超々ジュラルミン削り出しの本気仕様!
FL5シビックタイプR用レーシングブレーキの実力に迫る
補修用ブレーキパッドやブレーキシューの製造・販売で約60年の歴史を持つエムケーカシヤマ。その豊富なノウハウを活かし、1984年にモータースポーツ向けブランドとして誕生したのが「WinmaX(ウインマックス)」だ。
国内外のさまざまなモータースポーツで実績を重ね、多くのドライバーから支持を集めてきた同ブランド。過酷な実戦で磨き上げられたブレーキシステムは、高い制動力だけでなく、ペダル操作に対する優れたコントロール性も追求している。

そんなウインマックスの最新ブレーキシステムをチェックすべく、今回の峠インプレッションに持ち込まれたのが、ストリート向けにファインチューンされたFL5型シビックタイプRのデモカーだ。

最大の注目は、フロントに装着されたFL5専用設計の6ポットレーシングキャリパー「MN6PR」。スーパー耐久ST-2クラスに参戦する「#95 SPOONリジカラ CIVIC」にも採用され、過酷なレースを通じて開発された本格派だ。
キャリパーボディには超々ジュラルミンを採用し、5軸マシニングセンタによる総切削加工で製作。一般的な鍛造製法ではなく、あえて削り出しを選択することで、高い加工精度を追求している。さらに、左右非対称のアシンメトリーデザインを採用し、剛性とコントロール性の高次元での両立を狙った。
構造は高剛性なモノブロックタイプで、表面には硬質アルマイト処理を施す。温度変化に伴うブレーキフィールの変化を抑えるための工夫も盛り込まれている。

ピストンはチタン製キャップを備えた異径対向6ポット仕様。ピストンシールもゴム素材から新たに開発するなど、細部に至るまで妥協のない設計が特徴だ。

組み合わせるローターは、外径380mm、厚さ34mmの大径2ピース構造。独自のベーン形状によって優れた放熱性を確保するとともに、表面には鎌状の「シックルスリット」を採用している。これは、炭化が発生しやすいローター外周側のクリーニング効果を狙ったもので、安定した制動性能を引き出すための工夫だ。
このMN6PRを採用したFL5シビックタイプR用フロントブレーキキットの価格は156万2000円。決して気軽に導入できる金額ではないものの、その内容はレーシングブレーキの名にふさわしいものとなっている。

また、ウインマックスでは用途に合わせて幅広いブレーキパッドをラインアップ。ストリート向けの「ST」、ミニサーキット向けの「MC」、フルサーキット向けの「FC」、耐久レース向けの「ER」という4シリーズを展開しており、走行ステージやドライバーの好みに応じて最適な組み合わせを選べる。


今回のデモカーには、ワインディング走行を想定して前後ともにMC3パッドを装着。フロントはMN6PRキット、リヤは純正キャリパーを活かしたパッド交換のみという構成だ。

エクステリアは、スプーンの「S-TAI」エアロキットによってスポーティにメイキング。足回りにはファンタイムのHAL製ダウンサスを採用し、車高はフロント20mm、リヤ15mmダウン。タイヤにはヨコハマ・アドバンネオバAD09を組み合わせている。パワー系の変更はフジツボ製マフラーのみという、比較的ライトなチューニング内容と言える。

そんなデモカーを実際にドライブしたのが、レーシングドライバーの冨林勇佑選手だ。
「キット価格は150万円オーバーと導入のハードルは高いですが、これだけキャパシティのあるブレーキなら、文句なく『欲しい!』と思えますね。今回のパッドとの組み合わせでは初期タッチに唐突さがなく、ペダルの踏み込みに応じて制動力が立ち上がるので、街乗りでも扱いやすいです」。
特に印象的だったのが、その剛性感だという。純正のブレンボキャリパーと比較しても違いは明らかで、リヤがパッド交換のみという仕様でも、前後バランスに問題は感じられなかったそうだ。
単純に強い制動力を発揮するだけでなく、ブレーキングによって車両姿勢を積極的にコントロールできる点は、スポーツ走行において大きな武器となる。実戦で培われたノウハウが、ストリートでも扱いやすいブレーキフィールに活かされているわけだ。

なお、ウインマックスではMN6PR以外にも、FL5用のブレーキシステムを展開している。そのひとつが、2025年シーズンにスプーンのスーパー耐久参戦車両へ採用された4ポットキャリパー「MN4PR」だ。こちらは優れたペダルタッチを追求して開発されたモデルで、総切削加工のボディに35mm/38mmの異径ピストンを採用。ローター径は370mmとなる。

さらに、純正キャリパーに対応する2ピースローターも新たに登場。専用ベルハウジングに設けたベンチレーションと独自のベーン形状によって冷却性能を高め、シックルスリットも採用している。純正ローターと比べて約1kgの軽量化も実現した。
ウインマックスの中沢さんによれば、2025年シーズンに採用された4ポットキャリパーはペダルタッチを重視した仕様。一方、2026年シーズンの6ポットキャリパーは、高い制動力を活かし、耐摩耗性に優れたパッドを使用できることがメリットだという。現在はFL5用リヤ大径ローターの開発も進められており、今後はさらに幅広いブレーキシステムの構築が可能になりそうだ。

スーパー耐久で磨かれた本格的な性能を持ちながら、ストリートでは自然なペダルタッチと高いコントロール性を発揮するMN6PR。高額なキットではあるものの、ブレーキング性能に徹底してこだわりたいFL5オーナーにとって、魅力的な選択肢となるはずだ。
●問い合わせ:MKカシヤマ ウインマックスディビジョン TEL:0267-67-7700
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ウインマックス
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