして日本にも上陸するのか。そして、PHEVという選択肢が加わるのか。今後の開発動向が注目される。
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